2016年4月から始まる湿布薬70枚制限ルールについて
2016年4月より医療費抑制の観点から湿布薬に枚数制限が設けられます。現状では1回に70枚以上の湿布薬が処方されている患者さんの人数は月に30万人を超えています。2016年4月以降の枚数制限制度により年間数十億円の医療費削減がみこまれます。
湿布薬処方時のルール
1.一定枚数を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、 処方料、調剤料、調剤技術基本料及び薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず一度に一定 枚数以上投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に 記載することとする。
2.湿布薬の処方時は、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、 一日分の用量又は何日分に相当するかを記載することとする。
疑義解釈資料(その1)2016年3月31日
具体的な内容
1.湿布薬について、外来患者に対して 1 処方につき計70 枚を超えて投薬する場合は、当該超過分の薬剤料を算定しない。ただし、医師が医学上の必要性があると判断し、やむを得ず計 70 枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
新しく新設されたルールですので、詳細は3月に出される疑義解釈で詳しく記さるかとは思いますが、この内容を見る限り
1処方につき「計」70枚
「計」と記されていますのでモーラステープL40とロキソニンパップなどを合計して1度に発行する処方箋で70枚までという意味です。(処方された湿布薬残体の合計が70枚という理解でよい)
2016年3月31日に疑義解釈資料(その1)が掲載されました。その中にも湿布薬に関する解釈が記載されています。
疑義解釈資料(その1)2016年3月31日
ロキソニンテープ100mg 35枚
ロキソニンパップ100mg 35枚
上記2剤はインタビューフォーム上では同じ薬として認識されており、用法および適応症も同じなのですが、テープ剤とパップ剤という剤形がどのように解釈されるか疑義解釈まちです
→2016年4月1日 都道府県の薬剤師会へ確認したところ厚生労働省による疑義解釈が出ていない現時点ではパップ剤とテープ剤は別剤形と捉えて、別々に請求(各10点ずつ)してよいと回答をえました。ただし今後の疑義解釈次第では覆ることもあるとも言われました。
→2016年4月25日疑義解釈その2が公開され、別剤形となりました。
1日分の用量、又は何日分に相当するかを処方箋に記載するルールが新設されましたが、内服薬を90日分(3か月分)処方した場合でも70枚制限ルールは揺るがないようです。その翌日に再度受診して湿布薬だけを70枚処方してもらう分には問題ないです。ただ、患者さんのご足労を考えると、必要な措置を講じてほしいと思います。
今のところ、70枚を超えて湿布を投薬する場合の理由として例に上がっているものは「医師が疾患の特性等により必要があると判断した場合」だけです。
地域の支払基金の解釈により70枚以上を処方する際のコメントは異なるかとは思いますが、
・高齢のため通院が困難 1日4枚使用し、30日分なので120枚処方する
・遠方から3ヶ月ごとの通院 1日2枚使用し、90日分のため180枚処方する
などのように、70枚を超えた具体的な理由と必要枚数が記載された処方箋を目にしたことがあります。
湿布薬を70枚制限に対する代替案としては、ボルタレンゲルやインテバンクリーム、スチックゼノールAなどの経皮外用”塗り薬”の処方が想定されます。または、鎮痛剤の内服薬も”頓服”枠で増えるかもしれません。薬局対応としの在庫数量を増やしておくという対策が必要かと思います。