コロナ感染後の後遺症はコルチゾールの低下が要因(2023/10/16)
アメリカのイエール大学の岩崎明子教授らの研究チームが科学雑誌「ネイチャー」にコロナ感染後の原因についての報告を行いました。
被験者
新型コロナウイルス感染後の倦怠感や息苦しさなどの「後遺症」が
・1年以上続いている人
・感染後、後遺症がない人
・感染しなかった人
上記を対象として268名の血液成分を採取して、分析を行っています。
結果
後遺症がつづいている群では、B細胞やT細胞などの免疫細胞が増加しており、体内に潜伏していたヘルペスウイルスが活性化していた
また、後遺症が続いている群では、コルチゾールというホルモンの量が、後遺症が出ていない人や感染していない人とくらべて半減していたことが報告されました。
コルチゾールとは体内で合成されるステロイドホルモンであり、心身がストレスをうけると急増することがあるため「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
このコルチゾールが減少すると、疲労感・倦怠感や低血圧・低血糖・筋力低下といった症状を呈します。
筆者らは、「後遺症の中でも倦怠感はコルチゾールの低下」が要因と述べています。
また、別の報告では新型コロナウイルス感染後の後遺症は「セロトニンの減少」が原因ではないか?という報告もありました。
新型コロナウイルスに限らず、ウイルスに感染すると血中のセロトニン量が減少することが報告されています。ウイルス感染が改善すればセロトニンレベルも回復することが通例なのですが、コロナ感染症の被験者ではセロトニンレベルが低下したままであると報告されています。
その要因として、ウイルスによる炎症作用により腸管から「トリプトファン(セロトニンの原料)」の取り込みが低下することや、血小板減少による体内のセロトニン貯蔵庫の減少、MAO発現増加によるセロトニンの分解促進が起因し、迷走神経・海馬活性が低下した結果、認知機能障害が生じる可能性を示唆しています。
令和5年10月以降はコロナ治療薬で自己負担発生(2023/9/10)
政府は全額公費で賄っているコロナの治療に関して、2023年10月以降、患者に自己負担を求める方針で話をすすめています。
感染者の約1割が、高額なコロナ治療薬を使っており、ラゲブリオやパキロビッドなどの抗ウイルス薬は1人当たりの薬価は5日間分を10割負担で計算すると9万円程度の医薬品です。
2023年10月以降は、自己負担額が通常3割負担の人は1割相当の9千円、2割負担者で6千円、1割負担者で3千円になることを開示しました。
現在の入院費については、現行の半額の1万円とする方針をかためました。
令和5年5月8日以降の新型コロナウイルス感染症にかかる調剤報酬の変更点(2023/5/5)
令和5年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ引き下げとなります。それに伴う、調剤報酬の変更点についてポイントを下記します。
令和5年5月8日以降の新型コロナウイルス感染症にかかる調剤報酬の変更点(2023/5/5)
患家で療養する患者に対して
薬局で新型コロナ感染症治療薬を家族等に療養交付する場合
服薬管理指導料「1」または「2」の100分の200に相当する点数を算定します
3カ月以内に再来局・手帳あり:90点
3カ月以内に再来局・手帳なし:118点
新規来局、3カ月を超えて再来局:118点
薬剤師が緊急に配達
患者本人に対面で指導した場合:在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1:500点
情報通信機器を用いて指導した場合:在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2:200点
配送業者や薬剤師以外の職員が緊急に配達
情報通信機器を用いて指導した場合:服薬管理指導料4
3カ月以内に再来局・手帳あり:45点
3カ月以内に再来局・手帳なし:59点
新規来局、3カ月を超えて再来局:59点
介護療養病床・介護医療院・介護老人保健施設・介護老人福祉施設に入所している患者に対して
患者又はその看護にあたる者に対して対面で指導した場合
患者本人に対面で指導した場合:在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1:500点
情報通信機器を用いて指導した場合:在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2:200点
薬剤料
令和5年5月8日から令和5年9月末まで
以下の薬剤費のみが公費負担となります。
・ラゲブリオ
・パキロビッド
・ゾコーバ
・ベクルリー
・ゼビュディ
・ロナプリーブ
・エバシェルド
公費負担者番号
28140804
受給者番号
9999996
ワクチン接種
ワクチン接種は2023年度も無料での接種が継続となります。
療養期間
療養している期間の行動は個人の判断にゆだねられます。厚生労働省はめやすとして発症翌日から5日間は外出を控えることを推奨するという考え方を示しています。
新型コロナ 「5類」移行 3年余り続く対策は大きな節目 | NHK | 新型コロナウイルス
新型コロナウイルス感染症が2023年春にも5類へ引き下げ(2023/1/19)
2023年1月18日、岸田首相は新型コロナウイルス感染症の位置付けについて、現在の「2類相当」から「5類」に引き下げる方向性で検討を開始しました。
新型コロナウイルスが5類に引き下げとなると、通例では感染者の医療費に対する公費負担がなくなり、ワクチン接種の費用についても季節性インフルエンザワクチンと同様の扱いになることが想定されます。
政府関係者は「医療やワクチン接種への補助を一気になくすわけにはいかない」と指摘し、移行期間を設けた上で段階的に縮小する案を検討しています。
漢方薬が新型コロナ感染後の重症化を抑制(2022/12/5)
新型コロナウイルス感染者の発熱軽減や重症化抑制として葛根湯(1番)と小柴胡湯加桔梗石膏(109番)が有用である可能性が報告されました。
解熱剤や咳止め(通常治療)を行った被験者と比較して、1日3回上記薬剤を服用した被験者では発症から4日以内に回復が早く、酸素吸入を必要とする呼吸不全となるリスクが低減したことが報告されました。
新型コロナウイルス感染の急性期に葛根湯・小柴胡湯加桔梗石膏が有用か?
普通の風邪に感染後、体内にできるIgG抗体で新型コロナウイルスに対するIgG抗体検査で陽性(2022/10/30)
冬場に「普通の風邪をひいた」場合、その30%程度はヒト感冒性コロナウイルスに感染したと言われます。
ヒト感冒性コロナウイルスにはHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1という4種類の型が報告されております。
今回は普通の風邪(ヒト感冒性コロナウイルスHCoV-HKU1)に感染した後に、新型コロナウイルスの抗体検査を受けると、偽陽性となる割合が結構高いですよ(7例中4例)という国内報告がありましたので下記します。
抗体検査とは、過去に該当ウイルスに感染していたかどうかを判別する検査です。またはワクチン接種後にどれだけ体内で抗体ができているかを判別する指標としても活用できます。
ヒト感冒性コロナウイルス(ヒト感冒性コロナウイルスHCoV-HKU1:一般的に言う「普通の風邪」)に感染して肺炎を患った方7名を対象として、採血を行い、体内のIgG、およびIgG抗体を調べた結果、新型コロナウイルスに対するIgG抗体検査で7例中4例が陽性と表示されました(偽陽性)。IgM抗体検査に関しては7例中1例が陽性と表示されました(偽陽性)
要するに、普通の風邪をひいた後、体内に「普通の風邪に対する抗体」が作られ、「普通の風邪に対する抗体」を持っている人が、新型コロナウイルスに対する抗体反応検査で陽性と判断され、「新型コロナウイルスに感染したことがある」と誤った判断をされてしまうという報告です。
普通の風邪(ヒト感冒コロナウイルス)と呼ばれる4種類の型(HKU1, OC43, NL63, 229E)と新型コロナウイルスは、自身を作っているタンパク質の配列に同じ部分があり、人の体内で作られる「抗体」が、その同じ部分を標的として認識するために「交差反応」を示すと考えられています。
いいのか悪いのかは別として、上記の例がどのように解釈されるかと言いますと、「新型コロナウイルスに対する抗体検査」を行った場合、過去に新型コロナウイルスに感染したことがある人に加えて、過去(3年以内?)に普通の風邪に感染たことがある人のうちの半数程度について、
新型コロナウイルスに対する抗体検査の結果が「陽性」と表示されてしまう=新型コロナウイルスに既に感染したことがある
と判別されてしまうということです。
普通の風邪に感染した後、体内のIgGはどれくらいの期間血液中にとどまっているのか?については完全にはわかっていないのですが、2003年に流行した「SARS-CoV」に関する報告ではSARS-CoVに対するIgG抗体が体内で作られた場合、3年間持続するという報告がありましたので参考程度に記します。
今回の報告を全力で前向きに解釈するのであれば、普通の風邪にかかって風邪が完治した状態といううのは、一定数の抗体が体内にできている状態を意味足します。風邪によって体内にできた抗体が、もしかしたら新型コロナウイルスに対してもある程度ですが、「体をウイルスから守る」効果を示す可能性があるという感じかもしれません。
「抗体検査」に関しては、日本国民がどの程度の抗体を保有しているかについて、厚生労働省が一般住民3000人を対象として検査を実施した例があります。