おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

コロナウイルス 抗インフルエザ治療薬

新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬「レムデシビル静注」の国際共同治験開始

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新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬「レムデシビル静注」の国際共同治験開始(3/29)

国立国際医療機関センターは新型コロナウイルス感染症の治療薬として抗ウイルス薬「レムデシビル静注」の安全性と有効性を評価する国際共同治験を行うことを発表しました。

レムデシビル静注とは

レムデシビル静注はコロナウイルスなどのRNAウイルスの増殖を抑える効果があります。具体的な薬理作用は未知の部分もあるようですが、私が調べた感じを以下に記します。

新型コロナウイルスはヒトの細胞に入り込んだ後(感染した後)、ウイルス自身を増幅するために、ヒトの細胞内にあるRNA工場を間借りして、ウイルス自身のRNAを、どんどん合成するという作業に入ります(RNA複製という作業です)。RNAをどんどん勢いよく合成する過程で「RNA合成失敗!」「RNA合成に不具合あり!」といったケースは非常に起こりうるのですが、合成ミスをリカバリーする酵素として「ウイルスエキソリボヌクレアーゼ」という酵素が活躍して、合成ミスを減らすことがわかっています。ウイルスエキソリボヌクレアーゼとはRNAを合成する過程で生じるミスを修復する酵素であり、この酵素が活躍することで「RNA合成失敗回数」を非常に減らすことが可能となります。

レムデシビル静注を投与すると、RNAポリメラーゼに作用して、ウイルスエキソリボヌクレアーゼによるRNA合成ミスの校正を阻害することでRNAの合成を抑制することが可能となります。この記述だけを見ると、「RNAがミスなく合成された場合はレムデシビルは効かないのでは?、それほど効果的ではないのでは?」という疑問が浮かびますが、エボラウイルスを用いた実験によると、レムデシビル静注を投与した場合、RNA依存性ポリメラーゼによる合成は、大部分が阻害されることが示されています。

(DNA合成と比較して、RNA合成は1000倍以上ミスが生じやすいということも背景にあると思います)

新型コロナウイルスに対するレムデシビル静注の力価について

レムデシビル静注の力価は?

以下はin vitro(試験管内・シャーレ内)の実験データですが、VeroE6細胞に新型コロナウイルスを感染させ、7種類の薬剤をそれぞれ添加して、各薬剤について新型コロナウイルスが50%まで死滅する際に必要な薬物濃度を測定しています。

リバビリン(EC50)=109.5μM

ペンシクロビル(EC50)=95.96μM

ファビピラビル(EC50)=61.88μM

ナファモスタット(EC50)=22.5μM

ニタゾキサニド(EC50)=2.12μM

クロロキン(EC50)=1.13μM

レムデシビル(EC50)=0.77μM

上記のデータより、レムデシビルが一番すくない投与量で、ウイルスを半分に死滅させることが試験管内データとして報告されています。言い換えると少量で良く効く薬と言えます。今後は、実際にヒトへ投与した際の臨床試験データが蓄積され、公開されていくものと思われます。

 

新型コロナウイルスの空気中および床表面での安定性(感染力価)について(3月22日)

 

新型コロナウイルスは、せきやくしゃみによる「飛沫感染」と直接触れる「接触感染」が感染経路と考えられています。咳やくしゃみで排泄される多くの飛沫は粒径が5μメートル以上の飛沫であるため、感染者から咳・くしゃみをした際の飛距離はおよそ1~数メートル程度です。5μメートル未満の飛沫は、霧やエアロゾルとなり空気中をフワフラ漂い、すぐに地上に落下することはありません。

 

今回は、この5μメートル未満のフワフワコロナウイルスに関して、どの程度、感染力が持続するのかという報告がありましたので、記してみます。

新型コロナウイルスの空気中および床表面での安定性について

評価方法

TCID50という指標を用いて評価しています。細胞にウイルスが感染すると細胞の形が変形します。変形した細胞=ウイルスに感染した細胞と考え、感染力価として50%の細胞に感染するウイルスの量をTCID50と定義して、時間経過とともにどの程度TCID50が減っていくかを評価しています。

 

新型コロナウイルスでは、空気1L(リットル)あたり10^ 3.5=3162( TCID 50)という感染力価を有しています。時間経過とともにこの値は徐々に減少していき、3時間経過すると、空気1L(リットル)あたり10^ 2.7=501( TCID 50)まで減少することが報告されています。

 

概算ですが、空気中を漂う新型コロナウイルスは1.5時間ほどで半減していることことが試算されます。

 

一方で、床に落下した新型コロナウイルスに関しては床の素材によって感染力価が大きく変わってくるようです。

床の素材が「銅」の場合、1時間ごとに感染力価が半減します。

床の素材が「段ボール」の場合、3時間ごとに感染力価が半減します。

床の素材が「ステンレス」の場合、6時間ごとに感染力価が半減します。

床の素材が「プラスチック」の場合、7時間ごとに感染力価が半減します。

 

今回の報告では、接地面素材として上記の4種類が実験データとして公開されていました。実生活を考えると、ステンレスやプラスチックなどが身近にあるかなあという感じでしょうか。

 

厚生労働省が推奨しているように、こまめな換気と手指消毒、咳チケット、消エタノールによるふき掃除を行うことが大切であることがわかります。

関節リュウマチ治療薬「アクテムラ」が新型コロナウイルスによる過剰免疫応答を抑制?(3/23)

中外製薬は関節リウマチ治療薬「アクテムラ」について新型コロナウイルス感染症による重症肺炎を対象に第3相試験を開始すると発表しました。

アクテムラによる新型コロナウイルス感染症の重症肺炎臨床試験開始

第3相試験では新型コロナウイルス感染症による重症肺炎患者330例を対象として、プラセボと比較した場合のアクテムラの安全性・有効性を検討するとしています。

アクテムラ注は炎症性サイトカインIL-6受容体を遮断することで過剰免疫を抑制する働きがあります。新型コロナウイルス感染症に由来する重症肺炎における過剰免疫抑制効果を検証するものと思われます。

降圧剤ARB、ACEIの服用と新型コロナウイルス感染リスク(3/20)

新型コロナウイルスの感染に関しては、基礎疾患を有する患者さんほど、重症化しやすいことが報告されています。その中で、信ぴょう性は不明ですが、オックスフォードアカデミックが2020年3月18日に提唱した仮説として

「アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は新型コロナウイルスの感染リスクを高めるのでは?」という仮説です。

以下は動物実験でのデータなのですが、ACEIやARBを静脈注射すると呼吸器周辺におけるアンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE2受容体)が増えることが報告されています。新型コロナウイルスは、その構造上、ウイルス表面にスパイクタンパク質(Sタンパク質)という突起物をたくさん有しているのですが、このスパイクタンパク質とACE2受容体が結合することで新型コロナウイルスが感染が開始されると筆者らは考えています。l

 

ヒトにおいても、ACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)を長期間服用している患者さんにおいては、アンジオテンシン2受容体数の増加が報告されています。筆者らの仮説ではありますが、ACE2受容体が仮に新型コロナウイルス膜表面のスパイクタンパク質と結合するのであれば、感染患者の下気道において新型コロナウイルスの侵入を容易にし、肺炎や致命的な呼吸不全をもたらす可能性が示唆されます。

ARBやACEIを服用すると新型コロナウイルスの感染リスクが増える?

新型コロナウイルスにはイブプロフェンをつかわない?

WHOが3月17日に「新型コロナウイルス感染症の症状がある方にはイブプロフェン(NSAIDS)の服用を避けることを指示したようです。

その発言のおおもとはフランスのオリビエ・ベラン保健相のツイッターで「イブプロフェンは新型コロナウイルス感染症を悪化しうる、解熱剤にはアセトアミノフェン(カロナール)を進める」と発したことが由来です。

この発現に関連する内容を調べたところ、新型コロナウイルスを含む感染症や重症例に対してイブプロフェンではなくアセトアミノフェンを推奨するという意見がいくつか散見されましたので下記します。

新型コロナウイルスにはアセトアミノフェン?

レディング大学ウイルス学教授:イアン・ジョーンズ

イブプロフェンの抗炎症作用が免疫システムを減少させ、回復過程を遅らせる可能性がある。新型コロナウイルスは血液中の水分濃度・塩分濃度を調節する酵素を減少させる可能性がある。イブプロフェンを使用すると悪化する可能性があるが、アセトアミノフェン(カロナール)ではその可能性は低いと述べています。

 

LSHTMの疫学准教授シャーロット・ウォーレンガッシュ

新型コロナウイルス罹患した健康状態の異なる人々に対するNSAIDSの影響については研究が必要です。一方、発熱やのどの痛みなどの症状を治療する際の最初の選択肢はアセトアミノフェン(カロナール)に固執することが賢明

 

新型コロナウイルスに対してアセトアミノフェンまたはNSAIDSのどちらを使用するかという議論がでた背景としては、南西フランスにおいて、基礎疾患のない若者4例が新型コロナウイルスに罹患し、初期段階でNSAIDSを使用した後、深刻な症状を呈したためといわれています。

 

新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入を阻止する「フサン」(点滴)

東京大学医科学研究所は、新型コロナウイルスの感染初期にウイルス外膜とヒトの細胞膜とが融合するプロセスを阻害することでウイルスの侵入を阻止する可能性がある薬剤として「フサン」を同ホームページに掲載しました。

新型コロナウイルスの感染初期には「フサン」?

フサン(ナファモスタット)とは

フサン(ナファモスタット)とはタンパク分解酵素阻害剤(セリンプロテアーゼ阻害剤)という働きがある注射剤で、臨床では急性膵炎や血液透析時に血液が凝固しないように使用する薬剤です。

新型コロナウイルスの外膜表面には「Spikeタンパク質(Sタンパク質)」と呼ばれる”手”が多数存在しております。ヒトの細胞膜上には「ACE2」と呼ばれる”受容体”(手とくっつく部位)が存在しています。

新型コロナウイルスがヒトの細胞内に入り込むためには2つのプロセスを要します。

新型コロナウイルス外膜のSタンパク質とヒトの細胞膜上にあるACE2がくっつ過程を第一段階です。

次に、ヒトの細胞膜上にあるACE2とくっついたSタンパク質を「TMPRESS2」と呼ばれるたんぱく質が”切断(タンパクを分解)”します。この”切断(タンパクを分解)”するプロセスが第二段階です。”切断”によって新型コロナウイルスは活性化して、ウイルス外膜とヒトの細胞膜が融合し、ウイルスが細胞内に入っていきます(感染スタート)。

 

フサンはタンパク分解酵素阻害剤という働きがありますので、「TMPRESS2」による”切断”(タンパク分解)を阻害することで、ウイルスの侵入を阻止する効果が期待されます。飲み薬では「フオイパン錠(カモスタット錠)」でも同様の効果が期待されますが、フサン注の方が少量で効果があるということから、フサン注に注目が集まっています。

鼻咽頭ぬぐい液PCRで2回連続陰性となるまでに要する時間(3/18)

ダイアモンドプリンセス号で新型コロナウイルスに感染した患者を対象として、鼻咽頭ぬぐい液PCR検査が2回連続で陰性化するまでに要する時間についての報告がありましたので記載します。

鼻咽頭ぬぐい液PCRで2回連続陰性となるまでに要する時間

被験者;無症状病原体保有者90名(年齢中央値59.5歳)

1日2回の体温測定・酸素飽和度・自覚症状を確認し、48時間の間隔で鼻咽頭ぬぐい液を採取し、PCR検査を行っています。

 

連続で2回のPCRが陰性と確認されるまで検査が行われています。

 

結果

初回PCR検査で陽性と確認された日を0日目とすると

6日目で陰性を確認した累積人数:32人(36%)

7日目で陰性を確認した累積人数:35人(39%)

8日目で陰性を確認した累積人数:43人(48%)

9日目で陰性を確認した累積人数:54人(60%)

と報告されています。

 

しかし、2回連続PCR検査において、1回目の検査では陰性が確認されたものの、2回目のっ検査では再度陽性と確認された被験者の割合は20%(18人/90人中)

 

また、2回連続PCR検査陰性となるまでに15日以上を要した患者は12%(11人/90人中)

 

筆者らは上記の結果を受けて

「陰性確認を行う場合の初回検査は、初回陽性PCRの検体採取日から数えて6日目以降に行い、これが陽性である場合は48時間後に再検するのが適切な可能性がある」

と考察しています。

新型コロナウイルス感染症における診療所・病院の初期診療手引き公開(3/16)

日本プライマリ・ケア連合学会は、新型コロナウイルス感染症における診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療手引きを公開しました。

以下にその概要を記します。

新型コロナウイルス感染症における診療所・病院の初期診療手引き

新型コロナウイルス感染症の経過

1. 感染から約5⽇間(1〜14⽇間)の潜伏期を経て,

2. 感冒様症状(発熱,咳,喀痰,咽頭痛,⿐汁等),倦怠感等が出現し,

3. ⼀部の患者では嘔吐,下痢などの消化器症状を呈することもあり,

4. それら症状が⽐較的⻑く,約7⽇間持続す

特に倦怠感については、発熱(体温)がそれほど⾼くないのに倦怠感が強いことがある

さらに、症状が7日間前後続いた後に

5. 約8割の患者は,⾃然に軽快して治癒する

6. 約2割の患者は,肺炎を合併する.特に,⾼齢者や基礎疾患がある場合は肺炎を 合併しやすい

7. 肺炎に進展した患者のさらに⼀部が,重症化して集中治療や⼈⼯呼吸を要する

⼊院を要するような肺炎を約2割という⾼い確率で合併するのが,新型 コロナウイルス感染症の特徴です

クラボウ(倉敷紡績(株))が新型コロナウイルス抗体検査キットを発売

クラボウ(倉敷紡績)が新型コロナウイルス抗体検査キットを発売することを同ホームページに掲載しました。

新型コロナウイルス検査キット(15分)

新型コロナウイルス抗体検査キットは少量の血清を滴下して15分程度で新型コロナウイルス感染の有無を目視で判定できる検査キットです。中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づき、「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」を国内に輸入し、販売を開始することとなりました。

 

PCR法はウイルスのRNAを増幅して陽性かどうかを判定する検査方法であるのに対して、今回クラボウが発売する検査キットは血清中に含まれる「特定の抗体」を検出して陽性か陰性化を判別するキットとなっています。そのため感染初期の患者に対しても判定ができるとしています。

キットは2種類が販売され、感染初期段階で生成される「IgM抗体」を検査するタイプのキットと、感染後に多く生成される「IgG抗体」を検査するタイプのキットが発売されます。

価格は10回分で2万5000円です。

販売開始時期:2020年3月16日

プラケニルの新型コロナウイルスに対する効果

日本感染症学会のホームページに新型コロナウイルスに対するプラケニル錠200mgを使用した臨床報告が記載されておりましたので下記します。

プラケニル錠200mg

被験者:69歳男性、透析患者

新型コロナウイルス感染に加えて、細菌性肺炎・非定型肺炎の合併を考慮し

メロペネム、レボフロキサシンの点滴投与行う。また、インフルエンザ罹患後の新型コロナウイルス肺炎発症であったため、インフルエンザ肺炎合併も念頭にラピアクタを2日間限定で投与。2日目、肺炎増が増悪したためプラケニル200mgの内服を開始。→奏功

 

抗菌薬およびラピアクタが奏功した可能性や、透析による退役管理が有効であった可能性もあるが、総合的に考えるとプラケニルがそうこうしたkな旺盛が最も高いと判断しています。

 

プラケニル200mgは古くから存在するマラリア治療薬および予防薬であり、2002年~2003年にりゅうこうしたSARSに使用された経緯があり、新型コロナウイルスに対してもすでに中国で使用され、臨床的に効果が認められたと報告があります。プラニケルはin vitroにおいて新型コロナウイルスにたいする抗ウイルス作用活性が報告されており、免疫調節作用によりin vivoでの治療効果を相乗的に高めている可能性があるとしています。用法用量については皮膚エリトマトーデス・全身性エリトマトーデスに準じて使用したとしています。

新型コロナウイルス治療にプラニケル200mgを使用した報告例

日本感染病学会のホームページに新型コロナウイルスに対するカレトラ配合錠、オルベスコ吸入を使用した臨床報告が記載されていましたので下記します。

 

カレトラ配合錠(ロピナビル・リトナビル配合錠)

 

1回2錠(400/100mg)を1日2回、10日間投与した

2/12日に服用を開始した。2/22と2/25日に喀痰検体によるPCR検査を実施し、2回とも陰性となった。

新型コロナウイルスに対するカレトラ配合錠の臨床報告

追記(2020/3/23)

シンガポールでの報告では酸素療法を必要とした5例にカレトラ配合錠を投与した結果、5例中3例は解熱し、3日以内に酸素の必予製が減少した。しかし、残り2例は呼吸不全を伴い悪化がみられた。カレトラ配合錠使用による副作用は、5例中4例(悪心・嘔吐・下痢)、5例中3例(肝機能異常)

オルベスコ(被験者3名)

新型コロナウイルスに感染した3名に対して、オルベスコ吸入を使用した報告例が日本感染症学会ホームページに記されています。オルベスコ吸入を使用した3名中1名(200μg、1日2回吸入)はPCR検査で陰性となっています。2名はSPO2低下のためオルベスコ吸入を(200μg、1日2回吸入)開始し、食欲や倦怠感が改善しています。ただし、咽頭ぬぐい液からのPCR検査で陽性が続いているため1200μg/日を吸入して治療継続中と記されています。

(添付文書の最大投与量は1日800μgです)

 

オルベスコ吸入はステロイド吸入剤の1つですが、国立感染症研究所村山庁舎のコロナウイルス研究室から「抗ウイルス作用」が紹介され、新型コロナウイルス感染症に伴う重症化に対しての効果が期待されています。

新型コロナウイルスに対するオルベスコ吸入の使用例

新型コロナウイルスの診断はPCR検査ではなくCT検査?

新型コロナウイルスの診断として口腔内のぬぐい液を使用したPCR法が主流となっていますが、その精度は30~60%と言われています。

武漢での報告では口腔内ぬぐい液によるPCR検査が陰性でも、肛門ぬぐい液または血液検査によるPCR検査が陽性だった事例が報告されています。(口腔内ぬぐい液が陰性であったにも関わらず、5日目に肛門ぬぐい液が陽性となった事例が4例報告されています)

 

時系列で考えると、感染初期は口腔内ぬぐい液がPCR検査で陽性を示すものの、回復期には肛門ぬぐい液が陽性となるケースがあるということです。

 

そのため、口腔内ぬぐい液によるPCR検査が確実なものかどうか、難しいところです。

胸部CT検査

武漢での報告では、PCR検査とCT検査の両方を行った1014例を対象として検査を行った結果、胸部CT検査の方がPCR検査よりも検出率が高いという報告がなされました。

結果

PCR検査による陽性率:56%(601例)

胸部CT検査による陽性率:88%(888例)

 

PCR陰性例(413例)のうち、75%(308例)が胸部CT検査で陽性と判断され、そのうち48%(123例)が感染の可能性が非常に高い、33%(101例)が感染の可能性が高い群と判断されました。

(咽頭ぬぐい液を使用したPCR検査の陽性率が30~60%と報告されています)

 

新型コロナウイルスへアビガン錠投与を推奨

 

2月21日、政府は新型コロナウイルス感染者を対象に、アビガン錠(新型インフルエンザ治療薬)の投与を推奨する方針を固めました。

 

アビガン錠を試験投与された新型コロナウイルス患者軽症患者や、無症状の感染者で効果が確認されたということです。

アビガン錠とは

 

新型インフルエンザ治療薬として開発されたものの、市場に出回ることはなく、国が使用許可を認めた場合に限り、患者へ投与許可が下りる医薬品です。2014年に医薬品として認可されているものの、薬価はついておらず「薬価基準未収載」とされています。そのため保険医療として投与されたことはないかと思われます。

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アビガン錠の薬理作用

 

RNAポリメラーゼ阻害薬という薬理作用です。RNAポリメラーゼ阻害薬のイメージとしては新型コロナウイルスがヒトの細胞内に入り込んだ後、通常であれば、細胞内でウイルス自身の分身を大量に合成して細胞外へ放出し、他の細胞へウイルス感染を広めることにより発症するところを、アビガン錠を飲んだ場合は、ウイルス自身の複製(大量合成)を抑えることによって増殖を防ぐという働きとなります。

 

アビガン錠は1日2回、使用します。

1日目は1回1800mgを1日2回(トータル3600mg)服用する

2日目以降は1回800mgを1日2回(トータル1600mg)服用する。

最長出14日間投与する。

注意)対インフルエンザ治療薬としてアビガン錠の添付文書に記されている用法用量とは異なります。

 

そのため軽症患者では重症化を抑えられ、無症状感染者では発症を抑えられる効果が期待されます。

 

注意)既存のインフルエンザ治療薬(タミフル・イナビル・リレンザ・ゾフルーザ)は、アビガン錠とは全く薬理作用が異なります。

医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染者は指定感染症扱いとなりますので、医療費は公費で負担されます。そのためアビガン錠は引き続き薬価収載されない状態(薬の値段が決まらない状態)で感染者に使用されるのかなぁと推測します。

-コロナウイルス, 抗インフルエザ治療薬
-アビガン錠, 新型インフルエンザ治療薬, 新型コロナウイルス

執筆者:ojiyaku


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