おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

抗インフルエザ治療薬

ゾフルーザ錠を体重80kg以上の方が飲むと自己負担額が3000円を超える

投稿日:2018年12月27日 更新日:

ゾフルーザ錠を体重80kg以上の方が飲むと自己負担額が3000円を超える

 

インフルエンザのシーズンがやってきました。先日、夫婦でインフルエンザにかかった患者様が薬局にいらっしゃいました。

夫:体重82kg

処方

ゾフルーザ20mg:4錠:すぐに服用する

 

ロキソニン60mg:1日3回毎食後、1回1錠(解熱鎮痛剤):5日分

アストミン錠10mg:1日3回毎食後、1回2錠(咳止め):5日分

ムコソルバン錠15mg:1日3回毎食後、1回1錠(痰切り):5日分

アレグラ錠60mg:1日2回朝夕食後、1回1錠(鼻水止め):5日分

ゾフルーザ錠のはたらきについて

 

妻:体重55kg

処方

ゾフルーザ20mg:2錠:すぐに服用する

 

ロキソニン60mg:1日3回毎食後、1回1錠(解熱鎮痛剤):5日分

アストミン錠10mg:1日3回毎食後、1回2錠(咳止め):5日分

ムコソルバン錠15mg:1日3回毎食後、1回1錠(痰切り):5日分

アレグラ錠60mg:1日2回朝夕食後、1回1錠(鼻水止め):5日分

インフルエンザと異常行動に関して患者様へお伝えする

ゾフルーザ錠は体重によって服用する量が異なります。

上記の場合、旦那さんは体重が80kg以上ありますので、ゾフルーザ20mgを4錠飲みます。

奥さんは体重が80kg未満ですのでゾフルーザ20mgを2錠飲みます。それ以外の薬は同じ内容です。

海外で使用されていないイナビル吸入粉末剤はインフルエンザ治療に効果が「ある」のか「ない」のか

ゾフルーザ20mgは1錠あたり¥2394.5円(2018年12月現在)ですので、旦那さん、奥さんが飲んだゾフルーザ錠の自己負担額を計算してみると

 

旦那さん(3割負担):2394.5円×4錠×0.3(3割負担)=2873.4円

 

奥さん(3割負担):2394.5円×2錠×0.3(3割負担)=1436.7円

 

となります。

上記は服用したゾフルーザ錠の薬価だけの計算式ですが、これに基本料やその他の薬(ロキソニンやアストミンなど)などの医療費が加わると

 

旦那さんの支払額:3000~3500円程度

奥さんの支払額:2000円程度

 

という計算となります。体重が80kgの方がゾフルーザ錠によるインフルエンザの治療を受けると1000~1500円ほど支払額が高くなるという実態があります。

ゾフルーザ錠以外のインフルエンザ治療薬の価格

 

ゾフルーザ錠は成人の体重によって服用量が異なりますが、それ以外のインフルエンザ治療薬(タミフル・リレンザ・イナビル)にはそのようなルールはありません。(体重によって服用量が異なることはない)

 

インフルエンザにかかった成人が使用する際の医療費(3割負担の場合)

インフルエンザウイルスの空気感染リスクに関しての報告(2018年1月18日)

タミフルカプセル

272円(薬価)×10(カプセル)×0.3(3割負担)=816円

(1日2回、5日間服用)

 

リレンザ

147.1(薬価)×20(ブリスター)×0.3(3割負担)=882.6円

(1日2回、1回2ブリスター、5日間服用)

 

イナビル吸入粉末剤

2139.9(薬価)×2(キット)×0.3(3割負担)=1284円

 

ゾフルーザ錠(80kg未満の成人)

2394.5(薬価)×2錠×0.3(3割負担)=1436.7円

 

ゾフルーザ錠は、イナビル吸入粉末剤と同様に1度の使用で抗インフルエンザ作用が期待されますので、同等の薬価が設定されたことが確認できます。しかし、薬価設定の際に80kg以上の方がゾフルーザ錠を使用することまで想定されていたかどうかは疑問です。

ゾフルーザ錠のはたらきについて

日本人の体重分布

 

日本人の中で体重が80kg以上の割合はどの程度か確認してみました。しかし、身長が高ければ体重も増えるわけで、体重だけを分布表としたデータはなかなか見つかりませんでした。(BMIを指標としたデータしかありません)。しかしそんな中で、日米の体重分布比較を行ったデータを確認したところ

16歳以上の男性において、80kg以上となる割合は“10%程度”というデータを確認することができました。

(Health and Health Care-ISSP 2011より)

 

また調査規模はググっと小さいですが、「調布市」の成人調査の結果を確認したところ80kg以上の割合は

男性:8.5%

女性0.5%

というデータが確認できました。

調布市の体重分布

おそらくですが、日本人男性において体重80kg以上の割合は10%~程度なのでしょう。女性においても0.5%~程度であることが示唆されます。

 

注意:体重は身長と比例して増えますので健康管理においてはBMIが指標となります。今回はゾフルーザ錠の使用量に着目して、調べているため80kgという数字に着目して記しています。

インフルエンザと異常行動に関して患者様へお伝えする

なぜゾフルーザ錠だけ体重により使用量が異なるのか?

 

血液中を流れるゾフルーザ錠の濃度が一定量を超えると、抗インフルエンザ作用があるのですが、この血中濃度は体重およびゾフルーザの服用量に依存するという背景があります。そのためゾフルーザ錠は体重によって使用量が異なります。

 

推定薬物動態パラメーター

 

体重10kg~20kgの方がゾフルーザ錠10mgを服用した場合の最高血中濃度:76.9ng/ml

体重20kg~40kgの方がゾフルーザ錠20mgを服用した場合の最高血中濃度:100ng/ml

体重80kg未満の方がゾフルーザ錠40mgを服用した場合の最高血中濃度:102ng/ml

体重80kg以上の方がゾフルーザ錠80mgを服用した場合の最高血中濃度:126ng/ml

海外で使用されていないイナビル吸入粉末剤はインフルエンザ治療に効果が「ある」のか「ない」のか

上記のデータより、血液中を流れるゾフルーザ錠の最高濃度が80~120ng/ml程度となるように体重ごとにゾフルーザ錠の服用量を選択することがインフルエンザの治療に有効であることが示唆されます。

 

尚、他剤で使用量のデータを確認したところ、

 

タミフルかプセルおよびイナビル吸入粉末剤:腎排泄型薬剤であるため、腎機能が低下した患者さんが服用すると効き目が強くなる(体内から薬が排泄されにくい)ため、重度の腎機能障害を有する患者さんには投与量を検討する必要があります。

 

リレンザ吸入:腎排泄型薬剤ですが、海外では腎機能低下患者さんに対して減量の必要はないとされているが、国内においては安全性・薬物動態は検討されておりません。

まとめ

・体重80kg以上の方がゾフルーザ錠を飲んだ場合、自己負担額が3000円を超える

(他のインフルエンザ治療薬(内服または吸入)では2000円以下で収まる)

 

・ゾフルーザ錠は効果を発揮するために最高血中濃度80~120ng/ml程度が必要であるため、体重ごとに服用量が決められている

 

・日本人の中で体重が80kgを超える人の割合は10%程度

 

・ゾフルーザ錠は胆汁を介して糞便中に排泄されるのに対して、タミフル・リレンザ・イナビルは腎臓から排泄される

インフルエンザウイルスの空気感染リスクに関しての報告(2018年1月18日)

-抗インフルエザ治療薬
-3000円以上, 80kg, インフルエンザ, ゾフルーザ錠, 体重, 価格

執筆者:ojiyaku


  1. 白石円樹 より:

    ゾフルーザに関する知見、興味深く読ませていただきました。大晦日に休日当番で診療にあたりましたが、A型インフルエンザの確定診断にいたった患者さんは12名、全員ゾフルーザを処方しました。途中疑問に思ったのですが、たとえば体重75~85kg程度の成人に60mg処方するのは何か問題が生じるのでしょうか?
    ご多忙中、恐れ入りますが、よろしくご教示のほどお願い申し上げます。

    • ojiyaku より:

      ご質問ありがとうございます。

      体重80kg以上の方がゾフルーザを1回80mg飲んだ場合と1回40mgを飲んだ場合の予後を調べたところ

      症状改善率については有意差はありませんでした。

      一方で、インフルエンザウイルスの力価に関しては
      1回に80mgを飲んだほうがウイルス力価の低下量(変化量)が大きいというデータがありますので、飛沫感染リスクが軽減することが示唆されます。

      以上のことから体重が80kg以上の方に関しては、1回に40mgを飲んでも80mgを飲んでも完治までの時間は変わらないものの、80mgを飲んだほうが飛沫感染により他人へインフルエンザをうつすリスクが軽減することが示唆されます。

      続きまして、ゾフルーザ60mgという処方が可能かどうかという件についてですが、インフルエンザ治療は保険適応の治療です。

      ゾフルーザの添付文書の「用法・用量」を読み返してみたのですが、成人は40mg、80kg以上は80mgという記述しかなく「適宜増減」という文字が記されておりません。「適宜増減」の文字がない薬について、添付文書に記されている用量以外の処方をした場合、保険請求できない可能性があります。
      (この場合、患者様ではなく、処方箋を記載した病院に対して保険請求できない分の差額が請求される可能性があります)

      以上のことから、私のイメージとしましては

      体重75~85kg以上の方に対してゾフルーザ60mgを処方すると、40mgを飲むよりはウイルスの排泄に関しては効果的であるため他人への飛沫感染拡大リスクは軽減します。しかし完治までの時間については40mg・60mg・80mgどれを選んでも変わりありません。また、地域の支払基金の考えにもよるため何とも言えないのですが、保険請求できない可能性がありますので、その点はご配慮いただきたいと思います。

      よろしくお願いいたします。
      おじさん薬剤師

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