おじさん薬剤師の日記

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下剤 抗インフルエザ治療薬

インフルエンザと下痢について

投稿日:2019年1月23日 更新日:

インフルエンザと下痢について

 

先日、私と私の息子がインフルエンザにかかったのですが、その時2人とも発熱から1日半ほど経過した時に下痢症状で苦しんだという経緯がありました。40℃近い発熱状態で、さらに腹痛・下痢となると「はぁー、しんどい。。。喉がカラカラだけど、いっぱい水分をとると、すぐお腹痛くなるし。。。」といった感じだったことを記憶しております。

 

インフルエンザは気道感染で増殖するウイルスなので、直接下痢症状を引き起こすことはないだろうなぁと個人的には思い込んでいたのですが、そういえばインフルエンザBは「お腹が痛くなる」といったケースもあるなぁといった疑問も浮かびました。そこで今回はインフルエンザと下痢についての報告を調べてみました。

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インフルエンザウイルスと検便について

 

季節性インフルエンザの検査方法として上部呼吸器検体および検便により検査を行ったデータを確認したところ2005年9月~2008年4月にかけてインドネシアの小児に対する検査結果を確認することができました。

 

被験者:小児患者733人

検査方法:上部呼吸器のスワブ(ぬぐい液)または検便

 

結果

上部呼吸器検体:85人(11.6%)のインフルエンザAまたはBが検出

 

検便:21(2.9%)のインフルエンザAまたはBが検出

検便中から採取された21例のインフルエンザのうち、1例の便検体からは生存インフルエンザBウイルスが検出されています。

インドネシアの小児に対するインフルエンザ検出検査(検便)

 

 

国内でもH23年に便検体からインフルエンザウイルス検出に関する報告がありましたが、この検査方法は便検体を継代(細胞株が増えやすいように新しい培地に移す)する方法や、PCR方(ウイルスの遺伝子を増殖する方法、微量なDNAでも検出可能)などが用いられており、いわゆる便検体に極微量に含まれるインフルエンザウイルスを検出したような感じに受け取れる内容です。

上記2例の報告からわかることは、

“インフルエンザウイルスが消化管を通って便として排泄されることがある“

 

ということです。

 

インフルエンザウイルスは胃酸や胆汁酸といった消化液によってすぐに死滅してしまうウイルスです。しかし喀痰などのムコ多糖を含む粘液によって、しっかり周囲を防御されたインフルエンザウイルスに関しては、消化液による不活性化・分解を受けることなく糞便中に検出することが理論上可能という見解を2017年5月に京都府立医科大学研究チームが行っています。

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下痢について

 

下痢症状を引き起こすためには

 

・特定の菌・ウイルスが増殖する(ノロウイルスなど)

・腸上皮細胞が損傷する

・腸内細菌のバランスが崩れる

 

などなど、腸管内で何かしらキッカケとなることがあります。

便および髄液検体からインフルエンザウイルス検出

“痰にくるまれたインフルエンザウイルスが消化管を通過する”

 

だけでは下痢症状はおきません。

 

ノロウイルスの場合、小腸上皮細胞に感染してウイルスを増殖させて下痢を引き起こすわけですが、インフルエンザウイルスが下痢を引き起こす?かもしれない経緯については不明です。以下にインフルエンザウイルスが下痢を引き起こすかもしれない可能性を調べたデータを記載します。

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インフルエンザウイルスが下痢を誘発する機序

 

インフルエンザウイルスによるサルモネラ誘発性大腸炎

 

インフルエンザに罹患したマウスにおいて、IFN-Isの誘導が確認されており、IFN-Isの誘発が腸内の嫌気性菌の枯渇・腸内環境の変化をもたらす。インフルエンザに罹患したマウスではサルモネラ菌に対する抗菌反応や炎症反応が低下したためサルモネラ菌の腸内定着が進みサルモネラ誘発性大腸炎が生じた。

インフルエンザに罹患したマウスにおけるサルモネラ誘発性大腸炎

(サルモネラ菌は通性嫌気性菌ですので嫌気性菌枯渇条件下においても酸素を利用して好気的呼吸によりエネルギーを得ることができます)

 

鳥インフルエンザH9N2による大腸菌感染(家禽)

家禽での報告です。鳥インフルエンザH9N2に感染した家禽において、腸粘膜の損傷・炎症が確認され、大腸菌の有意な増加、乳酸桿菌、エンテロコッカスの有意な減少が報告されました。原因としては腸上皮細胞の結合性低下・ムチン層の損傷が原因です。腸上皮細胞における炎症誘発性サイトカインIFN-γ、IL-22、IFN-α、IL-17Aなどの発現がコントロールされ、腸壁の炎症・損傷が進んだ。

鳥インフルエンザH9N2による大腸菌感染

 

インフルエンザウイルスが感染性腸炎を引き起こす理由

 

インフルエンザ感染のマウスモデルを用いて胃腸炎様症状の発生を調べたデータによると、インフルエンザに感染したマウスでは、肺だけでなく腸での免疫損傷が引き起こされていることが確認されています。(非粘膜性の肝臓や腎臓は正常)

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インフルエンザウイルスに感染後、小腸内のウイルスの存在を調べたが検出されなかった。そのためインフルエンザウイルスが消化管に侵入して直接免疫障害を引き起こした可能性ない。

 

インフルエンザの気道感染は、Th17細胞(ヘルパーT細胞のサブセットの一つ)の産生を促進することで腸の粘膜組織における免疫損傷を誘発し、腸内免疫障害を引き起こす。肺由来のCD4 + T細胞がインフルエンザ感染時に小腸に誘導される。

インフルエンザウイルス感染が肺および腸内免疫障害を誘発する

まとめ

・インフルエンザにかかっている間に下痢になることがある

 

・インフルエンザにかかっている間に便からインフルエンザウイルスを検出することもできるが、その量はごく微量である

 

・インフルエンザウイルスが直接、消化管内で感染・繁殖した報告は見当たらない

・インフルエンザウイルスが肺組織内における免疫応答を誘発した結果、2次的に腸管内の免疫応答が損傷し、腸炎を誘発する可能性がマウスで報告されている

 

・インフルエンザウイルスに感染中に下痢症状に見舞われた場合は少しずつ給水しましょう。

-下剤, 抗インフルエザ治療薬

執筆者:ojiyaku


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