おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

FDA承認 抗インフルエザ治療薬

米国:インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」を承認・発売へ/B型インフルエンザへの優位性

投稿日:2018年12月3日 更新日:

米国:インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」を承認・発売へ/B型インフルエンザへの優位性

 

日本では2018年3月に発売開始となったインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」ですが、アメリカFDAでも承認・販売が決定しました。(ゾフルーザを承認した国は日本・アメリカの2か国だけです。2018年12月現在)

米国食品医薬品局(FDA)は発症から48時間以内のインフルエンザ患者(12歳以上)に対する治療薬としてゾフルーザを承認しました。

 

米国における臨床データの結果、1832人のインフルエンザ患者にゾフルーザまたはプラセボ(偽薬)を投与した結果、ゾフルーザ服用群においてインフルエンザ症状の持続時間が24時間ほど短縮したことを公開しています。

FDAが新型インフルエンザ治療薬「ゾフルーザを承認」

米国での臨床データ

症状持続時間の中央値

ゾフルーザ服用群:53.7時間(2日と6時間ほど)

プラセボ服用群:80.2時間(3日と8時間ほど)

ゾフルーザ顆粒2%分包製剤の発売は2018-2019シーズンは発売しない

xofluza-approval

xofluza-approval

症状改善までの時間(中央値)

ゾフルーザ服用群:73.2時間(3日ほど)

タミフル服用群:81.0時間(3日と9時間ほど)

プラセボ服用群:102.3時間(4日と6時間ほど)

ゾフルーザ錠の効果について

興味深い点として、ゾフルーザ服用群は治療開始後1日目時点において、プラセボ群・タミフル服用群と比較して大幅なウイルス量の減少をもたらしましたということです。感染後の感染拡大をゾフルーザが抑えたことで罹患期間が短縮しています。(ゾフルーザとタミフルに関しては同等と評価しています。

 

さらにB型インフルエンザの治療成績を見ると、症状改善までの時間(中央値)は

ゾフルーザ服用群:74.6時間(3日と3時間ほど)

タミフル服用群:101.6時間(4日と6時間ほど)

プラセボ群:100.6時間(4日と5時間ほど)

ゾフルーザ―とタミフルの比較データ/B型インフルエンザに対するゾフルーザの優位性

このデータに関しては、B型インフルエンザに対する治療成績においてゾフルーザが統計学的に優れていると評価しています。ゾフルーザはタミフルやプラセボよりもウイルスに対する力価が高く、特にB型インフルエンザに対する効果が顕著であると記されています。

 

 

-FDA承認, 抗インフルエザ治療薬
-B型インフルエンザに有効, FDA, インフルエンザ治療薬, ゾフルーザ錠, 米国で承認

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

tab4

新型コロナウイルス感染症予防にエビスタ錠・アクトス錠が有効か?

新型コロナウイルス感染症予防にエビスタ錠・アクトス錠が有効か? 理化学研究所と京大iPS細胞研究所らの報告によると、エビスタ錠(骨粗しょう症治療薬)、アクトス錠(糖尿病治療薬)に、新型コロナウイルス感 …

cap-nuclease-inhibitor

1回経口飲みきりタイプのインフルエンザ治療薬:キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の薬理作用

1回経口飲みきりタイプのインフルエンザ治療薬:キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬の薬理作用 2017年7月24日、塩野義製薬は1回経口飲みきりタイプのインフルエンザ治療薬の開発に関して、第Ⅲ相臨床 …

oral-semaglutide-1

リベルサスに次ぐGLP1受容体作動薬の内服薬の治験データ(2025/7/6)

リベルサスに次ぐGLP1受容体作動薬の内服薬の治験データ(2025/7/6) GLP-1受容体作動薬の飲み薬としてリベルサス錠がありますが、この薬は1日1回、起床時に空腹の状態で120mlの水で飲みほ …

xofluza2

3歳児からゾフルーザ錠を飲む方法(はじめての玉の薬“錠剤”を飲む方法)

3歳児からゾフルーザ錠を飲む方法(はじめての玉の薬“錠剤”を飲む方法) 追記2019年1月20日 先日、インフルエンザにかかりました。病院でゾフルーザ錠20mg 2錠が処方されました。せっかくなので、 …

EPIPEN-α-bloker

エピペンとα遮断作用のある抗精神薬との併用禁忌が解除となる

エピペンとα遮断作用のある抗精神薬との併用禁忌が解除となる   アナフィラキシーの補助治療薬“エピペン”とα遮断作用のある抗精神薬との併用禁忌を解除することを薬事・食品衛生審議会薬事分科会医 …