おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

FDA承認 気管支喘息治療薬

アドエアのジェネリック医薬品Wixela InhubをFDAが承認

投稿日:2019年2月5日 更新日:

アドエアのジェネリック医薬品が発売されない理由/Wixela Inhub承認の経緯

米国FDAはアドエアのジェネリック医薬品Wixela Inhubを承認

2019年2月5日追記

米国FDAはアドエアディスカスのジェネリック医薬品としてMylan社が開発したWixela Inhubを承認しました。

Mylan社が開発したWixela Inhubの規格はアドエアと同一で

フルチカゾン100μg/サルメテロール50μg

フルチカゾン250μg/サルメテロール50μg

フルチカゾン500μg/サルメテロール50μg

という3規格です。米国での発売は2019年2月下旬が予定されています。

アドエアのGE薬Wixela InhubをFDAが承認

adoair-symbiocort

adoair-symbiocort

Wixela Inhubを研究開発するために米Mylan社は7憶ドル(770億円)の投資を行っております。国内のジェネリック会社でこれほどの資金を吸入器のデバイスに投資できる企業はないんだろうなぁと個人的には感じました。

アドエアディスカスは2018年1~12月までの1年間で米国での売上高は、42億ドル(4620億円)という市場規模でしたので、mylan社としては十分な採算が見込めると判断したのかもしれません。

いずれにしても、アドエアディスカスのような複雑な吸入薬のジェネリック医薬品(同一製剤)がFDAに認可されたということは医療費削減・患者様の負担額軽減にとって有益に感じます。この流れにのって日本国内でのWixela Inhub発売は?と期待を込めて検索してみたのですが、そのような話は確認できませんでした。なにせ米国においても初の試みですので、経過を観察しながらという感じでしょうか。

 

以下は2018年11月7日に記しました

アドエアのジェネリック医薬品が発売されない理由についての記載です。

喘息の吸入薬を吸うときの口の形は「フー」ではなく「ホー」

喘息治療薬アドエアにはジェネリック医薬品がありません。どちらの製品も2017~2020年あたりで特許期間が終了予定なのですが、いっこうにジェネリック医薬品の話題は聞こえてきません。そこで今回は喘息吸入薬のジェネリック医薬品について調べてみました。(両製剤ともに再審査期間は満了しています)

結論

 

・薬の有効成分の特許は満了していても、吸入器の特許が残っているため

 

・吸入器の特許が残っている場合、後発メーカーは吸入器の開発を行わなければならないため

 

・吸入器の開発費を考慮すると、「先発の薬価×0.5」という薬価では採算が合わないため

 

・吸入薬は肺への局所作用を目的とした製剤であり、薬物動態を血中濃度から割り出すことが難しいため、先発品との同等性を評価することが難点となっている

 

・アメリカでもアドエアのジェネリック医薬品が2017年に1つだけ承認されただけ

喘息発作時における吸入ステロイド4倍投与の有用性について

私の調べた感じでは上記がその理由です。

 

吸入器の特許について

 

吸入口に口をつけて自分で吸うタイプ

アドエア・レルベア・シムビコート

 

吸入器にカプセルをセットして自分で吸うタイプ

オンブレス

 

吸入口から噴霧された薬を吸い込むタイム

フルティフォーム・オルベスコ

 

上記のように吸入器の形はメーカーによって大きくことなります。吸入薬を製造販売している先発メーカーには、各社オリジナルの“吸入器“が存在しており、そのオリジナルの吸入器から噴霧(吸引)した場合に、適切な薬量が肺へ到達するように設計されています。

しっかり吸入することができる吸入薬の形はブリーズヘラータイプ(ウルティブロ・オンブレス)/吸入器の形と吸入流速を比較する

そのため後発メーカーがゼロから吸入器を開発する場合、その吸入器から噴霧(吸引)した場合に、適切な薬量が肺へ到達することを示さなければなりません。これは非常にハードルが高い気がします。

吸入薬の薬価について

吸入薬のジェネリックを製造した場合、有効成分のコストに加えて吸入器のコストもかかります。そのため「先発品の薬価×0.5」というジェネリック医薬品の価格帯が適切かどうかは難しいところです。それに加えて吸入器の開発から行う場合、“開発費”という大きな赤字からのスタートとなります。

 

年間売上を見てみると、市場規模でシムビコートが440億円、アドエアが380億円程度の年間売上となっていますので、もしジェネリック医薬品が1社から発売された場合であれば、期待はもてる市場ではあるのですが・・・

追記

シムビコートのジェネリック医薬品が2019年2月に承認されました。

喘息の吸入薬を吸うときの口の形は「フー」ではなく「ホー」

効き目について

内服薬の場合は血中濃度を測定することで効果の同等性を示すことができるのですが、吸入薬ではそのような指標がありません。そのため日本に限らず、アメリカでも吸入薬や徐放性貼り薬に関しては、“ジェネリック医薬品が承認しにくい”という実情があります。

 

2017年4月に製薬会社“テバ”は、もともとライセンスを保有している“Respiclick“という吸入器にアドエアの有効成分を詰め込んでAirDuo™RespiClickという商品を開発し、FDSに承認されました。しかし、このAirDuoの1噴霧中に含まれる有効成分の厳密が含有比率はアドエアと異なります。吸入薬に含まれる有効成分の量が同じであっても、吸入器が異なると、そこから噴霧(吸引)される薬量も異なり、肺に到達する薬量も異なるわけです。そのため日本のルールではAirDuoをアドエアのジェネリック医薬品とは呼ぶことができません

アドエアは自分で吸引するタイプの吸入器であるのに対してAirDuoは噴霧型(サルタノールやキュバールのようにプッシュして噴霧させるタイプです)。AirDuoには以下の3規格の製品が販売されております。

フルチカゾン55㎍/サルタノール14㎍(フルチカゾン49㎍/サルタノール12.75㎍)

フルチカゾン113㎍/サルタノール14㎍(フルチカゾン100㎍/サルタノール12.75㎍)

フルチカゾン232㎍/サルタノール14㎍(フルチカゾン202㎍/サルタノール12.75㎍)

吸入器を1プッシュして1.4L/分の吸引力で1.4秒間吸った場合はカッコ内に記した薬量が肺へ送達される計算となります(実験は試験管内で行われておりますので実際の吸引量は個人差があります)。このデータから、ジェネリック医薬品へ変更することで吸入器の形が変わると、厳密な吸入量も変わってしまうことがわかります。(日本国内のルールでは、AirDuoをアドエアと同等の製品とは認められないと私は思います)

FDAは2018年1月16日に、吸入薬や徐放性貼り薬といった複雑な薬(Complex drugs)について先発医薬品の独占市場(価格高値)が続いている状況に対して、ジェネリック医薬品の製造開発が進むようにガイダンス案を策定することを明言しています。

吸入薬や徐放性貼り薬などの複雑なジェネリック医薬品に関するFDAの表明

注意)FDAは2018年10月に徐放性貼り薬のジェネリック医薬品に関するガイダンス案を開示しましたが、吸入薬のジェネリック医薬品に関するガイダンスについては明言していません。

(24時間以上の貼付薬については、体に吸収される薬物量が貼付面積に依存することから、シャワーを浴びた時の粘着力の低下や寝ているときの体のネジレ・寝具との摩擦による粘着力低下などを指標にしてはどうかといった案をガイダンスに盛り込んでいます)

 

まとめ

アドエアのジェネリック医薬品は有効成分の特許が切れていても、吸入器の特許が続いているために、ジェネリックメーカーは吸入器の開発をしなければならない。しかし吸入器が異なると、そこから噴霧される薬の量が異なるため、肺へ到達する薬の量もことなります。

 

ジェネリック医薬品の同等性試験として、2018年現在、肺へ到達した薬の量を計測するという生物学的同等性試験は定められておりません。

 

アメリカにおけるアドエアのジェネリック医薬品に状況については2017年にAirDuoという製品が初めて承認されましたが、厳密な1噴霧当たりの有効成分量はアドエアとは異なります。(日本国内のルールではAirDuoをジェネリック医薬品とは呼べません)

徐放性貼り薬のジェネリック医薬品に関するガイダンス

-FDA承認, 気管支喘息治療薬

執筆者:ojiyaku


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