おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

COPD(閉塞性肺疾患) 気管支喘息治療薬

しっかり吸入することができる吸入薬の形はブリーズヘラータイプ(ウルティブロ・オンブレス)/吸入器の形と吸入流速を比較する

投稿日:2018年6月17日 更新日:

しっかり吸入することができる吸入薬の形はブリーズヘラータイプ(ウルティブロ・オンブレス)/吸入器の形と吸入流速を比較する

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の中程度~重症度の患者さんは空気を吸う力(吸引力)が低下してしまいます。COPDの治療薬として乾燥粉末吸入器が使用されるのですが、患者さんの空気を吸う力が低い場合、乾燥粉末吸入器をしっかり吸うことができないため、医師が期待する薬の効果が出ない場合があります。今回は中程度~重症のCOPD患者さんが各種吸入器を吸う力について調べてみました。

使用する吸入器

ブリーズヘラータイプ:ウルティブロ、オンブレス

エリプタタイプ:アノーロ、エンクラッセ

ハンディ―ヘラータイプ:スピリーバ(カプセルを充填するタイプ)

以下の写真を参照ください

吸入器の吸入流速を比較する

対象となる患者さん

10年以上の喫煙歴がある40歳以上の方のうち中等度~非常に重度の閉塞性肺疾患(COPD)患者さん97名です。(息を吐き出しにくいと感じる方)

 

吸引力の計測方法は、上記の吸入器の吸入口(マウスピース部分)に吸引力測定器をセットして吸う力を測定しています。

 

結果(年齢・性別を考慮した平均値)

ブリーズヘラータイプ(ウルティブロ、オンブレス):108±23L/min

エリプタタイプ(アノーロ、エンクラッセ):78±15L/min

ハンディ―ヘラータイプ(スピリーバカプセルを充填するタイプ):49±9L/min

ブリーズヘラータイプの吸入器は、エリプタやハンディ―ヘラータイプの吸入器に比べて、しっかりと吸入できることが示されました。今回のデータは薬が適切に患部(気管支)に届くためには“吸いやすさ(吸入流速)”が良い方が、吸引力が低下しているCOPD患者さんの治療に有益であろうという観点から行われたものです。

ブリーズヘラー・エリプタ・ハンディヘラーによる吸入流速を比較する

そのため、各種吸入薬が本来持っている薬としての効き目・強さを比較したものではありません。(吸入器の特性を比較したものです)

喘息の吸入薬を吸うときの口の形は「フー」ではなく「ホー」

尚、上記とは異なる報告なのですが、喘息治療用の吸入薬として使用されるディスカスタイプ(アドエア・フルタイド)およびタービュヘイラータイプ(パルミコート・シムビコート・オーキシス)とハンディーヘラータイプ(スピリーバカプセル)の吸引力を比較したデータによると

ディスカスタイプ(アドエア・フルタイド):82.4L/min

タービュヘイラータイプ(パルミコート・シムビコート):53.1L/min

ハンディ―ヘラータイプ(スピリーバ):40.4L/min

ディスカス・タービュヘイラー・ハンディヘラー吸入器と吸入流速を比較する

ディスカス・タービュヘイラー・ハンディヘラーの吸入流速を比較する

とされておりますので、どちらのデータもスピリーバハンディ―ヘラータイプを吸うためには一定量の吸引力が必要であることがわかります。ここまでのデータですと、中程度から重症のCOPD患者さんには使用しにくい薬という内容になってしまいますので、以下にスピリーバレスピマット製剤の肺への到達率について示します。

 

スピリーバ製剤に関しては、ハンディ―ヘラーの次に発売されたレスピマット製剤あります。レスピマット製剤は吸引するタイプではなく、ボタンを押すとミストが一定量噴霧するタイプのCOPT治療薬です。そのため吸引力が低下している患者さんでも十分な薬の効果が感じられます。

 

肺への薬剤到達率を評価したデータによると、タービュヘイラータイプ(パルミコート・シムビコート製剤)の肺への到達率15%、タービュヘイラータイプに吸入用のスペーサー(補助器具)を付属した場合の肺到達率28%であったのに対して、スピリーバレスピマットの肺到達率は39~45%となっておりますので、吸引力に左右されずに十分な薬の効果が示されています。

(上記のパーセンテージは吸入器にセットされた薬のうち、どれくらいの量が肺へ到達するかを視覚的に評価したデータです。)

スピリーバレスピマットを使用した時の肺へのミスト到着率

 

-COPD(閉塞性肺疾患), 気管支喘息治療薬
-COPD, アドエア, アノーロ, ウルティブロ, エンクラッセ, オンブレス, シムビコート, スピリーバ, パルミコート, レルベア, 吸入流速, 吸引力, 比較

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

MUCODYNE-effect

ムコダインの効果:気道や鼻腔の「通り道を治す」はたらきを患者様へお伝えする

目次 ムコダインは鼻腔や気道の「通り道を治す」はたらき1:粘液構成成分調整作用2:粘膜正常化作用 ムコダインは鼻腔や気道の「通り道を治す」はたらき   気管支炎や副鼻腔炎、滲出性中耳炎などの …

asthma-RELVAR-ELLIPTA

喘息症状が悪化したときに頓服として使用されるレルベアの効果について

目次 喘息症状が悪化したときに頓服として使用されるレルベアの効果についてまとめ 喘息症状が悪化したときに頓服として使用されるレルベアの効果について   喘息治療薬「レルベアエリプタ」は1日1 …

Inhalation-of-asthma

喘息の吸入薬を吸うときの口の形は「フー」ではなく「ホー」

喘息の吸入薬を吸うときの口の形は「フー」ではなく「ホー」   喘息の吸入薬を吸うときの口および舌の形と吸入量に関する報告がありました。私はこれまで「フー」っと息を吐いて、そのまま吸入薬をくわ …

lymparza-durgs

気管支喘息治療薬ファランセ皮下注、再発卵巣がん治療薬リムパーザ等が審議予定

気管支喘息治療薬ファランセ皮下注、再発卵巣がん治療薬リムパーザ等が審議予定   厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会において2017年11月24日に5製品を新薬として承認するかど …

COPD-steroid

慢性閉塞性肺疾患(COPD)における3剤併用(ステロイドあり)と2剤併用の比較データ

慢性閉塞性肺疾患(COPD)における3剤併用(ステロイドあり)と2剤併用の比較データ 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、吸入ステロイドを含む3剤併用療法と既存の治療方法である2剤併用療法に関 …