ハイペン錠(エトドラク)の痛み止めの効果を他剤と比較する
腰痛や術後の疼痛でハイペン錠が処方されることがあります。ハイペン錠の鎮痛作用がどの程度なのかを知るために、他剤と比較した報告があればなぁと思い調べてみました。
下あごから第三臼歯(おやしらず)を抜いた成人20人が痛み止めとしてブルフェン600mgを1日3回、3日間使用した時と、ハイペン300mgを1日3回3日間使用した時の痛み止めとしての効果を比較したところ、歯を抜いて2~7日間の評価ではブルフェン錠を飲んだ群よりもハイペン錠を飲んだ群で口が大きく開くことが示されました。またブルフェン錠を飲んだ群よりもハイペン錠を飲んだ群の方が追加の頓服薬(痛み止め)を飲む必要性が低かったと記されています。
術後の歯痛を緩和するためにハイペン錠400mgまたはタペンタ錠100mg(非オピオイド鎮痛剤で国内では癌性疼痛治療薬として使用されています)を飲んだ時の痛み具合VASスコア(最大の痛みを10cmとしたとき、現在の痛みがどの程度かを示す尺度)で評価すると
ハイペン錠400mg:2.68±2.29cm
タペンタ錠100mg:0.89±0.83cm
上記の尺度は長ければ長いほど「痛い」という意味ですので、
歯と歯茎の炎症による術後の痛みに関してはハイペン400mgよりもタペンタ錠100mgの方が痛みを抑えることができると評価しています。
膝の変形性関節症の治療のためにハイペン徐放錠400mgまたはボルタレン徐放錠100mgをそれぞれ32人の患者さんが飲んだ時の痛み軽減作用および副作用発現頻度を確認したデータでは、痛み止めとしての効果には両群で同程度であることが示されました(両群間に統計的な有意差は認められませんでした)。ボルタレン徐放錠服用群に比べて、ハイペン徐放錠400mg使用群では胃腸障害の副作用頻度が低く治療期間中に服用した制酸薬の量も少なかったことから、ハイペン徐放錠は膝の変形性関節症患者さんに対してはボルタレンよりも副作用を抑えながら同等の治療を行うことができると評価しています。
一般的に痛み止めを飲むと「胃に悪い」と言われますが、ハイペン、ブルフェン、インドメタシン、ナイキサンを1週間飲んだ後の糞便中の失血量を確認したデータによると
糞便中の失血量
ハイペン400~600mg群:013ml
ブルフェン錠600mg群:1.14ml
インドメタシン50mg群:1.14ml
ナイキサン375mg群:0.87ml
フェルビナクを有効成分とするセルタッチ・スミルテープ・フェイタス・フェルナビオンテープの使用感について
高用量のハイペンを7日間服用しても他のNSAIDSに比べて消化管出血量は少ないことが示されています。
セレコックスなどのコキシブ系痛み止めとハイペン錠を含む選択的COX2阻害剤を服用したあとの胃腸障害の副作用を確認した試験では大きな変化は見られなかったと報告しているデータがありますので、ハイペン錠は胃腸障害の副作用が比較的少なく、鎮痛作用の効果はボルタレン同等で良く効く痛み止めの一つであるのかなぁと思いました。