アリドネパッチの使用方法について(
追記:アリドネパッチが2023年3月15日に薬価収載され、2023年4月14日に発売開始となります。
アリドネパッチの名前の由来についてですが、「アリ」はアリセプトの「アリ」ではなく、Ally「フランス語読みで「味方・仲間・協力者」といった意味です。「ドネ」は有効成分の「ドネペジル」の頭2文字をとって命名されました。
余談ですが、飲み薬”アリセプト錠”の「アリ」「Ari」と記し、アルツハイマーを意味しています。
貼付部位についてですが、背中、上腕、腕のいずれかに貼ります。貼る場所は毎回変え、同じ場所に続けて貼らないこと。一度貼った場所には7日間以上の間隔をあけてから貼ることが、患者向け指導用紙に記されていますので注意が必要です。
さらに、お薬を貼っている間だけでなく、剥がした後の3週間は、貼った場所を衣服でおおうなどして、直射日光があたらないよう注意が必要です。また、お薬を貼った場所が、過度の直射日光、あんか(保温具)、サウナなどで熱くならないよう注意が必要です。
認知症進行抑制薬「アリドネパッチ」が製造承認されました。2023年3月に薬価収載が予定されており、2023年4月に発売予定となります。
既存で同類薬のアリセプトD錠(ドネペジル塩酸塩OD錠)が流通されており、アリドネパッチはその貼付剤となります。
今回はアリドネパッチの使用方法について調べてみました。
アリドネパッチとは
既存で処方されている認知症進行抑制薬「アリセプトD錠」の一般名は”ドネペジル塩酸塩”と言います。
ドネペジル塩酸塩をゴクンと飲むと、体内で活性本体である「ドネペジル」となり、認知症の進行を抑制する効果が期待されます。
2023年に発売される「アリドネパッチ」は、そのものズバリ「ドネペジル」が主成分となります。
ドネペジル塩酸塩5mgと同等の効果が期待されるのが「アリドネパッチ27.5mg」であり、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症に用いられます。
ドネペジル塩酸塩10mgと同等の効果が期待されるのが「アリドネパッチ55mg」であり、高度アルツハイマー型認知症に用いられます。
アリドネパッチ27.5mgを1日1回4週間以上経過後にから55mgへ増量することができます。
背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替えます。
注意)レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制は適応外です。
ドネペジル塩酸塩錠とアリドネパッチの同等性について
健康高齢男性を対象として、アリドネパッチ27.5mgを1日1回1枚17日間を反復貼付した場合と、ドネペジル塩酸塩3mg7日間服用後、5mgへ増量して継続服用した場合における血中の「ドネペジル」のAUCの幾何平均値の比を確認したデータでは、アリドネパッチ27.5とドネペジル塩酸塩5mgとの比率が0.96(0.82~1.12)であることが報告されました。
生物学的同等性の判定基準は90%信頼区間として0.8~1.25を満たす範囲が求めらえるわけですが、上記の結果より、両剤は同等性が確認されました。
アリドネパッチ27.5mgを1日1枚連日使用すると、血液中のドネペジル濃度は緩やかに上昇していき、17日後に定常状態に達したことが報告されています。
アリドネパッチの半減期は貼付部位により若干ことなるのですが、背部や胸部では87.5時間、上腕では92時間と
報告されています。
上記の半減期をざっくりと90時間として計算式で定常状態に達するまでの時間を計算してみると
90時間×4÷24時間=15日
となりますので、計算値がおおよそ臨床データである17日間と類似することが示唆されました。
飲み薬から貼り薬に変更する利点は?
飲み薬かから貼り薬に変更する利点はいくつかあるかとは思うのですが、まずは2製剤の副作用頻度を確認してみます。
アリセプトD錠:胃腸障害(3.73%)、食欲減退(1.79%)、精神障害(1.95%:怒り0.24%)
アリドネパッチ:胃腸障害(3.8%)、食欲減退(1.9%)、精神障害(2.8%:怒り0.9%)、投与部位の掻痒・紅斑など(38.4%)、皮膚炎(11.6%)
ということで、飲み薬も貼り薬も、胃腸障害・精神障害に関する副作用は同程度に発現していることがわかります。
アリドネパッチはそれに加えて、貼付部位の痒みや紅斑などの副作用が30~40%起こりうることがわかります。
副作用だけを見ると、アリドネパッチを使用する利点は・・・見出しにくいかもしれません。
アリドネパッチの有用性は、家族や介護者が「薬を使用している」ことを確認できることです。継続的な認知症の治療で困難なことは、本人が薬をのんだか飲んだかどうかを認識できないことです。飲み薬の場合、錠剤を飲んだ殻を捨ててしまうと、「飲んだかどうかわからない」状態となります。場合によっては2日分を飲んでしまうという報告もあります。
一方、貼り薬の場合は、貼ったかどうかを目視で確認できるため、家族や介護者にとっては正しく治療が行われているかどうかを判別することが可能です。
アリドネパッチにはパッチ表面に日付・時間を記す場所がありますので、有益に活用できればと思います。