おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

治験 認知症

アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」の効果について(2021/10/17)

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アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」の効果について(2021/10/17)

軽度アルツハイマー病患者に対しては4週に1回アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を投与したデータが公開されました。

投与量は低用量(3~6 mg/kg)または高用量(6~10 mg/kg)のいずれかとして、4週に1回静脈内投与がおこなわれました。最大で1年半(20回)の投与を行ったEMERGE試験の結果です。

アデュカヌマブを1年半投与した臨床データ開示

アデュカヌマブを投与することにより、患者1人当たり生涯にわたりる質調整寿命(QALYs)をプラセボと比較して0.65増加させることが確認されました。さらに、介護者のQALYsを0.09減少させることも報告されました。認知症治療は本人だけでなく介護者の負担も大変ですので、介護者の負担軽減が確認されたことは有益なデータと感じます。

 

また、アデュカヌマブの投与により、アルツハイマー型認知症に移行する生涯確率が低下し、中等度アルツハイマー型認知症へ移行するまでの期間は、プラセボ群が4.92年だったのに対して、アデュカヌマブを投与した群では7.5年に延長することが確認されました。

 

また、施設入所に移行する生涯確率に関しても、

アデュカヌマブを群:25.2%対プラセボ群29.4%

と低下しているうことが確認され、社会生活を送る期間の中央値が1.32年増加したことが示されました。

 

アデュカヌマブは現在アメリカにて医薬品として認可されておりますが(信憑性を疑う医療従事者もおります)、日本では認可されておりません。また年間の薬剤費が600万円を超える治療であるため、費用対効果および、医薬品として認可し続けることが妥当かについて検討が行われている製剤と私は解釈しております。

 

 

エーザイ「早期アルツハイマー病治療薬”レカネマブ”」を米国FDAへ段階的申請プロセル開始(2021/9/29)

エーザイはアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」について、米国FDAに対し、段階的申請のプロセスを開始したことを発表しました。迅速承認制度を活用するとしています。

同社が開発したレカネマブは、アルツハイマー病の一因と考えられている”可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)”(異常たんぱく質の凝集したもの)に対するヒト化モノクロナール抗体(異物と認識してくっつく抗体)という生物製剤です。

臨床Ⅱb相試験データ

アミロイドβの脳内蓄積が確認された早期アルツハイマー病患者856人を対象としたデータによるとレカネマブ10mg/kgを2週間に1ど、18カ月間投与したところ、PET画像にて脳内のアミロイドβ蓄積量がベースライン(投与開始時点)では平均1.37ユニットであったものが、0.306ユニットに減少し、被験者の80%以上で脳内アミロイド陰性化が確認されたとしています。

また、脳内アミロイドβ減少の程度と、アルツハイマー病の臨床症状の有効性評価(ADCOMS、CDR-SB、ADAS-cog)による悪化の抑制度合いは相関している発表しています。

エーザイが早期アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」をFDAへ早期申請

アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」が米国で承認される(2021/6/8)

2021年6月7日、米国食品医薬品局「FDA」はアルツハイマー病治療薬として「アデュカヌマブ」を迅速承認しました。

アデュカヌマブとはアルツハイマー病の原因の一因と考えられる「アミロイドβ」を標的とする抗体医薬品です。アデュカヌマブを投与された被験者の脳内では、脳内のアミロイドβとアデュカヌマブ抗体がくっついて、マクロファージや好中球が「アミロイドβ+アデュカヌマ」を貪食する(食べる)ことにより、脳内のアミロイドβが除去されるという薬理作用を示します。

アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」が米国で医薬品として承認される

 

早期アルツハイマー病患者を対象とした治験データによると、アデュカヌマブを投与した群では投与しなかった群と比較して約1年半後の認知機能の低下率が22%抑制されたことが示されています。

FDAは承認に際し、投与することでの効果を明確にするために、あらたなランダム化比較試験の実施を求めています。効果が確認されなければ、承認を取り消すことも視野にいれています。

投与量については、4週に1回、1mg/kgからスタートして10mg/kgへ徐々に増量していきます。半年ほどかけて維持量である10mg/kgへUPしていきます。

10mg/kgを維持量とした場合の年間薬剤費は日本円で613万4240円です(米国価格)。

早期アルツハイマー患者を対象と考えたとしても、日本の保険医療で、この医薬品を賄うと考えると恐ろしい金額にも思えます。

日本国内では2020年12月にバイオジェンが承認申請を厚生労働省に提出しています。

以下に、アルツハイマー病に対するアデュカヌマブの臨床データおよび、承認に至るまでの経緯を記します。

 

アルツハイマー病治療薬“アデュカヌマブ”を米国FDAが受理(2020/8/20)

米バイオジェンエーザイはアルツハイマー病治療薬候補「アデュカヌマブ」の申請がが米国食品医薬品局(FDA)に受理されたことを公開しました。

アルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」がFDAに受理される

 

アデュカヌマブの受理に関しては、優先審査の指定を受けており、審査終了目標日は2021年3月7日に定められています。

FDAは、迅速審査のもと、可能であればこの申請について早期に審査を完了する予定であると述べています。

アデュカヌマブは脳内のアミロイドβの除去を作用機序としており、臨床結果の改善をもたらすことが報告された薬剤です。

アルツハイマー病治療薬“アデュカヌマブ”を米国FDAへ申請(2020/7/8)

米バイオジェンとエーザイは7月8日、アルツハイマー病治療薬として臨床試験を行っていたアデュカヌマブ(抗アミロイドβ抗体)について、米国FDAへ医薬品としての申請を行いました。FDAは60日以内に申請の受理を判断する予定となっています。申請が受理された場合は、FDAによって承認審査が行われます。(承認が認可されれば抗アミロイドβ抗体としては初の医薬品となります)

 

臨床試験結果において、アデュカヌマブはアルツハイマー病における脳内アミロイドβを除去することで、臨床症状の悪化を抑制することが報告されています。軽度認知障害患者および軽度アルツハイマー病の患者を対象とした臨床試験では、アデュカヌマブ投与群において、記憶・見当識・言語などの認知機能悪化が有意に抑制され、金銭管理・家事(掃除・買い物・洗濯)や単独での外出などの日常生活動作の悪化抑制が確認されたと報告されています。

エーザイがアルツハイマー病治療薬アデュカヌマブをFDAへ申請

 

アルツハイマー病治療薬“アデュカヌマブ”が医薬品となりうるか?(2019/12/12)

 

米バイオジェンとエーザイが開発しているアルツハイマー病治療薬“アデュカヌマブ”は2019年3月時点では効果がない可能性があるとして治験が中止された経緯がありました。日本国内でも先が兼審査指定制度の対象品目の指定が取り消されていました。

血液検査でアミロイドβタンパク質の蓄積状況が90%の精度で確認できる

しかし、大規模データ(3285人)の解析を行った結果、高用量のアデュカヌマブ(10mg/kg)1カ月に1回投与した群がプラセボ群と比較して“23%の症状の悪化抑制”が示され、主要評価項目を達成したことが報告されました。

 

記憶などの認知機能や生活機能、家族や介護者からの情報をもとにした情報などの評価基準としては

MMSE(ミニメンタル試験):15%抑制

ADAS-Cog13:27%抑制

ADCS-ADL-MCI(家族・介護者からの生活情報):40%抑制

いずれもアデュカヌマブを投与した群で一貫して悪化抑制効果が示されています。

 

アミロイドプラーク沈着のイメージングではアデュカヌマブを投与した群はプラセボ群と比較して投与26週および投与78週時点でアミロイドプラーク沈着の減少が確認されています。アルツハイマー病臨床試験会議での報告によると、早期のアルツハイマー病患者らを対象にした治験データによると、薬を使用しなかった群(550人)に比べて、アデュカヌマブを使用した群(550人)では、約1年半後、認知機能の低下が22%抑制された。

aducanumab

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アデュカヌマブによる主な副作用:頭痛症状

アデュカヌマブの臨床Ⅲ相試験報告概要

エーザイが早期アルツハイマー予防薬”BAN2401”の国内臨床治験開始(2021/1/24)

製薬大手のエーザイは早期認知症予防薬(注射製剤)としてBAN2401の国内臨床試験を行うことを公開しました。被験者は55~80歳の男女でアミロイドβタンパク質の脳内蓄積が確認されているものの、無症状の方を対象としています。2~4週に1回、4年間の投与による認知症発症率の違いが研究されます。

BAN2401とは

BAN2401はアミロイドβタンパク質の凝集体(認知症患者の脳内に蓄積しているタンパク質)に対するヒト化モノクロナール抗体です。BAN2401のイメージとしては、アミロイドβタンパク質に選択的にくっつく抗体という感じです。一般的に抗体がくっついたタンパク質は”異物”と認識されて、マクロファージによって貪食されます(マクロファージが処理・除去します)。BAN2401はアミロイドβタンパク質(神経毒を有すると考えられています)にくっついて、無毒化し、脳内から除去させることで、認知症の発症を遅らせることができるのでは?と考えられている化合物です。

(エーザイが、他方で研究しているアデュカヌマブとは異なります)。

臨床試験

世界1400人を対象として4年間の投与を行い新薬となりうるかについて研究が行われます。

被験者:アミロイドβタンパク質がの脳内に蓄積しているものの、認知症を発症していない無症候患者55~80歳の男女1400人をプラセボ群とBNA2401投与群にわけて調査されます

対象国:米国・日本・カナダ・オーストラリア・シンガポール・欧州

投与期間:2~4週に1回点滴、4年間(216週)

主要評価項目:アミロイドPET検査による脳内アミロイド蓄積変化

副次評価項目:タウPET検査による脳内タウ蓄積変化

この臨床試験は米国にて2020年7月14日に治験開始が行われており、日本では2021年2月に治験が行われる予定です。

 

一般的に、軽度認知障害が認められる10~15年ほど前の時点から、脳内にアミロイドβタンパク質が蓄積されていくことが報告されており、アミロイドβタンパク質の蓄積量がある一定量を超えた段階で、脳の萎縮・認知機能の低下が発症することが示唆されています。BAN2401の優れている点は軽度認知障害が確認される前段階でアミロイドβタンパク質の除去を可能にすることで、脳萎縮や認知機能低下を遅らせることが期待されている点です。

 

現時点での世界における認知症患者数は5000万人といわれていますが、2050年には約3倍の1億5000万人を超えることが試算されています。日本国内でも2025年には730万人が認知症患者となることが予想されており、認知機能の低下を早い段階で予防・遅延させることが、有益な治療方針となります。

早期認知症予防薬BAN2401の国内臨床試験開始

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執筆者:ojiyaku


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