おじさん薬剤師の日記

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アルコールを飲むと太る理由/満腹中枢セロトニン2C受容体(5HT2C受容体)との関係について

投稿日:2018年5月16日 更新日:

アルコールを飲むと太る理由/満腹中枢セロトニン2C受容体(5HT2C受容体)との関係について

 

「〇〇というお薬を飲むと太ることがある」というテーマでいくつか調べてみたところ、ジプレキサ・セロクエル・プレドニンといった薬について食欲が増える理由の一つに共通するポイントがあることがわかりました。脳内の“満腹中枢”へのかかわりが大きいセロトニン2C受容体(5HT2C受容体)に対して、上記の薬剤はセロトニンをくっつきにくくするという特徴があります。

5HT2C受容体へセロトニンがくっつくと「おなかいっぱい」と感じますので、セロトニンがくっつきにくくなると「おなかいっぱいではない」と感じることになります(いわゆる遮断薬としての作用です)。ジプレキサやセロクエルではさらにそれが助長し、逆作動薬という働きをすることが確認されています。逆作動薬とは「セロトニンが受容体にくっついておなかいっぱい」とは逆の作用のことを意味しますので「おなかすいた」という状況を作り出す可能性が示唆されています。

プレドニンを飲むと太る理由

「〇〇を飲むと太る」を調べている中で、「アルコールを飲むと食欲が増えることがあるなぁ」と思ったもので、今回はアルコールとセロトニン5HT2C受容体の関係について調べてみました。

 

以下はヒトではなくマウスについてのデータですのでどのように解釈するかはそれぞれなのですが、マウスを密封ゲージに入れて気化したエタノール蒸気を1日4時間20日間連続で吸引させることで慢性的にアルコールを暴露させた後に、自由にアルコールを飲める状況内にマウスを入れると、アルコール暴露したマウスのアルコール摂取量が増加することが報告されています。いわゆるアルコール中毒がアルコールをたくさん飲むという状況です。このマウスの脳内をしらべたところセロトニン5HT2C受容体の発現量が増加していることが確認されています。

脳内の5HT2C受容体が増えることと、食欲が増えるかどうかに関する報告を探したのですが、5HT2C受容体の過剰発現マウスに関する具体的な報告を探すことはできませんでした。その前段階の報告なのですが、アルコールを飲むと5HT2C受容体mRNAの編集頻度が増加してすることで5HT2受容体が増えることが確認されています。アルコールを飲んでもmRNAの編集頻度が増えないような遺伝子のマウス(INIマウス)ではアルコールを飲んでも食事の摂取量や飲水量、体重増加に変化がないことが示されています。逆にアルコールを飲むことでmRNA編集頻度が多いマウスでは食事の摂取量が増えるものの、体重の増加が遅いという報告がなされています。ここまで調べた私のイメージですが、慢性的にアルコールを飲むと5HT2受容体の編集頻度が増して5HT2受容体の発現量が増え、食事の摂取量が増すのかなぁという印象をもちました。

ジプレキサやセロクエルを飲むと太る理由

5HT2C受容体を持っていないマウスでは肥満・過食となることが報告されており、5HT2C受容体に変異(正常に機能しない状態)があるマウスでも過食が報告されています。アルコールを慢性的に摂取した時のように5HT2C受容体が過剰発現した時の脳内モデルについては今後とも定期的に調べてみたいと考えております。

 

 

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執筆者:ojiyaku


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