てんかん発作時に教職員が「ブコラム口腔用液」を使用する方法を公開
武田薬品は、児童のてんかん発作時に教職員が「ブコラム口腔用液」を投与する方法について同ホームページに公開しました。
学校、保育所、幼保連携型認定こども園、放課後児童健全育成事業、放課後子ども教室、認可外保育施設等において児童生徒がてんかん発作を起こした場合を想定し、教職員が「ブコラム口腔用液」を投与する方法です。医師法違反とならない4つの条件が明記されています。
教職員が「ブコラム口腔用液」を投与する際の4つの条件
①当該児童等およびその保護者が事前に医師から書面で指示を受けている
②当該児童等にブコラムを使用することを学校等に具体的に依頼している
③当該児童等を担当する教職員などが、使用が認められる児童等本人であることを改めて確認し、使用の際の留意事項に関する書面の記載事項を遵守してブコラムを使用する
④同剤の使用後は、当該児童等を必ず医療機関で受診させる
武田薬品のホームページにはブコラム口腔用液を投与するタイミングなどが動画で確認できます。
・一般的な投与判断の目安は発作開始後5分
・奥歯の歯茎の外側で頬との間に投与する
・頬の粘膜から吸収される製剤であるため、飲み込んだりしない程度の速さで片側にゆっくり投与する
(医師の指示がある場合は両側の頬に半量ずつ投与する)
といった具体的な投与方法が公開されています。
てんかん発作時の頓服薬「ブコラム口腔用液」が医薬品として承認
2020年11月11日
ブコラム口腔用液が医薬品として承認されました。
効能・効果:てんかん重積状態
薬価:
2.5mg0.5mL1筒 1125.80円
5mg1mL1筒 1977.80円(1日薬価:1977.80円)
7.5mg1.5mL1筒 2750.00円
10mg2mL1筒 3474.60円
てんかんの重積状態は、迅速な治療を行わない場合、長期的な後遺障害に至ることもあり、初期治療が非常に重要となります。武田薬品が製造承認を目指す「ブコラム口腔用液」は、てんかん発作時に口腔内へ投与する液剤で、即効性のある抗てんかん薬です。2014年に静脈投与による“てんかん重積状態に対する治療薬”として承認されており、2020年11月11日に、医薬品として承認されました。
今回はブコラム口腔用液について調べてみました。
ブコラム口腔用液
ブコラム口腔用液は、頬粘膜投与型のてんかん発作治療薬で、てんかん発作が生じた時に緊急時に使用する製剤です。海外ではBUCCOLAMという製品名でEU27か国、イギリスなどの33か国で承認され、使用されております。
ブコラムの成分である“ミタゾラム”はドルミカムという商品名の注射液があり、病院では催眠・抗不安・抗けいれんなどを目的として使用されている製剤です。即効性・持続静脈投与も可能であり、非常に有益な製剤ですが、これまでは内服薬はありませんでした。
ブコラム口腔内用液の効き目について
急性期のけいれん発作治療薬として「ジアゼパム(ホリゾン)」という治療薬があります。ブコラム口腔内用液とジアゼパムの直腸投与または静脈内投与を比較した試験結果(被験者:688人の小児)によると、直腸へのジアゼパム投与を受けた場合、10分以内に発作が治まる率が41~85%であったのに対して、ブコラム口腔内用液を投与した場合の発作が治まる率は65~78%でした。
また、ブコラム口腔内用液投与後、1時間以内に再発せず、、10分以内に発作兆候が治まる率は56~70%と報告されています。
静脈内にジアゼパムを投与した場合と、ブコラム口腔内用液を比較した試験では非常に類似した結果が報告されています。
ブコラム口腔内用液の投与方法
液剤をシリンジで全量吸い上げ、歯と頬の間の空間に投与します。場合によっては半量ずつ右と左に分けて、口の両側に分割して投与します。ブコラム腔内用液投与後、10分以内に発作症状が止まらない場合は救急車を呼ぶ必要があります。