長時間睡眠薬ドラール錠とダルメートカプセルの比較データ
長時間作用型ベンゾジアゼピン系の睡眠薬であるドラール錠とダルメートカプセルに関する臨床データ報告について確認してみました。
ドラール:半減期が39〜120時間と非常に長いという特徴があるため、短時間型のベンゾジアゼピン系に特有の“薬の効きめが切れた不安感”という副作用がドラール錠では非常に低いという特徴があります。さらに半減期が長いために呼吸抑制や運動機能低下といった急性の副作用が生じる頻度も低いことが報告されています。
不眠症のためにドラール錠15mgを服用した群(33名)とハルシオン錠を服用した群(32人)を比較したデータでは、ドラール錠を服用した群で夜間の中途覚醒が有意に低いデータがしめされています。(ハルシオンに比べてドラールの効きめが長いため)。
また、治療終了(眠剤の服用を中止)時点の状況を確認してみると、ハルシオンを服用していた群で、「夜に眠れない」というリバウンド症状が確認されたのに対して、ドラール服用群ではハルシオンよりも低い頻度でリバウンド症状が確認されています。そのため退薬(不眠症状が治ったら眠剤を飲まない)を視野に入れながら中途覚醒の患者様に対して眠剤の治療を開始するケースにおいては、半減期が長いタイプの眠剤を選択するというのは有益なケースもあるかと思います。
ダルメートカプセル:半減期が40〜250時間
バルビツール系の鎮静催眠薬からダルメートカプセルへの変更で睡眠の質が同程度に維持されることが報告されています。ダルメートカプセルは中止から4日後に不安感や手の震え・睡眠障害などの離脱症状が報告されていますので減薬や中止を試みる際は注意が必要な場合があります。またダルメートカプセルとアルコールを併用すると、いわゆる「二日酔い」になりやすく、転倒や骨折のリスクが高くなる報告がなされています。
ドラール半減期が長いので、低用量でも一晩ずっと効果が続くかどうかを調査したデータがあります。60歳以上の慢性不眠症を患っている患者さん30名にドラール15mgまたはドラール7.5mgを飲んでもらって、効果を検証したデータによると、15mgを服用した群は寝付きがよく朝までぐっすり眠れている割合が多いのに対し、7.5mg服用群では寝付きは良いものの、早朝覚醒が見られたという報告がありますので、効き目が長いとはいえ、一定程度の血液中の濃度がなければ脳内のGABA受容体(眠るスイッチ)に対して安定した効果を示すことができないことが示唆されます。
成人17人に対してドラール錠15~30mg、またはダルメートカプセル30mgを投与したデータでは、1週間、2週間経過後でダルメートカプセル服用群では、日中の眠気が確認されましたが、ドラール服用群では日中の眠気の報告はありませんでした。高齢者に対してドラール15mgまたはダルメートカプセル15mgを投与したデータでも同様にダルメートカプセル服用群で1週間の服用により日中の眠気の報告がでました。この報告では、ドラール15mgを服用することは、ダルメートカプセルと比較して日中の眠気の副作用が少なく、運動能力の低下も少ないと報告しています。