おじさん薬剤師の日記

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アタマジラミ症治療薬“イベルメクチン0.5%ローション”について

投稿日:2019年3月2日 更新日:

アタマジラミ症治療薬“イベルメクチン0.5%ローション”について

 

海外で使用されているアタマジラミ症治療薬“イベルメクチン0.5%ローション”について科研製薬が、日本国内での開発および販売権を取得したことを公開しました。

(米国販売名:Sklice® Lotion, 0.5%)

 

イベルメクチン0.5%ローションは、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・カナダ・オーストラリアでは使用が認められております。日本国内ではイベルメクチン内服薬としてストロメクトール錠は医薬品として承認されているものの、外用薬としては承認されておりません。

 

アタマジラミ症は年間80万世帯ほどで発生しており、日本皮膚科学会からイベルメクチン0.5%ローションの開発が要望されております。

atamajirami

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イベルメクチン0.5%ローション(Sklice Lotion0.5%)

 

米国におけるイベルメクチン0.5%ローションの治療成績・使い方などを調べてみました。

 

生後6ヵ月以上の方が使用可能

 

使い方は、頭皮と髪の毛全体を覆うようにイベルメクチンローションを使用します。米国での包装単位はイベルメクチン0.5%ローション1本117gです。1回の使用で1本すべてを使います。(髪の長さによるかもしれません)

 

乾いた髪の毛に使用します(髪と頭皮が乾いていなければなりません)

 

最初に頭皮全体にイベルメクチンローションを塗り広げ、その後、頭皮に近い部分の髪の毛を覆います。それから髪の毛の先端に向かって塗り広げていきます。髪全体にひろがったら、イベルメクチンローションをこするように塗ります。

 

イベルメクチンローションが、シラミとシラミ卵をしっかりと覆いかぶさることが大切ですので、頭皮・髪の毛の生え際、髪の毛の先端にいたるまで全体が覆われていることを確認します。

 

この状態で10分間待ちます。

 

10分経過したら、シャワーでイベルメクチンローションを完全に洗い流します。(シャンプーなどは使用せず水だけで頭皮を洗い流すと記されています)

 

使用後はしっかり手を洗ってください。

 

目にイベルメクチンローションが入ると痛いので、注意すること。目に入った場合は洗い流してください。

イベルメクチンローションの治療成績

 

上記の方法でイベルメクチン0.5%ローションを使用した治療成績を確認しました。

(被験者:イベルメクチン群70人、プラセボ(偽薬)群:74人)

 

シラミがいなくなった割合

 

塗布から1日後(2日目)

イベルメクチン群:92.5~97.2%

プラセボ群:27.4~35.1%

 

塗布から7日後(8日目)

イベルメクチン群:84.4~85.9%

プラセボ群:20.5~21.1%

 

塗布から14日後(15日目)

イベルメクチン群:71.4~76.1%

プラセボ群:16.2~18.9%

 

上記のデータより、イベルメクチン0.5%ローションを使用すると15日後には71.4~76.1%の割合でシラミ除去が成功していることがわかります。

 

上記のデータの興味深い点として、イベルメクチン0.5%ローションを使用した日から、日数が経過するごとにシラミ除去の割合が減少している点です(90%→70%へ低下しています)。この原因はシラミ卵にあります。

 

シラミ卵について

シラミは髪の毛に卵を植え付けるのですが、卵は7~10日ほどで孵化(ふか)します。孵化したシラミは1~2週間ほどで成虫になります。成虫になると1日に3~4個の卵を産みます。イベルメクチン0.5%ローションを使用した翌日は、成虫のシラミをやっつけたため治療成績が90%台と高い値が記されています。しかし、日数が経過するにつれて、シラミ卵が孵化していきます。

 

理論的にはイベルメクチンはシラミ卵に浸透します。実験質での研究データによると、シラミ卵にイベルメクチンを振りかけたところ、シラミは孵化するものの、シラミ幼虫はすぐに死んだという報告があります。(幼虫の死因はイベルメクチン誘発性の口腔麻痺)

 

上記の理由により、イベルメクチン0.5%ローションは塗布から15日間ほど経過するまで、最終的な治療の結果がわからないということになります。

 

イベルメクチンローションの薬理作用(効果)

 

イベルメクチンはシラミの神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性クロライドチャネルに選択的かつ高い親和性をもって結合します。するとシラミの神経・筋細胞膜上にあるクロライドチャネルが開いて、Clが細胞内にどっと流れ込みます。その結果、細胞内で過分極(Clがたくさんある状態)が引き起こされ、シラミは麻痺して死にます。

イベルメクチンローションの副作用

 

目が赤くなる・目が痛い(目に入らないようにしましょう)

ふけ

肌の乾燥

肌がひりひりする(灼熱感)

 

アタマジラミが再発しないための対策

 

・シラミは他人からうつりますので直接接触をさける

 

・他人が使用した櫛・ブラシ・帽子・ヘルメット・タオル・ヘアバンド・リボン・バンダナ・スカーフなどは使用しない

 

・他人が使用した枕・布団・ベッドには寝ない

 

・シラミがいるかもしれない衣類・寝具を洗濯する際は、乾燥機で20分間以上乾燥させるとシラミは死にます(国内の乾燥機は60~70℃程度ですので20分ほどかければOK)。

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執筆者:ojiyaku


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