アレルギー体質の方がラミクタール錠を飲んだ場合の皮膚疾患の副作用の発現頻度
ラミクタール錠には比較的頻度の高い副作用として皮膚障害があります。日本人を対象としたデータでは服用後8週間以内に約10~15%の方が発疹などの皮膚障害を訴えたという報告があります(小児における皮膚疾患の発現頻度は25%)。海外の報告ですが、ラミクタール服用によりスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症といった重度の皮膚疾患を発症する割合は1000人に1~5人という報告があります。
患者様へ初回にラミクタールをお渡しする際に、皮膚疾患の副作用の可能性についてお伝えすると、「〇〇アレルギーなんですけどラミクタールを飲んでも大丈夫でしょうか?」という質問を受けることがありました。そこでアレルギー体質の方がラミクタールを飲んだ時の副作用の発現頻度について調べてみました。
アレルギー体質の方がラミクタールを飲んだ場合の皮膚疾患発現頻度に差はあるのか
報告データによると、抗てんかん薬であるテグレトール(カルバマゼピン)、ラミクタール、オクノベルを飲んだ時の皮膚過敏症頻度はそれぞれ
ラミクタール:12.1%
テグレトール:5.4%
オクノベル:4.1%
気管支喘息や季節性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー体質の方がラミクタール錠を含む抗てんかん薬を服用した場合に皮膚疾患の副作用が頻度にどの程度変化があるかを確認してみると
気管支喘息率/1.8% VS 0.1%
通年性のアレルギー性鼻炎/ 7.3% VS 10.2%
季節性のアレルギー性鼻炎/7.3% VS 11.7%
アトピー性皮膚炎/ 0% VS 6.4%
特定の食べ物を摂取した後のアレルギー/ 5.4% VS 6.4%
その他のアレルギー/ 5.4% VS 5.2%
上記の結果をうけて筆者らは「抗てんかん薬の服用による皮膚関連の副作用頻度について、他のアレルギー疾患にかかっていることは重大な危険因子とはならない」とまとめています。
このデータは750人程度を被験者として行われたデータですので、小規模の臨床データがもとになっています。患者様から「アレルギーをもっているんですけど、ラミクタールを飲んでも大丈夫ですか?」と質問を受けた際は、
「750人程度の小規模臨床データによる報告なのですが、喘息やアトピー、鼻炎といったアレルギーを持っていてもラミクタールによる皮膚疾患の副作用発現頻度に差はないという報告があります」という回答が実態に即した答えかなぁと感じました。