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ニューキノロン系抗菌剤を小児に使用することへの安全性について

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ニューキノロン系抗菌剤を小児に使用することへの安全性について

 

ニューキノロン系抗菌剤は小児に対して「関節障害」が気になるため、クラビットやジェニナックは小児に対して「禁忌」となっています。一方でバクシダール(ノルフロキサシン)やオゼックス(トスフロキサシン)、シプロキサン(炭疽菌のみ適応)については小児へ使用することができます。このあたりの現状の解釈としては“関節障害が生じやすいニューキノロンと生じにくいニューキノロンがある”ために、薬剤ごとに小児への使用制限が異なると考えられています。

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ニューキノロン系抗菌剤が開発された当初、ナリジクス酸を投与した動物の未熟児(幼若動物)において関節障害(軟骨毒性)が生じたことから、年齢に起因する薬物毒性が懸念されたため、子供への投与に注意が必要という考えが広まっています。

 

今回は現状で報告されているニューキノロン系により関節障害が起こるメカニズム(仮説)、薬剤ごとの使用報告例をまとめてみます。

 

ニューキノロン系抗菌剤による関節障害(筋骨格系毒性)のメカニズム(仮設)

 

仮設1

未成熟軟骨細胞におけるミトコンドリアDNA合成の阻害?

ニューキノロン系抗菌剤を投与されたビーグル犬の関節障害部位の組織学的変化を確認したところ、プロテオグリカン構造の消失、コラーゲンの凝集、軟骨細胞の変性および壊死を伴う小胞形成が確認されています。また、ラットにおいて軟骨細胞の空洞化、軟骨細胞におけるミトコンドリアの腫脹(炎症による容積増大)が確認されています。

 

 

仮説2

ニューキノロン系抗菌剤とマグネシウムとのキレート形成よってマグネシウムが不足?

マグネシウム欠乏食を9日間摂取したマウスの膝関節病変と、タリビット錠を投与されたマウスの膝関節病変が酷似していた。マグネシウム欠乏食およびタリビット錠を投与されていたマウスの関節病変が顕著であった。この報告を行った筆者らはキノロンとマグネシウムのキレート錯体の形成によって関節軟骨における利用可能なマグネシウムが欠乏したために引き起こされた症状であると結論付けています。(私個人的には、ちょっと説得力にかけるかなぁと感じました)

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仮設3

軟骨におけるプロテオグリカン、プロコラーゲンの合成抑制、チミジンの取り込み阻害

オフロキサシンを投与された若犬について関節軟骨の亀裂・空洞形成、プロテオグリカンの枯渇が報告されています。さらにインビトロのデータではありますが、オフロキサシンの投与によりプロテオグリカンの合成阻害は報告されています。また別の報告ではオフロキサシンを投与されたラットの関節軟骨部位へのチミジンの取り込み速度が減少したという報告があります。

 

上記は幼若犬やラットへニューキノロン系抗菌剤を投与したときの報告から示唆される仮設でして、ヒトへ投与した報告ではりません。

 

以下にニューキノロン系抗菌剤を小児に使用したときの臨床データを薬剤ごとに記します。

 

シプロキサン

16184人の小児に使用され、関節痛の発生率は1.5〜1.8%と低く、関節症が発症した場合、薬物の中断、鎮痛薬の使用、シプロキサンの減量によって改善されています。重度または長期的な筋骨格障害の副作用は報告されておりません(小児に関しては炭疽に対してのみ適応を有しています)

 

クラビット

6ヶ月齢の小児にクラビットを投与したデータによると、クラビット服用群における関節障害の副作用が1.6%、比較群で0.7%となっており、若干ですが、クラビットによる関節障害の発生率が高くなっています。

 

6ヶ月齢〜16歳の小児にクラビットを投与したデータでは、2ヶ月後の関節痛の副作用発生頻度はクラビット服用群で2.1%、比較群で2.0%、12ヶ月の服用ではクラビット服用群で3.4%、比較群で1.8%という報告となっています。

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アベロックス

報告例は少ないですが、10人の小児が結核の治療ためにアベロックスを服用し、3ヶ月後に足関節を伴う関節炎を1例が発症しています。ちなみに誤投与の報告例としてはアベロックス2g/日を服用した12歳の少年が重度の両側多発性関節炎を発症しています。

 

オゼックス細粒

235人の小児がオゼックス細粒を2週間服用したときのデータでは、8人が関節関連の副作用を報告していますが、そのうちオゼックス細粒を服用したことが原因と判定された関節痛は2例でした。(発現率0.9%)。2例についてはMRI検査の結果、異常はなく、オゼックスの投与中止により早期に回復しております。オゼックスと関節痛の関係については、血液中のオゼックス濃度が高いほど、副作用の発現頻度が高いことが報告されています。

 

バクシダール

小児における臨床治験406例において関節障害が認められなかったことをうけて小児への適応症が追加となったニューキノロン系抗菌剤です。同類薬に比べて、動物実験での関節障害が生じにくいという特徴があり、さらに動物実験で関節痛を引き起こすために必要な服用量が、小児の適応量の10倍以上という量であることから、小児が服用しても異常が発生する確率が低いと考えられています。

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