赤チンが2020年で国内生産を終了
日本で唯一、傷口に塗る赤い消毒液「赤チン」(マーキュロクロム液)を製造販売している三栄製薬が、2020年末でその生産を中止することを明らかとしました。
「赤チン(マーキュロクロム液50ml/35ml」の製造方法は三栄製薬を特集した記事に非常にわかりやすく記されていました。
「赤チン」の作り方
赤チンの原料である「マーキュロクロム」という緑色の粉を海外から輸入し、2%水溶液となるように精製水を注いで赤チンは作られます。月に1度、社長自ら180Lの赤チン(2000~3000本に相当)を製造していると写真付きで紹介ページに記載されていました。
1970年代ころまでは傷口に「赤チン」を塗って消毒することが一般的でしたが、その後“無色透明で”しみない消毒液“マキロン”が登場したことで、消毒液市場が一気にマキロンへ移行した経緯があるため、三栄製薬における「赤チン」の売り上げは全体の1%にも満たないということです。
「赤チン」に関する日本国内のルールを確認してみたところ、2019年5月31日をもって日本薬局方から「赤チン」が削除されることとなっておりました。さらに2020年12月31日には、水銀による環境の汚染の防止に関する法律によって国内での製造も規制される予定となっており、このあたりが製造販売を中止する要因となったのかもしれません。
(赤チンの原薬を製造する過程で水銀が発生するためです)
海外での「赤チン」の取り扱いを確認したところ、米国では1998年に流通が停止しており、ドイツでは2003年、フランスでは2006年に販売中止しれていることがわかりました。
2019年現在でも傷口に使う消毒液といえばマキロンやその類似品(塩化ベンゼトニウムを主成分)が主流であり、「赤チン」は店頭で見ることもなくなりって久しい気がします。赤チンの販売終了と聞くと、若干さみしさを感じますが、これも時代の流れなのだなぁとも感じます。