口腔咽頭カンジダ症治療薬としては初めての口腔粘膜付着型治療薬“オラビ錠口腔用50mg”が2019年2月4日に発売開始となります。
添付文書には記されていないのですが
新規経口抗真菌剤ネイリンカプセル100mg(ホスラブコナゾール)とイトリゾールの比較
“牛乳タンパクアレルギーの患者には本剤を投与しないこと”
という文言がインタビューフォームに記されていますので注意が必要な薬剤となります。
オラビ錠口腔用50mgは口腔咽頭カンジダ症の治療に用いる貼り薬です。既存の治療薬としては“フロリードゲル経口用2%”が成分(ミコナゾール)だけを見ると同一です。しかし、フロリードゲルは“ゲルタイプ”の製剤であるため、長時間口腔内に留まることは困難な製剤でした。
フロリードゲルの添付文書には1日4回口腔内にまんべんなく塗布して、口腔内にできるだけ長く含んだ後、嚥下する。という使用方法が記されているのですが、なんとも捉えどころが難しい用法となっていました。
今回発売されたオラビ錠口腔用50mgは1日1回、犬歯の上のあたりに付着させることで、24時間にわたり唾液中のミコナゾール(薬の成分)濃度を100μg/ml以上に保つことが可能な長時間持続放出製剤となっています。外用薬です。
オラビ口腔用50mgは2006年10月にフランスで発売が開始され、2018年7月時点でフランス・イタリア・米国の3か国で販売されている実績があります。
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オラビ口腔用50mgの剤形を見てみると、片側が曲面で、もう片方が平面という剤形をしています。この曲面側に口腔粘膜に付着しやすい“生体付着性物質”として濃縮乳タンパク質が用いられています。この成分のおかげで口腔粘膜に長時間付着することが可能となっています。しかし、この成分があるため牛乳タンパクアレルギーの患者には本剤を投与しないこと。とインタビューフォームに記されています。
添付文書には“本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者”が禁忌とされております。とだけ記されているのですが、“過敏症”という言葉の中に牛乳タンパクアレルギーが含まれていることを把握しておく必要があります。
国内で行われたオラビ口腔用50mgの第三相臨床試験においても牛乳アレルギーの既往歴を持つ被験者は除外されています。
唾液中のミコナゾール(成分)濃度は投与後8時間で100μg/ml以上となり、24時間にわたって持続した。一方で、血漿中のミコナゾール濃度は、投与後24時間まで2ng/ml以下で推移しており血中への吸収量が低いことが示されています。
オラビ口腔用50mgを1日1回14日間使用した場合の口腔咽頭カンジダ症患者の治療成績は46.8%(62例中29例が治癒)であり、既存のフロリードゲルと同程度の治癒率です。
・歯を磨いた後に使用する
・平らな面をしたにして指先でつまむ
・犬歯の上あたりにある、歯茎のくぼみに錠剤の膨らんだ面を付着させる
・上唇の上から薬の付着している部分を指で3秒ほど軽く押さえる
・舌や歯ブラシなどで触らないように注意する
・ガムをかむことは控える
・1日目に左側の犬歯の上に塗布した場合、2日目は右側犬歯の上に塗布する
(前日塗布したオラビ口腔用50mgが残っている場合は取り除く)
・塗布したオラビ口腔用50mgが6時間以内にはがれた場合は、もう一度付着させてみるが、くっつかない場合は新しい薬を取り出して付着させる
・塗布したオラビ口腔用50mgを6時間以内にのみこんだ場合は、コップ1杯のみずを飲んでから、1度だけ新たな薬を付着させる
・オラビ口腔用50mgを塗布してから6時間以上が経過した後、はがれた・のみこんだ場合は翌日に新しい薬を塗布する
使用方法の動画が富士フイルム富山化学のホームページ経由でyoutubeにて閲覧できます。
動画では薬をお渡しする際に「アレルギーはありませんか?」と確認していました。
新規経口抗真菌剤ネイリンカプセル100mg(ホスラブコナゾール)とイトリゾールの比較
味覚異常:8.1%
適用部位不快感:4.8%
腹部不快感:3.2%
悪心:3.2%
死亡および重篤な副作用の発現は認められておりません。
ワーファリン(ワーファリンの効き目が強くなる)
オーラップ(QT延長・心室性不整脈があらわれるおそれがある)
硫酸キニジン(QT延長等があらわれるおそれがある)
ハルシオン(ハルシオンの効き目が強くなる)
リポバス(横紋筋融解症があらわれるおそれがある)
カルブロック(カルブロックの血中濃度があがる)
バイミカード(バイミカードの血中濃度があがる)
ロナセン(ロナセンの血中濃度があがる)
クリアミン配合錠(クリアミンの血中濃度があがる)
イグザレルト(イグザレルトの血中濃度があがる)
スンベプラ・ジメンシ配合錠(血中濃度があがる)
ジャクスタピッド(血中濃度が著しく上昇するおそれがある)