2020年12月にイクセロンパッチ/リバスタッチパッチのGEが発売されました。私の勤務している薬局でもGEへの変更調剤が進んでいますが、現状ではリバスチグミンテープに変更したから、かぶれがひどくなったといった副作用報告もなく経過しております。
と言っても、リバスチグミンテープに限らず、貼付剤の定期薬はかぶれ・かゆみが付き物です。そこで、今回は、リバスチグミンテープのかぶれ防止としてテープ剤の上から満遍なくヒルドイドソフト軟膏を使用する方法について記します。
「リバスチグミンテープを貼付後に、ヒルドイドソフト軟膏を背中全体に満遍なくぬる」という意味は、上図のようにリバスチグミンテープを貼った上から、リバスチグミンテープの上も含めて背中全体にヒルドイドソフト軟膏を塗るという意味です。
初めてこの使用方法を見た時は、リバスチグミンテープの上にも塗る必要がある?と思ったのですが、ヒルドイドソフト軟膏を販売しているマルホさんのホームページや、ステロイド+ヘパリン類似物質クリーム併用療法を検討した国内報告でも記しておりますので、スタンダードな方法と解釈しました。
ステロイド+ヘパリン類似物質クリーム併用療法とは、ステロイドローション(注意:軟膏やクリームではダメです)をリバスチグミンテープ貼付部位に先行塗布し、塗布してから数分後、患部が乾燥したことを確認してリバスチグミンテープを貼付し、その後、背中全面に(リバスチグミンテープの上からも含めて)ヒルドイドソフト軟膏を全面的に塗布するという方法です。
リバスチグミンテープの上からヒルドイドソフト軟膏を塗る方法(マルホホームページ)
リバスチグミンパッチの皮膚障害を改善したステロイドヘパリン療法
以下は2020年10月10日に記したリバスチグミンテープ(イクセロンパッチのGE)についてのまとめデータです
2020年12月中旬に発売予定となっていリバスチグミンテープ(イクセロン・リバスタッチのGE)に関する薬物動態データが開示されておりましたので先発品との薬物動態比較データをエクセルファイルで作成しました。
注)先発品であるイクセロンパッチ、リバスタッチパッチは語尾に”パッチ”が着きますが、後発品のリバスチグミンテープは語尾に”テープ”と記載されています。
AG薬の発売はありません。
リバスチグミンテープの採用を検討する際に、気になるポイントの一つとして「形」があげられます。
先発品は「円形」をしているのに対して、後発品のうち「トーワ」「ニプロ」「久光」は”正方形”の製剤を販売します。
「久光」に関しては、”正方形であり、貼付面積が先発の3倍の大きさ”という非常にオリジナリティーあふれる剤形をしています。
サイズが大きければ、ライナー(フィルム)をはがしやすいというメリットがあるかもしれません。
一方で貼付する際に”粘着面どうしがくっついて上手に貼れない”というリスクも増えるかもしれません。
このあたりは、実際の試供品を手に取ってみなければ使用感はわかりません。
外用薬の薬物動態は、内服薬と比較してバラツキが出やすい印象があります。AUC、Cmaxともに各社とも先発比で±15%以内には入っています。
個人的な感想ですが、薬物動態だけを言えば「トーワ」が先発に近いのかもしれません。(トーワのリバスチグミンテープは正方形)
また唯一、東和薬品だけが4.5mg、9mg、13mg、18mgすべての規格の薬物動態を添付文書に開示しています。
先発品が140枚入りを販売しているのに対して、後発品で140枚包装を販売するのは「日医工」のみです。(2020年10月現在)
個人的な感想ですが、せめて維持量(18mg)だけでも全社140枚包装を販売してほしい気もします。
先発品のイクセロンパッチ/リバスタッチパッチに関しては、2019年にかぶれ対策として貼付部分に使用している基剤を「シリコン系基剤」から「合成ゴム基剤」へ変更した経緯があります。2020年12月に発売される後発品の基剤は各社とも先発とは異なりますので、使用後のかぶれ(掻痒・紅斑)などの副作用に関しては十分注意が必要かと思います。
共同開発
・第一三共エスファ、共創未来ファーマ、サワイ、アメルから発売されるリバスチグミンテープの薬物動態が同じ
・陽進堂、日医工から発売されるリバスチグミンテープの薬物動態が同じ