椎間板ヘルニア治療剤「ヘルニコア椎間板注用1.25単位」が2018年3月1日の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会において医薬品の承認可否が議論されます。
ヘルニコア椎間板注用1.25単位は椎間板の髄核構成成分であるグリコサミノグリカンを分解する酵素を利用した注射剤です。椎間板ヘルニアとは、背骨の骨の中にある髄核が飛び出して神経を圧迫することが原因で生じる疾患ですので、その原因物質である髄核に対して、ヘルニコア椎間板注用1.25単位は酵素を利用して分解するという作用機序となっています。
尚、ヘルニコア椎間板注用1.25単位はタンパク質を分解しないため血管や神経などの周辺組織へ影響を与えないと考えられています。
米国における第三相試験の結果を確認してみると
対象:385例
投与後経過観察期間:13週間
安全性確認期間:104週間(2年間)
対象期間:2013年10月~2017年8月
「ヘルニコア椎間板注用1.25単位」2018年3月1日薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会
結果
薬理効果:椎間板ヘルニア体積について、MRIによる画像診断の結果、統計学的に有意な現象が確認された。
下肢痛軽減:投与後13週での下肢痛軽減評価にといてプラセボと比較して統計学的に有意な改善が認められなかった。
安全性:副作用等で大きな懸念は認められず安全性が確認された。
米国での第三相試験では下肢痛軽減における有意差が得られておりませんが、日本国内での第三相試験では顕著な統計学的有意差が確認されております。ヘルニコア椎間板注用1.25単位を開発した生化学工業の見解としては、日本では腰椎椎間板ヘルニアの病体に関するガイドラインがあるものの、米国では定まっていないため、米国でのデータは治験対象患者が適切ではなかったのではないかと検討しています。
尚、同社は米国における第三相試験の早期再実施に向けて検討・準備を進めていくとしています。治験薬コード(SI-6603)
「腰椎椎間板ヘルニア症状は腰痛というイメージが持たれがちだが、一番大きな症状は下肢痛であり、腰痛ではない」と記しています。このあたりの見解が米国医師と共有できていなかったため治験対象患者の選定が適切ではなかった」
ヘルニコア椎間板注用1.25単位を投与後13週での下肢痛軽減における臨床成績
「日本における臨床データは明らに有意性を示すデータであるために医薬品新生していることから、米国での第三相試験の結果が、日本における承認取得に影響を及ぼすことはない」
という見解となっています。
日米で異なる治験データの結果を、厚生労働省はどのように解釈して医薬品承認を検討するのか、興味深いところです。