ジプレキサが「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の適応症を取得
2017年12月26日、ジプレキサ錠・ザイディス錠・細粒に
「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」
という適応症が追加されました。
(注:ジプレキサ®筋注用には上記適応症はありません)
~抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)~
他の制吐剤との併用において、通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増量するが、1日量は10mgを超えないこと。
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に使用する場合1)
本剤は強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること。
となっています。
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臨床報告を確認してみると、
ジプレキサ、アロキシ静注、デカドロンの併用による「悪心なし」の割合は
急性期:87%
遅発期:69%
全期間:69%
イメンドカプセル、アロキシ静注、デカドロンの併用による「悪心なし」の割合は
急性期:87%
遅発気:38%
全期間:38%
となっており、どちらも有効性が確認されています。
また、イメンド、アロキシ静注、デカドロンの3剤にオランザピンを上乗せで使用することでも効果が確認されています。
ジプレキサ、ゾフランの併用における「嘔吐発現率」は
急性期:33%
遅発期:17%%
ゾフラン単独による「嘔吐発現率」は
急性期:55%
遅発期:48%
となっており、ジプレキサの追加が嘔吐発現率を低下させていることが確認できます。
国内での臨床データとしては
デカドロン、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬とジプレキサとの併用において
ジプレキサ5mg1T/1×(有効率:85.7%)
ジプレキサ10mg1/1×(有効率:77.6%)
といずれも高い値となっています。
尚、鎮静作用に関してはオランザピン5mgに比べて10mgで「眠気」の発現率が高くなっています。
眠気の発現率
ジプレキサ5mg:45.5%
ジプレキサ10mg:53.3%
さらに、ジプレキサ錠の服用期間に関しては、国内公表文献における投与期間に基づき「6日間を目安とする」旨が使用上の注意に記されています。
投与するタイミングに関しては、海外のガイドラインに「オランザピンは化学療法施行前に投与する」と記載されていることから、それに準じて添付文書に記されています。
ジプレキサ5mgの半減期が28.5時間ですので、化学療法施行前から服用を開始して6日間ジプレキサを使用した場合、ジプレキサの薬の成分が完全に体から消失するまでには4~5日ほどかかります。そのため服用を終了したあともしばらくは脱力感・眠気・ふらつきなどの症状が生じる可能性がありますので注意が必要かと思います。