慢性疼痛ガイドラインにおける痛み止めの飲み薬の評価
2018年、厚生労働省が監修した「慢性疼痛治療ガイドライン」が発売されました。「慢性疼痛」とは“治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み”と解釈されておりますが、慢性の痛みに関する診断、治療法等の情報が科学的根拠に基づいて整理されていない実情があります。
慢性疼痛は様々な疾患による痛みが原因となっており、病体が十分に解明されていないため診断や治療が困難となることがあります。諸外国においては有効性が確立されていても、国内では適応がないために保険適用されていない薬剤が多いという指摘があります。さらに有効性が乏しいとされている従来の鎮痛剤がいまだに投与されている実態が報告されるケースもあります。
2018年に発刊された「慢性疼痛治療ガイドライン」では慢性疼痛を「運動機器疼痛」「神経障害性疼痛」「頭痛・口腔顔面痛」「線維筋痛症」などの要因に分けて薬剤の使用を評価しています。
薬剤の推奨度
強く推奨する:1
弱く推奨する(提案する):2
エビデンスレベル
効果の推定値に強く確信がある:A
クオカの推定値に中程度の確信がある:B
効果の推定値に対する確信は限定的である:C
効果の推定値がほとんど確信できない:D
痛み止めとして使用されている主な薬剤の評価
サインバルタ
運動器疼痛:1A
神経障害性疼痛:1A
頭痛・口腔顔面痛:2C
線維筋痛症:1A
リリカ
運動器疼痛:2C
神経障害性疼痛:1A
頭痛・口腔顔面痛:2C
線維筋痛症:1A
トラマール
運動器疼痛:1B
神経障害性疼痛:1B
頭痛・口腔顔面痛:なし
線維筋痛症:2C
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
運動器疼痛:1A
神経障害性疼痛:2D
頭痛・口腔顔面痛:2B
線維筋痛症:2C
アセトアミノフェン
運動器疼痛:1A
神経障害性疼痛:2D
頭痛・口腔顔面痛:1A
線維筋痛症:2C
デパス
運動器疼痛:2C
緊張型頭痛:2B
ランドセン/リボトリール
運動器疼痛:2C
薬剤ごとの鎮痛効果をみるとサインバルタが様々な疼痛に効果的であると評価されているように感じました。サインバルタの薬理作用はセロトニン・ノルアドレナリンを少しずつUPさせる働きですが、この作用により脳幹から脊髄へ痛みの伝達を抑制する神経を活性化することができ、各種痛みに対して効果的な作用をすることが示唆されました。