おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

診療報酬改定

革新的新薬創出等促進制度では既存の4割が対象外

投稿日:2017年11月29日 更新日:

革新的新薬創出等促進制度では既存の4割が対象外

 

2018年11月28日に行われた自民党の「社会保障制度に関する特命委員会」の会合後、自民党の古川事務局長より“革新的新薬創出促進制度”においては既存の新薬創出加算を取得している該当品目数のうち4割が対象外であることが公開されました。

革新的新薬創出促進性度とは

・画期性加算・有用性加算のついた医薬品

・営業利益に補正された医薬品

・希少疾病用医薬品・開発公募品

・新規作用機序医薬品(基準に照らして革新性・有用性が認められるもの)

・類似作用機序の医薬品に関しては先に収載された品目発売から1年以内、3番手以内

 

さらに、企業要件として

 

・革新的新薬創出の実績・取り組み

・ドラッグ・ラグ解消の実績・取組み

(海外で使われている薬が日本で承認されて使えるまでの時間差を解消した実績・取組)

・世界に先駆けた新薬の開発

 

上記3項目をポイント化し、上位5%の製薬企業は薬価を維持できます。ポイントが最低点数だった企業は“薬価×0.8”、それ以外の上位5%に入らなかった企業の薬価は“薬価×0.9”というルールとなっております。

平成28年度における新薬創出加算について確認してみると

新薬創出加算の対象品目:823品目

企業数:90社

加算額:1060億円

控除額:360億円

 

ざっくりと試算しますと“新薬創出加算”から“革新的新薬創出等促進制度”へ移行にともない300~330品目程度の医薬品が加算対象外となり、企業数としては上位4~5社の薬価が維持、それ以外は80社以上が減額となる見通しです。

 

平成26年度の加算額が790億円だったのに対して、平成28年度の加算額が1060億円と大幅に増加しております。C型肝炎治療薬やオプジーボなどの画期的新薬の登場により新薬を使用する頻度が増えたことが、その背景にある気がします。

 

11月29日の中医協薬価専門部会において、製薬業界側が平成30年度薬価制度骨子案についての意見を述べる場が設けられていますが、革新的新薬創出促進制度に対する反論がでることは必至ではないでしょうか。

平成28年度、新薬創出加算の算定品目数、加算額

 

-診療報酬改定
-4割が対象外, 823品目, 新薬創出促進制度, 革新的新薬創出促進制度

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

fukuyaku-jyouhou

服用情報提供料を算定する(地域支援体制加算取得のために)

服用情報提供料を算定する(地域支援体制加算取得のために)   調剤基本料1を地域支援体制加算の算定要件として 「患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績が12回以上」 (服薬情報提供料 …

seikatu-hogo-yakkyoku

生活保護受給者は薬局を一元化し、後発医薬品の使用が原則とする報告書

生活保護受給者は薬局を一元化し、後発医薬品の使用が原則とする報告書を厚生労働省がまとめる   厚生労働省の生活保護部会は生活保護受給者が医療機関を受診した後、薬を受け取る薬局を一元化すること …

2019-zaimusyo

財務省が考える令和時代の調剤薬局のありかたについて

財務省が考える令和時代の調剤薬局のありかたについて   2019年6月19日、財務省の財政制度等審議会において「令和時代の財政の在り方に関する建議(全314ページ)が公開されました。財務省が …

H30-4-1-yakka-9%-down

平成30年4月1日適用の薬価を公開、内服薬は平均9%引き下げ

平成30年4月1日適用の薬価を公開、内服薬は平均9%引き下げ   厚生労働省は2018年3月5日、新薬価(4月1日以降)を公開しました。 全体的な薬価の引き下げ額としては 内服薬:平均9%引 …

tab5

ヒルドイド軟膏の負担金が増額。2024年10月から開始される長期収載品の選定療養の対象1095品目が公開、差額計算エクセルシートあり

2024年10月から開始される長期収載品の選定療養の対象1095品目が公開、差額計算エクセルシートあり 追記:2024年11月20日 選定療養が開始され、ジェネリック医薬品の普及率が拡大しています。 …