降圧剤Do処方が続く患者さんへの投薬と薬歴
長年にわたり同じ降圧剤をずっと飲み続けている患者様への投薬・薬歴を毎回充実させることは非常に難しいと思います。しかし、保険薬局で勤務する以上、患者様の健康被害を未然に防ぐために「副作用確認」「副作用時の対応」を確認する義務があります。
今回は、降圧剤の定期薬が毎回Do(同じ)であり、併用薬もかわりなし、体調もかわりなし、血圧もいつもどおりという患者様へ対する投薬・薬歴について検討しました。
薬の副作用を考えるときに私は以下のような分類で覚えるようにしております。
・90%以上の内服薬でおこりうる副作用:胃腸障害・過敏症・眠気・発疹
・降圧剤特有の副作用:めまい・ふらつき・動悸・むくみ・低血圧・脱力感
・Ca拮抗薬、ARBなど薬理作用による副作用:歯肉炎(CCB)・高K血症(ARB)、空咳(ACEI)、電解質異常(利尿)
上記のような分類でザックリと把握したうえで、患者様の生活に不都合がないかを確認します。
1:降圧剤(Ca拮抗剤、ARB、ACE阻害剤、利尿剤、β遮断薬、α遮断薬)をお渡しした時に伝えるべき(薬歴に記載するべき)内容
・静止姿勢から動き出すときなどに一時的な「めまい・ふらつき」を感じることがあるかもしれあません。その際は一度安静にして症状が改善してから行動してください。
・座位から立ち上がる時に「めまい・ふらつき」を感じることがあるかもしれません。下肢に血流が貯まることによる一時的な症状の可能性がりますので、その際はその場でゆっくり足踏みをすることで血流改善をはかりましょう。
・長期間飲み続けている人の中に頭痛・頭重感・ほてりなどの自覚症状を感じる方が稀におります。血管を開いて血圧を下げるという降圧剤の効き目により生じる可能性がゼロではないので、慢性的に続く場合は一度先生に相談してみましょう。
・長期間飲み続けている人の中に動悸・頻脈・徐脈などの自覚症状を感じる方が稀におります。多くの場合は、生活スタイルや食事の影響による一時的な症状で治まるようですが、頻度が多い場合は薬の効きすぎの可能性もありますので一度先生に相談してみましょう。
・長時間飲み続けている人の中には日中に眠気を感じる人や、逆に夜眠れなくなる人が稀におります。睡眠状況は加齢や日常の生活スタイルが関係してくる問題なので、一概にこの薬が原因とはいえませんが、気になる場合は一度相談してみましょう。
・定期的に採血検査をしていれば問題ないのですが、しばらく検査をしていない患者さんの場合、つかれやすさ、食欲低下、飲酒量の低下、皮膚の痒みなどの症状を慢性的に感じることがあれば早めに先生に相談しましょう。(肝機能障害の前兆を確認する目的です)
・長期間飲み続けている人の中に便秘・口の渇き・食欲不振などの自覚症状を感じる方が稀におります。降圧剤の働きで体内水分のバランスや電解質の移行性がかわることによる症状の可能性があります。こまめな水分補給で改善する方もおりますが、それでも症状が変わらない場合は一度先生に相談しましょう。
・頻度はさまざまですが、お薬を使用すると発疹かゆみなどの皮膚トラブルが生じる可能性がゼロではありません。特に変わった食べ物を食べたなどの心当たりがないのにも関わらず、急な発疹痒みを感じることがあれば一度皮膚科を受診しましょう。その際は現在飲んでいる薬について皮膚科医に伝えましょう。
私は薬歴を記載する際に、電子薬歴を使用しているので文章登録機能や、Windowsの単語登録機能を利用して上記文章の要点を登録して薬歴の一部に組み込んでおります。
さらに追記する場合は
CCB:歯肉炎
ARB、ACE-I:むくみ、倦怠感、採血結果のK値
利尿剤:排尿状況、頻度のチェック
β遮断薬:ぜんそくなどの疾患禁忌がないかどうか確認
などの薬理作用ごのと副作用分類を織り交ぜながら充実をはかる感じでしょうか。