米国でスマートフォンやタブレット端末を利用することが、子供の発育・精神育成に悪影響を及ぼすという懸念が広がっています。
2018年1月に世界保健機関(WHO)は国際疾病分類にネットゲーム依存症を盛り込んでいましたが、スマホ依存症というのも、ある意味これに近い症状なのかもしれません。
スマホ依存症とはスマートフォンやタブレット端末を使用したゲームやSNS・動画コンテンツなどの利用を適度にコントロールすることができなくなり、身体的・精神的・社会的に問題が生じてしまう状態です。
また、SNS上での人間関係が盛んになるにつれて、実生活で人と交流する機会が減少することで、適切な対人関係を構築することができずに、引きこもり・うつ病・パニック障害などの自律神経失調症を引き起こす可能性も危惧されています。
全国で初めてゲーム依存症に関する専門外来を開いた久里浜医療センター院長は「依存症の状態に陥ったら個人や家族の努力だけで治すことは困難なので、専門機関の治療を受けてほしい」としています。
さらに同院長は「依存症の一歩手前である場合は、毎日、何時からどれくらいの時間をゲームやネットに費やしたかメモしていくこと」が実態の把握につながるとしています。
子供のスマホ依存に関しても類似点が多数見られます。まずは1日の中でどれだけの時間をスマホに費やしているのか調査を行い、次に「食事中」や「就寝時間」にはスマホを触らないというように、1日の中でネットに触れない時間を設けることが大切としています。
私もいわゆる「ゲーム依存症の一歩手前」まで陥ったことがあります。自分が「ネットゲームに依存している」と自覚したときに行った方法は、2つです。
1つ目は「これまで蓄積したデータをすべてリセットしてしまおう」と自分で決めて自分でリセットしたことです。
課金ゲームにしてもオンラインゲームにしても、少しずつ育成していくことで能力が増していき、これまで到達できなかった地点へ到達できるようになるという仕組みでゲームは作られています。オンラインゲームはこの最高到達地点を随時バージョンアップすることで高めることが可能です。
そのためオンラインゲームでは、どこまで能力を増やしていっても、最高到達地点もどんどん上へ上へあがっていきますので、イタチごっこのようにネットゲームに依存していく構図が出来上がります。
ネットゲーム依存から抜け出すために最も重要なことは「自分でやめると決めてデータをリセットすること」だと私は経験談で感じます。自分の知らないうちに他人が“私の蓄積データ”をリセットしてしまったとしたら、それこそ人間関係の構築は難しくなる気がします。とにかく「自分の意志でやめる」と決めることです。
2つ目は、ゲーム以外のことを考える時間を設けることです。スマホやゲーム機を手の届かないところに置いたとしても、脳内でゲームのことを考えてしまっていては、なんの意味もありません。ゲームをしていることと同じです。
実際、スマホゲームやオンラインゲームは、自分がプレイしていないときも、他のプレイヤーは育成を続けています。その結果、プレイしていない自分が「他者に置いていかれるのではないか」という不安を感じるケースもあります。この不安を打開するために、自分がプレイしていないときであっても、効率よく育成を続ける方法を脳内で模索してしまっている自分に気づくことがあります。まさに依存です。
極端な例で言いますと、1年間ゲームができない環境下に置かれたとしても、その間、脳内でゲームのことを考え続けているのであれば依存症は改善しないのかもしれません。禁酒を目的として入院したとしても、お酒を飲むことの楽しさを知っている人は、退院後に自宅でお酒を飲むという例と同じ感じでしょうか。
以上のことからネットをしていない時間帯に実生活で興味を抱く分野を少しずつ広げていくことが大切である気がします。