女性のニキビ治療に関して「アルダクトンA(スピロノラクトン)」の有効性が公開されていましたので概要を下記します。
ニキビ治療の第一選択薬は外用剤が一般的であり、二次選択肢として長期間の抗生剤(テトラサイクリン系)を服用することがありあす。しかし、テトラサイクリン系の抗生剤は妊娠女性に禁忌であるということや耐性菌が生じるリスクがあるというデメリットがありました。
そこで、長期間のニキビ治療のおけるテトラサイクリン系の抗生剤の代わりとして「アルダクトンA(スピロノラクトン)」の有効性が研究され、有効性が示されました。
被験者:18歳以上、顔にニキビが6カ月以上持続的にあり、経口抗菌薬が必要と判断された方410例
(平均年齢29.2歳、軽症46%、中等症40%、重症13%)
アルダクトンA(スピロノラクトン)を1日1回50mg、6週間服用した後、忍容性が確認された場合は100mgまで増量して、24週(約半年間)まで投与が継続されました。
(同期間にプラセボ群あり)
スピロノラクトン群::176例、プラセボ群:166例
女性のニキビ治療にスピロノラクトン
結果
平均Acne-QoL症状スコア(範囲:0~30、スコアが高いほど症状が改善している)
スピロノラクトン群:服用前:13.2→12週後:19.2→24週後:21.2
プラセボ群:服用前:12.9→12週後:17.8→24週後:17.4
スピロノラクトン服用により症状の改善がっ確認されました。
患者の自己評価による改善度合い(6段階で評価し3~6点の達成率の割合)
治療開始から12週間後
スピロノラクトン群:72%、プラセボ群:68%
治療開始から24週後
スピロノラクトン群:82%、プラセボ群:63%
統計学的に有意に改善が確認されました。
さらに、12週時点における治療成功率はスピロノラクトン群で19%、プラセボ群で5%でした。
有害事象に関しては、スピロノラクトン群で頭痛・めまいが軽度に発生するようですが、重篤な有害事象の報告はありませんでした。
以上のデータより、筆者らは女性のニキビ治療において、第一選択薬の塗り薬で効果がない持続性のニキビ治療に関しては、スピロノラクトンが抗菌薬に変わる有用な選択肢となりうるとまとめています。
平成30年9月28日、ニキビ治療に対してビブラマイシン錠の適応外使用が認められることとなりました。
○ 使 用 例
原 則 と し て 、「 ド キ シ サ イ ク リ ン 塩 酸 塩 水 和 物 【 内 服 薬 】」 を 「 ざ 瘡( 化 膿 性 炎 症 を 伴 う も の )」に 対 し て 処 方 し た 場 合 、当 該 使 用 事 例 を 審査 上 認 め る 。
ニキビ治療に対するビブラマイシン(ドキシサイクリン)の効果については、尋常性痤瘡治療ガイドライン(ニキビ治療ガイドライン)にて
評価A:炎症性皮疹に、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)内服を強く推奨する
平成30年9月28日「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」
という評価を得ており、この結果から適応外使用が認可されることとなりました。
推奨度合いで言いますと、ビブラマイシンの方がミノマイシンよりも高い評価を得ています。
(ニキビ治療で処方されるミノマイシンの評価はA*:炎症性皮疹に、ミノサイクリン内服を推奨すると記されており、「強く」という文言はミノサイクリンには記されておりません)
テトラサイクリン系の抗菌薬でありながら、ミルクや食べ物と同時摂取すると血中濃度のピークは遅れるものの、吸収量が妨げられることはありません(インタビューフォームより)。とは言え、カルシウム・マグネシウム・アルミニウム・鉄剤との併用によりビブラマイシンの吸収が低下するという記載も添付文書には記されております。
半減期が11~13時間程度と長いため、他のテトラサイクリン系の抗菌剤では1日数回服用しなければならないところ、ビブラマイシンでは1日1回で十分な効果が期待できます。服用開始から2日目には定常状態に達するため十分な効果が現れます。
1日1回タイプの抗生剤ニキビ治療薬「ゼビアックスローション2%」の効果について
ビブラマイシン錠200mgを1錠飲んだ後の血中濃度の推移は
3時間後:4.27μg/ml
6時間後:2.43μg/ml
24時間後:1.45μg/ml
48時間後:0.45μg/ml
72時間後:0.07μg/ml
ニキビ菌(アクネ菌)に対するビブラマイシン錠の抗菌力(MIC:最小発育阻止濃度)は0.08~0.16μg/mlと報告しているデータがありますので、非常に有用な血中濃度が長時間にわたって維持されることがわかります。
適応外使用として認められた期間に関しては、急性炎症期の中等度以上の症状に対して概ね3か月を目安とすると記されています。
海外における報告ですが、6か月間ビブラマイシンを服用し続けた結果、何も飲まなかった群でニキビが減少した率が30%であったのに対して、ビブラマイシン服用群では50%にまで低下したという報告があります。
さらに、どれだけニキビが減少したかを確認してみると、ビブラマイシンを6か月間服用すると、54%のニキビ減少が確認されています。(何も飲まなかった群では11%の減少となっています)
上記の報告は被験者数が21人と少人数の報告ではあるものの、ビブラマイシン錠を飲んだ半数でニキビ減少が確認されたことがわかります。
ビブラマイシン錠の添付文書やインタビューフォームにはニキビ菌(アクネ菌)に対する効き目が記されておりません(本来、適応を有していないためです)。そのためニキビに対するビブラマイシンの効果を確認する場合は、臨床報告を収集する感じになるのかなぁと思いました。