ワソランのはたらきを患者さんへお伝えする
L型CaチャネルV部位作用型Ca拮抗薬「ワソラン」のはたらきを患者さんへお伝えする
ワソラン錠を患者さんへお渡しするお薬の説明書きには「カルシウム拮抗薬という分類の薬で狭心症や不整脈に効果があるお薬です」というニュアンスが記されています。
アダラートなどのジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の説明にも「カルシウム拮抗薬」という文言が記されており、その違いについて具体的にお伝えすることを検討してみました。
ワソランが処方される「狭心症」または「不整脈」の状態は、心臓の筋肉への栄養不足とう症状が共通しています。心筋の栄養不足となる原因はいくつかあるかと思うのですが、心臓の筋肉へつながる血管が細くなっていることや、弱い拍動が繰り返されることで血流の勢いが弱まり、十分な量の栄養が心臓の筋肉へ届けられないことが要因となります。
ワソランを服用すると、冠動脈(心臓の筋肉へつながる血管)が広がることで、血液の通り道を広げます。さらにワソランには心臓の拍動を遅らせる効果があるため、頻脈(早く弱い拍動)という状態から通常の力強い拍動へ戻す効果があります。
ワソランはこれらの作用により、心臓の筋肉への血流・栄養分の運搬を改善することで症状を改善することができます。
ワソランは心臓周囲の血管に対する選択性が高いため、降圧剤として用いられるカルシウム拮抗薬との併用は禁忌ではありません。
狭心症や不整脈のような症状は、いかに症状を発症しないかが治療のポイントとなります。ワソランは1回の服用でおよそ4~6時間の効果があり、1日3回定期服用することが基本的な用法です。
ワソラン錠の半減期は5時間程度ですので、服用開始から安定した効果が出るまでには
半減期×5(半減期の4~5倍で定常状態となります):5時間×5=25時間
服用2日目からは安定した効果があらわれます。
1日1回の服用では定常状態(薬の効果が安定する状態)には達しませんので、定期服用するのであれば1日2回~3回の服用が必要です。
半減期が5時間と短いので効果発現までに要する時間は短い反面、飲み忘れると如実に効果が減弱します。飲み忘れに注意が必要な薬といえます。