フランスの保険証は2018年8月1日から認知証治療薬アリセプト、レミニール、メマリー、イクセロン(リバスタッチ)の4剤を保険対象から外すことを発表しました。
これまでフランスにおいて上記4剤の薬剤費のうち15%が保険で支払われていましたが、8月からは全額自己負担となります。認知症治療薬は病気自体を食い止めるわけではなく、病気の進行を遅らせるという効果であるため、薬としての効果は「控えめ」と評価されていました。その割に下痢や吐き気、めまいなどの副作用が報告されていることも、今回の措置へつながったものと思われます。
フランス保険省は今回の決断を「市民の健康のための措置」と表明しています。日本国内では85歳以上の方のうち17%に認知症治療薬が処方されている現状がありますので、認知症治療薬が非常に使用されている国とも言えます。
認知症治療薬を休薬・中止した場合の認知力の低下度合いについて
フランスでは認知症治療薬の薬価のうち15%が保険給付されており、残り85%は自己負担だった現状を考えますと、8月以降に全額自己負担となったとしても服用を続ける人数はそれほど減少しないのではないかと私は推測します。むしろ減少しないよう医師や家族は説得したほうがいい気がします。
少なくとも、アリセプトとメマリーに関しては、薬を飲まない期間(休薬期間)が4週間を超えると、認知機能の顕著な悪化が報告されておりますので、気軽な気持ちで「15%薬代が高くなるから飲むのをやめよう」と判断してはいけないと私は思います。
日本人のアルツハイマー病患者さんを対象としたメマリー錠の効果について
基本的に日本の厚生労働省の医薬品に関する判断基準はアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)のルールを数年遅れで採用するイメージがありますので、フランスの認知症薬ルールが国内に採用されることはないと感じております。