対人業務を強化する名目の「調剤外部委託」は「1包化限定」が基本軸(2022/7/3)
2022年6月23日に行われた「第7回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」にて「調剤外部委託」に関しての話し合いが行われました。
結論としては
調剤委託業務は「当面の間は1包化を対象とする」
調剤く業務は「同一の三次医療圏内とする」
という2点が方向性として定められました。
三次医療圏内:医療を提供する単位のこと。各都道府県が一つの区域となります。(ただし、北海道のみ6つ)
調剤外部委託とは?
従来、薬局薬剤師の業務は処方確認や服薬指導等、「処方箋受付時の業務」が主体でした。
しかし、令和元年の薬機法改正により薬局薬剤師は「薬剤使用期間中(調剤後)のフォローアップ」が法律上義務として明確化されました。
調剤後のフォローアップとは
・適正使用の推進
・服薬アドヒアランスの向上
・問題が生じた場合の受診勧奨、医療機関へのフィードバック
などの業務のことです。
令和元年薬機法改正により「対人業務」への重きが大きくなったことがわかります。
薬局薬剤師の対人業務を充実させるためには、医療安全が確保されていることを前提条件として、対物業務を効率化して、対人業務に注力できる環境の整備が必要となります。
そこで出てきた考えが「調剤外部委託」です。
対物業務の効率化のために、調剤業務の一部を外部委託してみてはどうか?という考えが要望されるようになったわです。ではどの範囲までを「調剤外部委託」としてよいのか?という話し合いが必要となり「規制改革推進会議第7回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」での題材となったわけです。
調剤外部委託の現状
・薬機法の規定により「調剤業務の外部委託は認められていません」
ということで、調剤外部委託を検討するためには
・委託可能な調剤業務の対象
・委託先の範囲
・委託元と委託先での役割および責任関係の在り方
を検討する必要が出てきました。
話し合いの結果、以下が要点としてまとまりました。
薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ2022年6月
委託可能な調剤業務の対象
・当面の間は「1包化を対象とする」
委託元の薬局で最終監査を行うことが困難である散剤の1包化は対象外とする
直ちに必要とする薬は除く。
要するに、委託元が最終確認できる状態の1包化を「調剤外部委託」としてみましょうということです。
散剤や粉砕調剤はダメですよということです。
また、すぐに必要な薬(風邪薬や痛み止めなど)は、外部に委託して薬が本人に届けられるまでにタイムラグが生じるためダメですよということになりました。
注)高齢者施設入居者への調剤を外部委託の対象に含めるべきか否かについては今後検討が行われることとなりました。
高齢者施設入居者への定期薬って、処方されたその日のうちに必要というわけではなく、薬を作ってお届けするまでの間に猶予期間があるんですよね。
このような調剤を「調剤外部委託」できれば”対物業務”にかかる時間が減って「対人業務」へ時間を費やすことができると私は考えます。
ただし、「高齢者施設入居者」の薬は散剤や粉砕調剤も多く含まれるため、今話し合われている「調剤外部委託の導入」に関しては、時期尚早なのかもしれません。
委託先
・委託先は薬局とする
・同一法人内に限定しない
・同一の三次医療圏内を範囲とする(各都道府県内。北海道のみ6か所)
安全性の確保
委託先の受託業務プロセスにおいて患者の医療安全が確保されるよう、必要な基準を設ける必要がある。
・委託先、委託元が手順書の整備や教育訓練を行うこと
・適切な情報連携体制を構築、維持できること
・委託先での作業が確認できる記録を残すこと
・最終監査は委託元の薬局が実施すること
・委託元が薬剤の確認を行う方法として、送付された薬剤の実物により行う場合に加えて、委託先から提供されえた画像等により行う場合が考えられる
・最終監査後の患者への薬剤の交付は、委託元から交付(手渡しまたは配送)する場合と、委託先から交付(配送)される場合が考えられる。どちらの交付方法によるかは委託元の薬局が適切に判断する。
その他
薬局開設者は薬剤師の意見を尊重し、外部委託を強要してはならない