ギラン・バレー症候群とは、急性・多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気です。日本では厚生労働省の治療研究(難治性疾患克服研究事業)の対象となっております。現在の治療方法としては免疫グロブリン大量静注療法または血液浄化療法のいずれかしかありません。
今回、千葉大学医学部の研究チームによりギラン・バレー症候群患者さんに対して免疫グロブリン+エクスリズマブを投与した時の有効性・安全性に関する多施設二重盲検ランダム化第二相試験のデータが公開されました。
ギラン・バレー症候群におけるエクスリズマブの安全性と有効性に関する第二相試験
国内13の病院における多施設二重盲検ランダム化第二相試験です。対象は18歳以上のギラン・バレー症候群患者で自力歩行が困難な方(ギラン・バレー症候群機能性グレード3~5の方)が対象となっています。
被験者を4週間の免疫グロブリン静脈内投与+エクスリズマブ(900mg)群(n=23)または、免疫グロブリン静脈内投与+プラセボ投与群(n=11)に振り分けて、試験終了時点での機能回復状況を評価しています。
自力歩行が可能なまでに回復した割合
免疫グロブリン+エクスリズマブ投与群:61%
免疫グロブリン+プラセボ投与群:45%
24週時点で走行可能なまでに回復した割合
免疫グロブリン+エクスリズマブ投与群:74%
免疫グロブリン+プラセボ投与群:18%
上記の試験結果に関しては、小規模臨床試験であるため統計学的な有意差は示されませんでした。しかし24週時点で74%の被験者が走行可能にまで回復しておりますので、今後の第Ⅲ相試験に向けた取り組みが期待されます。
有害事象
免疫グロブリン+エクスリズマブ投与群
アナフィラキシーショック:1例
頭蓋内膿瘍:1例
免疫グロブリン+プラセボ投与群
うつ病:1例
上記の有害事象患者は回復しています。死亡または髄膜炎感染症は発生しておりません。