ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

ビタミンD摂取がインスリン感受性を改善する可能性について

ビタミンD摂取が肥満患者におけるインスリン感受性を改善するかどうかに関してイタリアの研究チームが3か月間の調査結果を公開しました。

対象
糖尿病を患っていないビタミンD欠乏症患者18人(BMI>25kg/㎡)

調査内容
3か月間にわたり以下の食事を摂取した時のインスリン感受性を調査しています。
経口ビタミンD摂取群:低コレステロール食+経口コレカルシフェロール(25000IU/週)
プラセボ群:低コレステロール食+プラセボ
(両群ともにn=9)

ビタミンD摂取がインスリン抵抗性を改善する可能性について

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結果
両群ともに有意な体重減少が確認されました。
経口ビタミンD摂取群:-7.5%
プラセボ群:-10%
体重減少において両群に差はみられませんでした。

経口ビタミンD摂取群において血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の上昇が確認されました。(36.7±13.2nmol/L→74.8±18.7nmol/Lへ上昇)

インスリン感受性の変化
経口ビタミンD摂取群:4.6±2→6.9±3.3mg/kg/min)
プラセボ群:4.9±1.1→5.1±0.3 mg/kg/min)

低コレステロール食とビタミンD製剤の摂取は、非糖尿病肥満患者においてインスリン感受性を有意に改善する可能性が示唆されたと筆者らはまとめています。

同グループはビタミンDの血中濃度とインスリン感受性および肥満におけるBMIとの相関についても報告しており、生活習慣病予防におけるビタミンDを含む食品の有用性に関する調査が進むかもしれません。

ビタミンDの1日の推奨摂取量は成人男性・女性ともに5.5μg程度となっており、食品としては魚類(干物・焼き・生食)に多くふくまれています。通常の食生活ではビタミンDの摂りすぎとなることはありませんが、サプリメントや医薬品を摂取している場合は念のため過剰摂取に注意が必要となります。

ビタミンD摂取がインスリン抵抗性を改善する可能性について

血中ビタミンD濃度と癌の発症リスクに関する日本人を対象としたデータ

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ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業