おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

保湿剤

ほくろが取れると言ううたい文句の中国製の軟膏「点痣膏」を使用して皮膚壊死(2023/12/13)

投稿日:

ほくろが取れると言ううたい文句の中国製の軟膏「点痣膏」を使用して皮膚壊死(2023/12/13)

SNS上の広告で「ほくろ、いぼ、シミが取れる」といううたい文句でインターネット販売されていた中国製の軟膏「点痣膏」を強いようして皮膚壊死、皮膚潰瘍となった事例が国民センターに報告されました。

hokuro

hokuro

hokuro

顔面のほくろに「点痣膏」を塗ったところ、直後に熱くなって痛みを感じた事例です。

皮膚科を受診し、熱傷で治療見込みは1年以上との診断でした。

同様に、鼻周辺のしみ・ほくろ3か所に強めに擦るように塗り広げた事例では薄く皮がむけてビリビリと痛みを感じ、塗ってから1分弱で同梱のジェルをつけたら痛みは消えたが、塗った個所は赤紫色の熱傷となった事例も報告されています。

 

問題となっている「点痣膏」の有効成分は「酢酸クロルヘキシジン」という殺菌剤で、犬猫のシャンプーなどに含有されている成分です。

しかし、その他の成分として「酸化カルシウム」が濃度不明で含まれており、点痣膏のpHを調べた結果「14」と強アルカリ性であることが調査結果で明らかとなっています。

強いアルカリ性の物質は人の皮膚などの蛋白質を変性させます。目に入ると失明の危険もあります。

酸化カルシウムは皮膚上の水分と発熱反応を起こして水酸化カルシウムを生成します。この発熱反応で皮膚がただれます。さらに生成された水酸化カルシウムはアルカリ性ですので、皮膚表面を溶かします。2段階で皮膚にダメージを与えるような印象です。

点痣膏の使い方には「つまようじを使って、ほくろに少量のクリームをつけ、1~2分ほおどで皮膚がヒリヒリといたみだしたら、綿棒でクリームをきれいにふき取る。かさぶたができて剥がれるのを辛抱強く待つ」

という謎の使い方が記されていたようです。

皮膚表面の痣やシミ・ほくろをとるのは医療行為ですので、インターネットで購入できる品目で、なにかできることではないことを知り、皮膚科医や形成外科を受診することが解決策となります。

国民生活センター「点痣膏」で皮膚障害発生

-保湿剤

執筆者:ojiyaku

関連記事

nankou

代替調剤ができない亜鉛華単軟膏20%製剤であるサトウザルベ軟膏20%について

代替調剤ができない亜鉛華単軟膏20%製剤であるサトウザルベ軟膏20%について 先日、亜鉛華軟膏20%と記載された処方箋を手にしました。薬局の在庫にはサトウザルベ20%を備蓄していたため、代替調剤を行お …

vaseline

ワセリンを塗った部分に紫外線があたって問題ない話

ワセリンを塗った部分に紫外線があたって問題ない話   塗り薬をぬった皮膚に紫外線があたるとどうなるかについてのお話しです。   医療用医薬品や市販の塗り薬には「薬成分」と「基剤」が …

dry-skin-antihistamine

乾燥肌(ドライスキン)に対して抗ヒスタミン剤が処方されない理由について

乾燥肌(ドライスキン)に対して抗ヒスタミン剤が処方されない理由について   乾燥肌(ドライスキン)とは皮膚の水分・皮脂成分が不足して、潤いが低下している状態をいいます。乾燥肌になると肌はカサ …

nankou

白色ワセリンとプロペト軟膏の違い/ベトベトしないのはどっち?

白色ワセリンとプロペト軟膏の違い/ベトベトしないのはどっち?   白色ワセリンもプロペト軟膏も保湿剤や基剤として使用される軟膏で薬価も同じです。(一部の白色ワセリンで若干安い商品もあります) …

ointment

軟膏を塗る順番で皮膚からの吸収率は変わらない2つの理由

軟膏を塗る順番で皮膚からの吸収率は変わらない2つの理由   皮膚の乾燥・かゆみに対してステロイド軟膏とヒルドイドローションが同時に処方されることがあります。皮膚からの吸収速度については、どち …

  google adsense




2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年12月発売予定のGEリスト(エクセルファイル)

2023年4月薬価改定 新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

2022年4月薬価改定。新旧薬価差比較データ(エクセルファイル)

おじさん薬剤師の働き方

how-to-work

薬剤師の育成について

how-to-bring-upo

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト

日医工・沢井・東和・日本ジェネリック・日本ケミファ・アメルの出荷調整リスト




how-to-work