慢性疾患患者様の処方内容は、Do処方が多い印象です。厚生局から指導によると薬局薬剤師は「起こりうる副作用を未然に防ぐための確認を行うこと」が役割の一つとなっております。患者様との会話や薬歴に記載する内容に季節変化を盛り込みつつ副作用についての注意喚起を行うと、少しは厚みがでるのかなぁと思いましたので、今回は季節変化を取り入れた薬歴について記してみます。
~冬→春、春→夏(気温上昇・湿度上昇)~
●痛風の薬(5~9月は痛風発作の初診患者が多い)
・気温上昇に伴い発汗量が増え、脱水症状が起こりえます。こまめに水分を補給するよう心がけましょう。
・気温上昇に伴う発汗量の増加に加え、ビールなどのアルコール摂取量が増える季節です。脱水症状に起因する痛風発作を防止するためにも水分摂取を心がけましょう。
●糖尿病治療SGLT2阻害剤
・気温上昇に伴い発汗量が増え、脱水症状が起こりえます。こまめに水分を補給するよう心がけましょう。
●血液サラサラの薬・不整脈の薬
・気温上昇に伴う発汗量の増加により、血液粘稠度が増す可能性があります。こまめに水分補給するよう心がけましょう。
●下剤
・気温上昇に伴う発汗量の増加や、夏バテによる食欲減退が原因で便秘の頻度が増えるケースがあります。水分補給をこまめに行いましょう。
夏と尿酸値の関係(サッポロビール調査)
●甲状腺機能亢進症
・気温上昇に伴う過度の発汗や脱水に注意。手の震え動悸などの体調変化に注意すること。
●水虫の薬
湿度が上昇しますので、水虫(白癬菌)の理想的な生育環境に近づきます。患部をよく乾燥させること。自己判断で治療を中断しないこと。
~ 夏→秋、秋→冬(気温低下・湿度低下)~
●喘息の薬・吸入薬
1. 空気が乾燥し気温が低くなるこの季節は、気管を刺激し喘息発作の頻度が増える可能性があります。再発予防のために自己調節せずつづけること。
●高血圧の薬
・気温の低下に伴い、血圧変動が生じる可能性があります。体を冷やさないこと、降圧剤を自己調節しないこと、減塩に心がけるようにしましょう。
・気温の低下に伴い、外気温と内気温の温度差が大きくなる季節です。外出時や入浴後の急激な温度変化に伴うフラツキに注意すること。防寒を心がけましょう。
●狭心症の薬
・気温の低下に伴い、外気温と内気温の温度差が大きくなる季節です。寒暖差による発作を予防するために外出時は防寒を心がけましょう。ニトロ剤の頓服薬を常備すること。
●貼り薬
・湿度の低下に伴い、皮膚が乾燥する季節です。貼付部位のかぶれ・かゆみ・発疹などの副作用に注意しましょう。はがした後は保湿剤などで皮膚を保湿しましょう。
冬季 住宅環境下における血圧変動について実測値
●痛み止め
気温低下に伴い体が冷えると、血行不良に伴う筋肉のこわばり生じる可能性があります。筋肉の硬直をさけるため暖かい下着を身に着けるなどの防寒対策を心がけましょう。