タリージェ錠とリリカカプセルとの比較データ(対象:糖尿病性末梢神経障害性疼痛)

タリージェ錠とリリカカプセルとの比較データ(対象:糖尿病性末梢神経障害性疼痛)

2021年5月13日追記

末梢神経障害性疼痛の適応症をもつタリージェ錠を販売している第一三共は、効能効果について「中枢性神経障害性疼痛」への適応拡大を申請したことを同ホームページに公開しました。

中枢性神経障害性疼痛とは「脊髄損傷後神経痛」「脳卒中後疼痛」などが含まれます。

 

2019年3月24日追記

タリージェ錠の糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対する治療効果(アジア人対象)

 

アジア人の糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者さんを対象としてタリージェ錠の効果・忍容性に関する報告がありましたので追記いたします。

 

被験者:糖尿病性の末梢神経障害性疼痛患者さん(アジア人対象、日本人が72%、韓国16%、台湾9%、マレーシア3%)

年齢:20歳以上

薬の飲み方

プラセボ群(334人)

1日2回、朝と就寝時にプラセボ(偽薬)

 

タリージェ15mg群(166人)

1日1回朝にプラセボを使用し、就寝前にタリージェを使用した。

タリージェは、最初の1週目は5mg、2週目は10mg、3週目以降は固定用量として15mgを使用した。

 

タリージェ20mg群(168人)

1日2回タリージェを使用した。

最初の1週目は1日2回1回5mg(朝、就寝前)で使用し、2週目以降は固定用量として1日2回、1回10mg(朝、就寝前)で使用した。

 

タリージェ30mg群(166人)

1日2回タリージェを使用した。

最初の1週目は1日2回1回5mg(朝、就寝前)で使用し、2週目は1日2回、1回10mg(朝、就寝前)で使用し、3週目以降は固定用量として1日2回、1回15mg(朝、就寝前)で使用した。

 

試験中はリリカ、抗てんかん薬、SNRI、眠剤、抗不安薬、オピオイド剤の使用は禁止されておりました。

Mirogabalin

結果

14週間服用した段階での痛みの程度についてADPS差の二乗平均値(ADPS:痛みを0~10で評価)を用いて評価しています。ADPSが減少すると痛みが改善したと評価します

 

プラセボ群:-1.31

タリージェ15mg群:-1.34

タリージェ20mg群:-1.47

タリージェ30mg群:-1.81

 

ADPSの減少に関しては、タリージェを使用した群では1週目からプラセボと比較して減少が確認されております。特にタリージェ30mg群では、最初の3週間でプラセボと比較してADPSの大きな減少が確認され、統計的にも有意差が確認されております。

タリージェ錠の安全性・忍容性

 

有害事象は軽度~中程度のものが多く、タリージェ30mgにおける有害事象率とプラセボを比較してみると

 

鼻咽頭炎

プラセボ群:12.7%

タリージェ30mg群:16.4%

 

眠気

プラセボ群:3.9%

タリージェ30mg群:14.5%

 

めまい

プラセボ群:2.1%

タリージェ30mg群:10.9%

 

末梢性の浮腫

プラセボ群:1.2%

タリージェ30mg群:8.5%

 

体重増加

プラセボ群:0.6%

タリージェ30mg群:6.7%

 

まとめ

アジア人(70%以上が日本人)を対象とした糖尿病性の末梢神経障害性疼痛患者さんを対象としたタリージェの効果としては1日2回、1回15mgの服用量で、プラセボと比較して有意に痛みを軽減することが確認されました。(国内の適応症も1日2回、1回15mgが最大用量です)。末梢神経障害性疼痛における一般的な併用疾患として末梢の痛みが原因で生じる“睡眠障害”があるのですが、タリージェ30mg群においては、睡眠障害を有意に改善したという報告もなされています。

タリージェ錠の糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対する治療効果(アジア人対象)

2019年2月21日追記

タリージェ錠の薬価

 

タリージェ錠2.5mg:78円

タリージェ錠5mg:107.7円

タリージェ錠10mg:148.7円

タリージェ錠15mg:179.6円

 

神経障害性疼痛に対してリリカOD錠は1日量600mgまで増量可能です。(OD錠150mg×4錠で薬価を計算すると613.6円(2019年2月現在))

 

一方、末梢神経障害性疼痛に対してタリージェ錠は1日量30mgまで増量可能です。(タリージェ錠15mg×2錠で薬価を計算すると359.2円(2019年2月現在))

 

最大服用量を服用時の薬価を比較するとリリカOD錠600mg(1日613.6円)とタリージェ錠30mg(359.2円)となりますので、タリージェ錠の方がコストは軽減できます。しかし、効き目を比較することはできません。

モーラステープをはがすタイミングについて

リリカOD錠を1日600mgまで増量する経緯としては、1日300mgで服用していたが、時間経過とともに思うような鎮痛効果が得られなくなり増量・・増量といったケースが想定されます。

 

“一方タリージェ錠は“と言っていいのかはわかりませんが、臨床試験データによると1年間(52週間)タリージェ錠を服用した長期投与試験の結果では”痛みの強さ“は

 

糖尿病性末しょう神経障害性疼痛の強度;投与前42.1→1年間服用後31.1

帯状疱疹後神経痛みの強度:投与前43.5→1年間服用後28.6

 

上記結果となっており、1年間服用後も鎮痛効果が維持されていることが確認できます。データは1年間までとなっておりますので、それ以降の効果については実際に服用してみてということになります。

 

タリージェ錠の効き目についてインタビューフォームを確認したところ、興味深い数値がありましたので記します。

タリージェ錠とリリカOD錠の解離定数・解離半減期について

タリージェ錠を服用後、腸管から吸収されて血液中にタリージェ錠が流れた場合、半減期は約3時間と記されていますので、3時間ごとに血液中の濃度が半分に減っていきます。(血液中を流れるタリージェ錠の量はどんどん減っていきます)。

 

一方、血液中から神経終末に取り込まれて、タリージェ錠が神経終末に“ピタっ”と、くっつくと、なかなか離れません(離れない=効き目が長く続くという解釈です)

 

タリージェ錠がピタっとくっつく場所は具体的には2つあるのですが、その解離半減期(どれくらい長くくっつくか)を確認したところ

 

ヒトα2δ-1から解離半減期:11.1時間

ヒトα2δ-2からの解離半減期:2.4時間

 

比較対象としてリリカの解離半減期も記されているのですが、リリカOD錠の解離半減期は

 

ヒトα2δ-1から解離半減期:1.4時間

ヒトα2δ-2からの解離半減期:1.4時間

 

さらにピタッとくっつく力(解離定数)についても記されているのですが、リリカと比較してタリージェ錠が作用部位にくっつく力は5倍ほど強いと記されています。(解離定数とは作用部位にくっつく力を表しており、値が小さいほどくっつく力が強いという意味あいがあります)

ヒトα2δ-1に対するタリージェの解離定数:13.5nmol/L

ヒトα2δ-1に対するリリカの解離定数:62.5nmol/L

 

ヒトα2δ-2に対するタリージェの解離定数:22.7nmol/L

ヒトα2δ-2に対するリリカの解離定数:125.0nmol/L

このあたりのデータをどのように読み解くかがポイントかなぁと思います。

神経からくる痛み止め「リリカ」の不安障害に対する効果について

以下は2018年12月に記したリリカとタリージェ錠の比較データに関する内容です

タリージェ錠とリリカ錠の比較データ

タリージェ錠が2018年12月3日の薬食審・医薬品第一部会にて承認可否が審議されることとなりました。タリージェ錠とはリリカカプセルのような「末梢性神経障害性疼痛」に対する効き目が期待される製品です。今回は、タリージェ錠とリリカカプセルとの違いについて調べてみました。

タリージェ錠は2019年1月8日、国内製造承認を取得しました

結論

・タリージェ錠はリリカに比べて効き目が長い

・タリージェ錠の効き目は5週間飲み続けても持続する

・副作用発現率はリリカよりも幾分低い

糖尿病性末梢神経障害性疼痛におけるタリージェ錠とリリカカプセルの比較データ

上記はタリージェ錠に関する第Ⅱ相試験(米国フェーズⅡ)に関する内容です。読み手によって捉え方は様々かとは思うのですが、私としては、「リリカの効果を遠回しに悪く表現して、タリージェ錠の有効性を示す内容」に感じました。公開されている文章をどこまで鵜呑みにするかは、それぞれですが以下に内容をまとめます。

 

タリージェ錠の効果について

タリージェ錠は痛みの伝達に関与するα2δ-1サブユニットに結合することにより、シナプスにおける神経伝達物質の放出を制御して、鎮痛効果を発揮すると考えられています(リリカカプセルと同じ作用です。)リリカカプセルを服用した場合の鎮痛効果は50%程度であり、その有効性は徐々に低下するため、鎮痛効果を維持するためにはリリカの服用量を増やしていかなければなりません。タリージェ錠は5週間の連続服用した場合、増量しなくても効き目が維持されました。

 

タリージェ錠は高い選択的をもってα2δ-1サブユニットに結合します。さらに一度結合すると、離れるまでに時間がかかる(効き目が長い)という特徴があります。(リリカと比較して解離速度が遅いと記されています。さらにリリカについて“非選択性α2δ-1サブユニット”と記しています)

 

上記を理由に「タリージェ錠は選択的にα2δ-1サブユニットへ作用するために、少量の服用で効果が発現し、α2δ-1サブユニットにくっつくと離れにくい性質があるため、効き目が長い薬です」と紹介されています。

 

このあたりの表現は“手前味噌“にも読み取れるため、なんとも言えない気もします。

 

糖尿病性末梢神経障害性疼痛に対するタリージェ錠・リリカカプセルの効果について

 

タリージェ錠:1日1回5mg寝る前

タリージェ錠:1日1回10mg寝る前

タリージェ錠:1日1回15mg寝る前

タリージェ錠:1日2回、1回10mg(朝と寝る前)

タリージェ錠:1日2回、1回15mg(朝と寝る前)

リリカカプセル:1日2回、1回150mg(朝と寝る前)

プラセボ(偽薬)

 

糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者(452人)を上記の7群に分けて、5週間服用した段階での痛みの程度について平均疼痛スコア(ADPS:痛みを0~10で評価)を用いて評価しています。ADPSが減少すると痛みが改善したと評価します

 

結果(ADPSスコアがどれだけ減ったかについて)

タリージェ錠:1日1回5mg寝る前群:-2.0

タリージェ錠:1日1回10mg寝る前群:-2.3

タリージェ錠:1日1回15mg寝る前群:-2.7

タリージェ錠:1日2回、1回10mg(朝と寝る前)群:-2.6

タリージェ錠:1日2回、1回15mg(朝と寝る前)群:-2.8

リリカカプセル:1日2回、1回150mg(朝と寝る前)群:-1.8

プラセボ(偽薬)群:-1.9

 

プラセボ(偽薬)群で、-1.9ポイントが減少しているわけですが、タリージェ錠を服用することで-2以上の減少が確認できます。統計的にはタリージェ錠15mg群、1日2回、1回10mg群、1日2回、1回15mg群において、プラセボ群に比べて鎮痛作用の有効性が示されています。また、痛み止めが効き始めるまでの日数(ADPSが30%以上減少するまでに達する時間)についてもプラセボ群に比して有意性が示されています。

 

また、リリカカプセルについては、服用開始から1周目および2週目では鎮痛作用が出ているものの、3、4、5週目に関しては・・・プラセボ群と比較して有効性が示されていないと記されています。(リリカを服用する場合は、増量しないと効き目が減弱することを案に提示しています)

 

有害事象について

タリージェ錠服用群での有害事象は軽度から中程度のめまい(9.4%)、傾眠(6.1%)、頭痛(6.1%)でした。めまいと眠気に関してはタリージェ錠の服用量が増えるにつれて増加しています。

 

筆者らはまとめの中で、1日1回ねる前にタリージェ錠を服用することでも疼痛緩和作用が得られた点について「夜間にタリージェ錠を服用することで、日中のめまい・傾眠の頻度を軽減できる」と記しています。

まとめ

タリージェ錠は1日1回または2回の服用で、鎮痛効果を示す

タリージェ錠はリリカカプセルと比較して、効き目が長い

タリージェ錠を連続服用した場合、5週間後においても鎮痛効果が維持された(増量しなくてよい)

副作用発現率はリリカよりも幾分低いものの、めまい・傾眠といった副作用は用量依存的に起こりうる

糖尿病性末梢神経障害性疼痛におけるタリージェ錠とリリカカプセルの比較データ

トラムセット配合錠のジェネリック“トアラセット配合錠”のメーカー比較

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業