おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

厚生労働省 調剤薬局

病院・薬局におけるオンライン資格確認導入とは

投稿日:2021年3月27日 更新日:

病院・薬局におけるオンライン資格確認導入とは

追記:2021/3/29

オンライン資格確認システムの導入は最長で10月まで延期

2021年3月下旬の導入を予定していた「オンライン資格確認システム」について、厚生労働省は3月26日の社会保障審議会・医療保険部会にて「最長で10月まで延期する」ことを明らかとしました。

遅延の理由として

・コロナ禍の影響により医療機関や薬局でのシステム改修が遅延していること

・半導体不足によるパソコン調達が遅れていること

・加入者の情報不備による資格確認エラーが発生したこと

・院内システムへの情報読み取りエラーが発生したこと

・個人番号の誤りが見つかったこと

・コロナ禍の影響でデータの登録確認・修正作業が遅れていること

・被保険者証の情報登録不備

などを理由としてあげています。

厚生労働省は、施行運用を継続しながらシステムの安定性やデータの正確性を確認し、遅くとも2021年10月までに運用を開始する方針を示しました。

 

2021/1/9記載

「令和3年3月までにオンライン資格確認に関する申し込みをすると、カードリーダが無料で手に入り、上限はあるものの設置費用も国が負担します」

病院や調剤薬局宛てに厚生労働省から上記の案内が届いています。この記事を書いているのが2021年1月9日ですので、あと2カ月ちょっとの間に申し込みをすれば何かが無料で手に入るという案件です。

 

「オンライン資格確認」および今後の厚生労働省の狙いについても、いまいちぼんやりとしか把握しておりませんでしたので、自分なりではありますが「オンライン資格確認」についてまとめてみました。

オンライン資格確認システムポータルサイト

オンライン資格確認とは

online-shikaku

上記のようなカードリーダー端末を調剤薬局の処方箋受付カウンターに設置します。このカードリーダー端末はインターネットがつながっているパソコンとUSBで接続しておきます。

マイナンバーカードを持参した患者Aさんがマイナンバーカードを機械に設置して、顔認証または暗証番号を入力することにより、Aさんの保険証の番号が正しい番号かどうかがオンラインを経由して直ちに確認することができるというシステムです。

同じ会社で長年働いている方の保険証は基本的に同じですが、転職を繰り返している方や、後期高齢者では、保険証の番号が変わるケースが多々あります。病院や薬局では、保険番号を使用して支払基金に保険請求を行うわけですが、この番号は間違っていたりするとレセプト返戻の対象となってしまい、正しい請求ができません。再度請求をかけなおさなければならず、2度手間となってしまいます。

 

そこで登場するのが今回のテーマ「オンライン資格確認システム」です。

カードリーダー端末および、マイナンバーカードを使用することで、リアルタイムに患者様の保険証番号が正しいかどうか(古い番号ではないかどうか)を確認することが可能となります。

さらに、マイナンバーカードで患者さんの認証確認を行うと、患者様の氏名・年齢・保険者番号・住所・保険割合・有効期限などのデータがオンラインを経由してパソコン画面に表示される使用となっています。

 

マイナンバーカードを持っていない方に対しても、健康保険証の保険番号をレセプトパソコンに手入力すれば、保険証の番号が正しいかどうか(有効期限が切れていないか)をリアルタイムに確認することが可能です。

ここまでの内容をまとめますと、オンライン資格確認とは、リアルタイムで健康保険証の番号を確認することにより、レセプト返戻を減らそうという取り組みと理解できます。

 

しかし、厚生労働省の狙いはさらに続きます。

 

マイナンバーカードをもって患者Aさんが薬局に来局し、カードリーダー端末を認証すると、Aさんが過去3年以内に病院や薬局から処方された薬のリストを薬局が閲覧することが可能となります。

具体的には、マイナンバーカードをカードリーダーにセットし、顔認証を終えた後、薬剤情報の開示について本人が同意した場合、薬局スタッフは過去3年間に払い出された医薬品に関するレセプト情報を閲覧することが可能となります。

お薬手帳を忘れた患者様であっても他院から処方されている薬との飲み合わせを確認できるという点はメリットがあると思います。

 

薬剤情報開示システムについては令和3年10月からの導入が検討されています。

 

さらに厚生労働省は令和4年夏ごろまでに「電子処方箋」の導入を検討しております。紙の処方箋が不要となり、電子処方箋情報がマイナンバーカードにインプットされ、薬局はマイナンバーカードの情報を読み取って調剤を開始するという流れが想定されます。

 

短期的および長期的な厚生労働省の狙いはこのようなところです。最終的には国民全員にマイナンバーカードを普及させ、保険証の代わりにマイナンバーカードを持参して病院へ行きましょうということになるのかもしれません。

 

良い悪いは別として、上記の取り組みを行うために必要なカードリーダー端末の費用および、既存のレセコンとオンライン資格確認システムを連動させるためのシステム改修費用(42万9千円まで)を国が負担してくれるというのですから、2021年3月末までに申し込んだほうが得な気がします。

 

オンライン資格システムを導入したところで、マイナンバーカードの普及率が2020年7月1日時点で17.5%と、まだまだ低いため、実際に業務として稼働するためには、まだまだ時間がかかると思いますが、保険証番号を使用してレセプト返戻件数を減らすことができるというだけでも、導入の価値はあるのかなぁと感じています。

 

 

 

 

-厚生労働省, 調剤薬局
-オンライン資格確認システム, カードリーダー, マイナンバーカード, 薬局

執筆者:ojiyaku


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