調剤薬局薬剤師の業務は頭脳労働と感情労働
労働を大きく3つに区分すると、肉体労働・頭脳労働・感情労働という3つに区分できると言われています。
調剤薬局の薬剤師の仕事を大きく区分すると、頭脳労働と感情労働という2つに区分できると私は考えます。
. 頭脳労働とは、主に知識、思考力、判断力、創造性などを使って行う労働のことで、専門知識や問題解決能力が必要とされる労働のことをさすようです。
頭脳労働では継続的な学習やスキルアップが不可欠であり、課題を立案して、解決する力が求められます。
研究職や技術職・プログラマーなどがこの分野に入ると言われています。
感情労働とは、対人関係の中で感情を調整しながら働く仕事をさします。顧客対応や患者様のケア、接客業などの対人業務が含まれます。
感情労働では、表面的な感情表現と内面の感情が異なる場合があります。
(職場の自分が仮面をかぶるようなイメージでしょうか)
相手の感情を理解し、共感する能力が求められる反面、感情労働では感情がぶつかり合うため、メンタルをやられて病んでしまう頻度が高いともいわれています。
学校の先生や営業職、接客業などがこの分野に当てはまります。
薬剤師は頭脳労働と感情労働を交互に行うような職業であると私は感じています。
処方箋を応需して、調剤・監査・併用の確認といった薬と向き合う時間は「頭脳労働」であり、患者様にお薬をお渡しするときは「感情労働」となるわけで、1日のうちに、これを何度も繰り返す作業となります。
頭脳労働に関しては、自分一人である程度のスキルアップが可能となる一方で、感情労働は、そうはいきません。感情労働には、人の心を推測する力や、自分のメンタルを構築する作業など、自分の考えといいますか哲学を築き上げる必要がありますの。そのため意識して「感情労働」に取り組まなければ、永遠に手に入らない可能性もあります。
知識労働だけを研ぎ澄まして、感情労働を、ないがしろにしてしまうと、人の心を推し量ることができず、さらに自分の心の構築もできないまま年を取ってしまうため、ヒトと働くことが難しくなってしまうケースも起こりえます。

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理系の方の中には、「国語が苦手」と感じる方もおられるかもしれません。学生時代はそれでよかったかもしれませんが、社会人で会社から給与をもらいながら精進するとなる、そうはいきません。
感情労働を意識的に取り組んでいくためには、まず基盤となる自分の考えといいますか、熱い本質を持つことが第一歩となります。もちろんそれは「対人に対しての熱量・思い」です。
それがあっているかどうかは別にして、自分が構築した本質がズレていればその都度、調整していけばいいだけです。
しかし、「対人に対する熱量」について考えず、努力も怠ってしまうと、感情業務についての基盤がいつまでたってもできない状態となり、行き当たりばったりで対人業務をこなすことになります。
この状況は長期的に見て、一緒に働く職員からも、患者様からも信頼を築くことは難しいと私は考えます。
調剤薬局ではたらかれる新卒の薬剤師の方がこの文章を目にされることがありましたら、どうぞ「頭脳労働」は自宅で研ぎ澄まし、「感情労働」は現場でトライ&エラーを繰り返してみてください。
感情労働は予想と戦略・ベースとなる基盤をイメージして取り組み、壁の一部を崩されたら、その部分を磨き上げて構築していきます。
時に、メンタルをやられる人がおりますが、感情労働に真摯に取り組んでいる方の場合は「自分が考えてきた戦略・基盤」がズレていただけであり、あなた自身を否定されているわけではありません。
しかし、感情労働に向き合っていない人の場合、ダイレクトにメンタルに届きますので、心を病む可能性が高くなります。
このあたりを考慮していただき、頭脳労働と感情労働に従事していければ幸いです。