おじさん薬剤師の日記

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多汗症 抗うつ薬

多汗症治療薬“プロバンサイン錠”の効き目を患者様へお伝えする

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多汗症治療薬“プロバンサイン錠”の効き目を患者様へお伝えする

 

多汗症の治療薬としてプロバンサインが処方されることがあります。具体的なプロバンサイン錠の薬物動態を調べることで、プロバンサインを使用するタイミング・効果・副作用の可能性について自分なりに勉強してみました。

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プロバンサインの薬物動態

 

平均排泄半減期:1.56時間

平均最高血中濃度:20.6ng/ml

最高血中濃度到達時間:1時間

AUC:62.2ng・hr/ml

 

プロバンサイン錠の添付文書・インタビューフォームには薬物動態についてのグラフが記されていないのですが、上記の数値をもとにザックリと薬物動態のグラフを描くと以下のようになります

Pro-Banthine

掌蹠多汗症が生じる仕組み

 

掌(手のひら)や蹠(足裏)には汗をかくエクリン汗腺が1平方メートルあたり700個ほどあり、この数は体のほかの部位(頭や背中)と比較しても圧倒的に多い数となっています。そのため、何かをきっかけとして手掌多汗症の方が手汗をかくと、止まらないほどの汗がしたたり落ちることとなります。(汗腺の数は健常人も多汗症の方もかわりありません)

 

手汗はコリン作動性交換神経というシグナルが関与しておりますので、コリンを抑制する“抗コリン薬”を服用することが治療となります。プロバンサイン錠は抗コリン作用により手汗を抑制する働きがあります。

 

プロバンサイン錠30mgを1錠飲むと、30分程度で効果が実感されます。効果持続時間には個人差はありますが、服用後2~4時間程度の汗を抑制する効果が期待されます。

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プロバンサインには定常状態がない

プロバンサイン錠の添付文書には1日3~4回服用することと用法が記されております。

 

飲み薬のタイプを大きく分けますと2種類に分類することができます。

「飲めば効く・飲まなければ効かない」頓服タイプの薬(痛み止め・睡眠導入剤など)と、「24時間に渡って効果が持続する薬」定常状態タイプ(血圧の薬、コレステロールのなど)です。

 

頓服タイプは症状が出た時に使用する薬であるのに対して、定常状態タイプは常に効き目を維持させることで予防的・維持的に治療する薬です。

 

プロバンサインは半減期が1.5時間しかありませんので、薬の効果は前者「飲めば効く・飲まなければ効かない」タイプの薬と言えます。

 

1日4回プロバンサイン錠を飲んだ時の状態について計算してみますと

 

投与間隔 ÷ 半減期 = 6 ÷ 1.5 =4

(1日24時間でプロバンサインを4回飲む場合は、投与間隔が24÷4=6時間となります。)

 

一般的に、上記の答えが4以上であれば定常状態が無い薬と考えます。プロバンサイン錠は4となりましたので、定常状態が無い薬=頓服タイプの薬という解釈となります。

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多汗症の症状は人の情動的刺激に相関するため、起きている時間帯(10~18時)に発汗の増加がみられるのに対して、睡眠中は大脳皮質の活動が低下するため発汗も抑制されるという報告があります。

 

例えばプロバンサイン錠を1日3回飲む方の場合、仕事によるストレスや情動的刺激による発汗のタイミングを把握したうえで、8時、12時、16時というタイミングで使用することは有益なタイミングの一つと私は考えます。

 

この用法で使用し場合、16時に服用したプロバンサイン錠は22時あたりでは効き目がなくなります。この時点で体内には極微量のプロバンサインは流れている状態ですが、効果はほぼ消失していると考えて差し支えありません。そのまま就寝した場合、翌朝にはプロバンサインの効果は0と試算されます。

 

長期間の服用について

薬が効いてくると汗は止まりますが、それと同時に口渇・頭痛・ほてり・動悸・便秘といった自覚症状が生じるケースがあります。すべて抗コリン作用の効果です。薬の効果が切れれば副作用も軽減します。

 

長期間、高用量の服用をつづけると目の調節障害を引き起こす可能性があります。プロバンサイン錠の抗コリン作用が持続的に続くと眼圧調節がうまくいかずに視野に障害が生じる方がおります。緑内障の方は服用できません。定期服用する方の場合は、念のため眼科の定期受診を推奨します。

 

 

多汗症に対するプロバンサインの推奨レベル

掌蹠多汗症:C1

腋窩多汗症:C1~C2

頭部 顔面多汗症:B~C1

 

多汗症診療ガイドラインを確認したところ、掌蹠多汗症の第一選択肢としては20~50%塩化アルミニウム外用塗布、就寝時の閉鎖密封法(ODT)、イオントフォレーシス(手足に直流電流を流す治療)、などが記されており、内服薬は上記の治療に併用するか、上記の治療で効果がない場合に内服する感じの取扱いとなっています。

多汗症ガイドライン

 




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