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ロヒプノールとサイレースは同じ薬ですか?

ロヒプノールとサイレースは同じ薬ですか?

 

ロヒプノールの販売中止が決定して、少しずつロヒプノールを服用していた方がサイレースに移行している時期に感じます。精神科の門前薬局で勤務していると

「ロヒプノールとサイレースは同じ薬ですか?」という質問を受けることが何度かありました。自分で調べる患者さんにおいては〇〇の部分に違いがありますよね?という質問を投げかけてくる方もおりました。そこで今回はロヒプノール錠とサイレース錠を比較してみました。

 

薬価

同じです。

サイレースとロヒプノールの薬価は平成28年度薬価改定により同じ額に統一されました。

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添加物

 

添付文書を確認したところ、ロヒプノール1mg、2mg、サイレース1mg、2mgに含まれる添加物のリストは同じ成分が記載されています(記載順番は異なります)。しかしロヒプノールとサイレースに含まれる添加物の分量は違う可能性が高いです。同一製剤ではありません。添加物リストが同じですので、添加物が原因となるアレルギー症状を起こす可能性は低いことが示唆されます。

ロヒプノールとサイレースの製造販売権をエーザイが取得。ロヒプノール錠の販売中止が決定

安定性

 

ロヒプノールもサイレースも同等の安定性がインタビューフォームに記されています。両製剤ともに高湿度環境にさらされると青みが増すことが確認されています。

薬物動態

 

ロヒプノール2mg

最高血中濃度到達時間(Tmax):0.75時間(0.5~4時間)

最高血中濃度(Cmax):22.2±6.5ng/ml

半減期(T1/2):19.2±4.38時間

体の中を流れる薬の量(AUC):213±37.2ng・h/ml(0-72時間まで)

フルニトラゼパム2.6mgを飲むと168時間(7日間)までの尿中に投与量の81%が排泄された

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サイレース2mg

最高血中濃度到達時間(Tmax):0.75時間(0.5~6時間)

最高血中濃度(Cmax):21.7±6.73ng/ml

半減期(T1/2):21.2±4.9時間

体の中を流れる薬の量(AUC):203±34ng・h/ml(0-72時間まで)

フルニトラゼパム4mgを飲むと72時間(3日間)までの尿中に投与量の813.3%が排泄された。2.6mgを服用すると168時間(7日間)までに80~90%が排泄された。

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上記の薬物動態は誤差の範囲とは言え、異なるデータが開示されています。そのため患者様には薬物動態の誤差をどのようにお伝えするかを頭の片隅に入れておくと良いかなぁと感じました。

副作用

副作用発現頻度は同じです。

ロヒプノールとサイレースの添付文書に記されている副作用発現頻度に関するデータは同じデータが共有されています。

 

まとめ

ロヒプノールからサイレースへ変更する際に患者様へお伝えする内容

・どちらも先発医薬品ですが、「ロヒプノールとサイレースは全く同じ薬です」と患者様へお伝えをすると、場合によっては誤解を招くケースもあるかもしれません。

 

・両製剤の差についてサラっと触れながら変更についてお伝えするのであれば、先発医薬品を服用している方に対して、添加物リストが同じ先発医薬品または後発医薬品へ薬を変更するというイメージで、その差を患者様へお伝えすると良いのかなぁと感じます。

 

両製剤についての説明内容

 

・添加物に含まれる成分は同じですが、添加物の含量は異なる可能性があります。

 

・起こりうる副作用の可能性は同じです。副作用に関するデータは共通のデータを使用しています。

 

・効き目は同じです。

・薬物動態を詳しく見比べる患者様に対しては「体の中を流れる薬の量に極わずかながら違いが報告されているものの、効き目は同じです」とお伝えします。イメージとしては先発から後発へ変更するときの説明に近い感じです。

 

一般的な話としては、体の中を流れる薬の量(AUC)を比較する場合、先発医薬品を100%とすると、国内で発売されているジェネリック医薬品のAUCは95%〜105%の間で推移することが多い印象ですロヒプノールとサイレースのAUCの差は4.9%ですので同等性が示されているといえます。

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・薬物動態を詳しく見比べる患者様に対しては「半減期に2時間の差(9%程度)が見受けられますが、毎晩忘れずに飲むのであれば、効果は同じです」とお伝えします。半減期の差について、もう少し言及します。ロヒプノールやサイレースはどちらも20時間前後の半減期を有するわけですが、実際の効果について考えますと、1錠をゴクンと飲んだあと20〜30分ほどで睡眠効果が感じられ、その後は必要な睡眠時間分だけ効果が持続します。(必要十分量の睡眠が取れると目は覚めます)。

飲んでから20時間後に血中濃度の値が半分となるとはいえ、それ以前に目は覚めていますので半減期に2時間の差があることについて、睡眠への影響は誤差と考えます。さらに、どちらの薬も飲み始めてから4日後には定常状態に達して同程度の効果を発揮しますので、連日服用するのであれば、なおさら1〜2時間の半減期の差は微々たるものという解釈と私は考えます。

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ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業