財務省「後発医薬品調剤体制加算」は廃止すべきでは?
2022年の診療報酬改定まで1年を切ったわけですが、財務省から厚生労働省に向けて「予算執行調査」の調査事案が公表されました。
財務省が必要性、有効性、効率性の観点から調査を実施し、今後の改善点、検討の方向性を指摘しています。
その中で、調剤薬局が算定している「後発医薬品調剤体制加算」について、財務省から厚生労働省へ「廃止を含め見直しを行うべきでは?」という提案がありましたので、具体的な内容を記します。
後発医薬品調剤体制加算について、2016年時点で加算を取得していた調剤薬局の割合は57.8%であったのに対して、2020年時点で加算を算定している調剤薬局は73.9%に上っている。(最大の沖縄県では93%が取得しています)。
一方で、減算制度(処方箋受付回数が1カ月に600回を超える保険薬局で後発医薬品の割合が40%以下の薬局は2点減算する)が適用された調剤薬局はわずか0.3%(181件)しかありません。
金額ベースでいうと、現行制度では、年間1200億円程度の加算金額がかかっているのに対して、減算制度による減算額は400万円程度です。
さらに、令和5年年度末までに後発医薬品の調剤割合が政府目標(全都道府県80%)に達した場合、200億円程度の医療費が適正化されることが試算されている一方で、現行制度では毎年加算が1200億円程度とされており、費用対効果が見合っていない。そんため加算制度について、廃止をふくめて見直しを行うべきである。
また、減算制度については適用が181件と極めて限定されており、対象範囲を大幅に拡大するなど減算を中心とした制度にい見直すべきである。
後発医薬品使用割合と平均備蓄品目数には正の相関関係が認めづらい状況にあり、本加算の意義は後発医薬品の使用によるかかり増しの費用への対応の側面ではなく、インセインティブとしての側面が強くなっている。
(後発品の使用率をあげて、先発品の採用をカットして、備蓄品目数を減らせればいいのだが、実際は後発品と先発品を両方在庫している薬局が多く、後発品の使用が在庫品目数の縮小・在庫縮小には貢献していない。むしろ後発医薬品調剤体制加算を算定するために後発医薬品を調剤しているという側面の方が強くなっている)
という内容を財務省が厚生労働省へ提案しています。
今回の予算執行調査は、39件の調査事案が公表されており、そのうち調査の終了した24件について調査結果が公表されました。そのうちの1件として「後発医薬品調剤体制加算」が目をつけられたわけです。
財務書に言われたので「はいはい」と厚生労働省が既存の算定要件をガラッと見直すことはないと思いますが、何もしないということもないかなぁと個人的には思います。そのため既存の算定要件よりちょっとだけ減額減算になるのかなぁと感じております。