おじさん薬剤師の日記

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COPD 小児科 気管支喘息治療薬

小児のネブライザーを使った吸入薬について(自分まとめ)

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小児のネブライザーを使った吸入薬について(自分まとめ)

 

冬の時期になると小児の喘息治療薬としてネブライザーを使った吸入薬が処方されます。

 

ネブライザーを用いた吸入液に関しては、様々なご質問をいただくことがありますので、自分の中の情報を整理する目的で、自分用のまとめを作成しました。

nebulizer(1)

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ネブライザーの使い方

・1回分の薬液をかるく振ってからネブライザーのボトルに入れる

 

・ネブライザーのスイッチを入れて、噴霧が確認できたらマウスピースまたはマスクを口にあてる

 

・ゆっくり深く呼吸をする

 

・薬液がなくなるまで吸入する(5分~10分程度)

 

・ステロイド薬を吸入後は顔を拭き、うがいをする(うがいができない場合は水を飲む)

 

・使用後のネブライザーは時間を置かず手入れを行い清潔に保つ

 

・吸入中は子供から目を離さない

 

薬剤の特徴

・パルミコート吸入液(ジェット式ネブライザーを使用すること)

 

呼吸器の炎症を抑える作用があります。ネブライザーを経由してエアロゾル化します。

 

自然呼吸(普通の呼吸)で吸引することが可能です。

 

生後6カ月から5歳未満の小児の気管支喘息治療薬として有用な薬剤です。5歳以上の小児でも噴霧型の吸入器が使用困難な患者さんには処方されます。

 

懸濁剤ですので、吸入前には泡立てない程度に揺り動かしてからネブライザーに入れること。

パルミコート吸入液は単剤で使用されるイメージですが、以下の薬剤との配合変化をメモしておきます。

 

インタール吸入、アスプール液、メプチン吸入液、ベネトリン吸入液、ビソルボン吸入液、アレベール、アロテック吸入液、イノリン吸入液、ムコフィリン液、ボスミン液、炭酸水素Na液、生食と配合しても配合変化なし。

ただし、ムコフィリン液と混合して24時間が経過すると、懸濁可能な少量の沈殿物を認めた。

 

継続して使用を続ける事で喘息発作の頻度を下げ、夜間の睡眠障害を改善します。

気管から分泌される粘液の輸送能を改善します。

 

パルミコート液の効き目の長さについてですが、気道組織に入ったパルミコートは、細胞内で活性型・不活性型を行き来することで、持続的な抗炎症作用が期待されます。

 

一方で、吸入後に血液中に入ったパルミコートは量としてはごく少量であり、全身循環をめぐり全身性の作用はなく6~8時間後には消失します。気道組織でのみ細胞内で再利用されて持続作用が期待されるとお考えいただいてOK

 

ネブライザーを使用した際の、パルミコート液の体内への移行量についてですが、メーカーとしては、パルミコート液をネブライザーに入れる際、9割程度がネブライザーに入り、1割はアンプル内に残存することを想定しています。

 

また、ネブライザーに入った9割のうち、5割はネブライザーの壁やマウスピース等に付着して残存することも見越しています。

 

では、残りの4割についてはと言いますと、4割のうち2割はネブライザーの排気口から空気中へ排出されてしまい、残りの2割が体内に入ると考えています。

 

つまり、パルコミート液1本に含まれている液剤のうち、ネブライザーを使用して正しく患者の呼吸器へ届く液量は全体の2割程度であり、充分や薬効が期待されます。

 

乳幼児における副作用は口内炎や口腔内カンジダ、接触皮膚炎が5%未満で報告されています。そのため吸入後はうがいまたは水を飲むことが推奨されます。また顔に付着した場合は拭きとります。

 

・インタール吸入液

 

抗アレルギー作用(アレルギー反応に伴うマスト細胞からの脱顆粒を抑制)

 

インタール吸入液はマスト細胞からのヒスタミン等の遊離を抑制することで、喘息症状の発作を抑える作用があります。

 

吸入されても生体内で代謝をうけず、排泄され、組織への蓄積性はありません。

 

血液中に吸収されて作用を示す薬剤ではありません。

 

他剤との配合変化についてはインタール吸入液とブロムヘキシンおよびdl-イソプレナリンとの配合で白濁または沈殿が生じるため配合はさけること。

 

また、アセチルシステインとの配合では時間の経過とともに沈殿を生じるため、配合後は速やかに吸入すること。

 

ベネトリン、メプチンとの配合はOK

 

吸入後15~20分程度で効果が発現します。5~6時間程度、作用が持続します。

 

メプチン吸入液

気管支に高濃度、広範囲に分布します。気管支拡張作用により吸入後速やかに気管支拡張作用を発現します。(吸入後5~15分程度)

小児気管支喘息患者に対して中枢気道のみならず末梢気道も拡張させる作用が確認されています

気管支喘息に対する有効率は58%

 

吸入後、口腔内に付着した薬剤を唾液と一緒に飲み込むと、軽度ですが動悸や手の震え症状を呈する可能性がありますので、吸入後はうがいをすることが勧められています。

 

使い切りの薬剤です。液量が少ないですので、使用前は容器を強く振って開封口部にたまっている薬液を落としてから開口してください

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執筆者:ojiyaku

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