おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

ジェネリック医薬品(後発医薬品)

AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合

投稿日:2018年4月17日 更新日:

AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合

「先発医薬品を服用していた患者さんがAG薬またはそれ以外のジェネリック医薬品へ切り替えた後に、再び先発医薬品へ戻る割合」というユーモアのある調査を米国の研究チームが行いました。

AG薬とは
先発医薬品を製造開発した会社が製造したジェネリック医薬品であり、有効成分・外観・賦形剤が同一であるという特徴があります。

調査内容
ボナロン
ノルバスク
ノルバスクとチバセンの合剤
レクサプロ
グリピジド徐放錠(SU剤)
コナン
ジェイゾロフト

AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合

authorized-generic

authorized-generic

上記の先発医薬品を服用している患者さんがAG薬又はそれ以外のジェネリック医薬品に切り替えた後の服用状況を追跡し、再び先発医薬品へ再切換を行った人数を評価しています。

結果
先発医薬品からAG薬へ切り替えた人数:9万4909例
先発品からそれ以外のジェネリック医薬品へ切り替えた人数:11万6017例

上記の方が再び先発医薬品へ切り替える割合については、医薬品ごとにバラツキが見られ、100人年あたりの再切り替え人数を見てみると、ボナロンでは3.8人、ノルバスクとチバセンの合剤では17.8人と報告されています。(全医薬品の平均値では100人年あたり8.2人)。AG薬から先発へ再切り替えを行った患者数は、それ以外のジェネリック医薬品から先発へ再切り替えを行った割合に比べて28%低い値となっており、再現コホート研究によるハザード比でも25%低い値が報告されています。

筆者らは「先発品への再切り替えを防ぐために、ジェネリック医薬品と先発品との同等性を患者様に説明することが重要。先発医薬品とジェネリック医薬品の外観を一致させることも一因となる可能性がある」とまとめています。

「先発医薬品への再切り替え」というテーマは、ジェネリック医薬品の普及を進めている医療機関にとって認識すべき課題であると感じました。特に新規で発売されるジェネリック医薬品を選定する際には、先発品との“同等性”や“外観が似ている”といった要素も選定要因として重要なのかもしれません。

私が調剤薬局で勤務していて「先発医薬品への再切り替え」を経験する回数が多い医薬品は“モーラステープ、ロキソニンテープ”です。湿布薬・テープ剤は貼り心地、はがした時侵襲性が先発と後発で異なり、患者さんの使用感に直結することがその原因と考えます。

湿布薬・テープ剤や経口抗がん剤のAG薬が販売されれば、現場の我々としてはジェネリック医薬品の使用を更に増やすことができるのになぁと感じます。

2018年6月発売予定のジェネリック医薬品リスト

 

-ジェネリック医薬品(後発医薬品)
-AG薬, ジェネリック医薬品, 先発医薬品, 再切り替え, 割合

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

blue-tab

「ハルシオンのジェネリックが効かない?」という質問に対して

「ハルシオンのジェネリックが効かない?」という質問に対して   ハルシオン錠をお飲みの患者様へ、トリアゾラム錠(ジェネリック医薬品)についてご紹介すると「睡眠剤だけは先発を希望します」「効き …

cost-down-yakka

値引き率が大きいと薬価が引き下げられる薬価改定の仕組みを考慮して後発医薬品を選定する方法

値引き率が大きい品目は統一名収載となる薬価改定の仕組みを考慮して後発医薬品を選定する方法   同日発売の後発医薬品であっても、価格乖離(値引き率の大きさ・市場実勢価格)の大きい品目は、翌薬価 …

sippu

ジェネリック医薬品の「屋号」に関するルールはない?ケトプロフェンテープ「パテル」について

ジェネリック医薬品の「屋号」に関するルールはない?ケトプロフェンテープ「パテル」について     モーラステープのジェネリック医薬品に「パテルテープ20mg/40mg」という商品が …

generic-quality

ジェネリック医薬品の品質について溶出試験結果公開(第19回GE品質情報検討会)

ジェネリック医薬品の品質について溶出試験結果公開(第19回GE品質情報検討会)   第19回ジェネリック医薬品品質情報検討会の結果が公開されました。 今回の報告では、解熱鎮痛消炎剤8品目につ …

sawai-kyoudou

沢井製薬が後発医薬品の共同開発情報を開示

沢井製薬が後発医薬品の共同開発情報を開示 2019年12月発売となった後発医薬品に関して、沢井製薬は共同開発情報をインタビューフォームで開示しています。 新規で後発医薬品が発売される際、複数の製薬メー …