気管支喘息治療薬ファセンラ皮下注30mgシリンジの臨床データについて
11月24日に厚生労働省の新薬の承認可否が検討される予定の気管支喘息治療薬ファセンラ皮下注30mgについて、その臨床データを確認してみました。
~ファセンラ皮下注30mgシリンジ(ベンラリズマブ)の作用~
ファセンラ皮下注30mgはヒト化抗IL-5受容体αモノクロナール抗体です。重症気管支喘息を患っている患者様の半数は好酸球という細胞によって気道炎症および気道過敏性を引き起こし喘息症状の悪化、呼吸機能の低下をまねいていると考えられています。
ファセンラ皮下注投与により重症ぜんそく患者さんの経口ステロイド内服用が減量できる報告
ファセンラ皮下注は抗体依存性細胞障害活性を高めて、喘息の原因となるIL-5を発現している好中球を速やかにかつほぼ完全に除去する特徴をもった製剤です。
第Ⅰ相/第Ⅱ相試験の結果から投与24時間以内に効果発現することが確認され、第Ⅲ相試験の結果よりコントロール不良の好酸球性の重症喘息患者様の喘息増悪頻度を減少し、呼吸機能および喘息症状を改善する結果が示されています。
具体的なデータ報告としましては重症気管支喘息患者さん2295人を対象として、ファセンラ皮下注を4週間ごとに投与した群(756人)、または8週間ごとに投与した群(762人)とプラセボ群(777人)を比較したところ、プラセボ群の年間増悪率が1.16であったのに対して、8週間投与群での年間増悪率は0.75、4週間投与群では0.73となり重症気管支喘息の年間増悪率が低下していることが確認されました。(対プラセボ比としては0.63)
また経口ステロイド薬を服用している重症気管支喘息患者さんを対象としたファセンラ皮下注のデータ報告によると220人を対象としてファセンラ皮下注またはプラセボが投与された結果、経口ステロイドの投与量の中央値を75%まで有意に減少させた報告が上がっています。(プラセボ群と比較して経口ステロイドを減少する可能性が4倍以上高いという報告となっています)。さらにプラセボ群とくらべてファセンラ皮下注投与群では年間増悪率が55%低いという結果となっています。
尚、上記報告における有害事象頻度に関してはファセンラ皮下注投与群とプラセボ群とで同様となっております。
11月末の新薬承認検討会においてファセンラ皮下注が認可されるかどうか注目したいです。