2020年10月2日、日本イーライリリーは「低血糖時の救急処置薬」バクスミー点鼻噴霧剤3mgを発売しました。
バクスミーは室温(1~30度)で持ち運びができ、1回使い切りの「低血糖時の救急処置薬」です。重症の低血糖症状が生じた時に鼻にバクスミー点鼻噴霧剤を挿入し注入ボタンを押すことで噴霧が完了します。模擬試験では89.5%で投与量の全量投与に成功しており、模擬投与完了までの平均時間は24秒であると発表しています。
バクスミー点鼻粉末剤3mgは低血糖時に点鼻する「グルカゴン」製剤です。
グルカゴンはヒトが分泌するホルモンの一つで、低血糖状態を改善するために、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解して体内でぶどう糖を供給し、血糖を上昇させる効果があります。
これまで、糖尿病患者さんが低血糖を感じた際はぶどう糖を含む飲料水の摂取、飴などをなめて、血糖上昇を上昇させる対応を行っていました。しかし、本人の意識がない場合は、家族などの周囲の人では対応できないケースがありました。
バクスミー点鼻粉末剤は家族など周りの人が意識を失っている低血糖患者へ点鼻することができる有用な製剤です。バクスミー点鼻粉末剤は、その用途から常備薬として置いておいて、低血糖発症時に点鼻する製剤です。そんため、可能であれば使用期間(有効期間)の設定が長ければ助かるなぁと個人的には思います。また本人だけでなく家族や周囲の人でもバクスミー点鼻粉末剤を手に取ってすぐに使用できるよう、わかりやすい説明書が同封されていれば助かります。
(低血糖症状の初期症状としては発汗・強い空腹・動機・頻脈・息切れなどです。重度の場合には、けいれん・昏睡といった意識混濁状態となります)
大阪大学の研究チームは、インスリンに糖鎖を結合させた新しい化合物「グリコインスリン」の合成に成功したことを公開しました。通常のインスリン製剤は非常に繊細なタンパク質であるため、過酷条件下では線維化が起こりインスリンとしての機能を失ってしまうのに対して、グリコインスリンは高濃度、高温度条件かでも構造を安定にたもつことができます。また、グリコインスリンのインスリンとしての機能は通常のインスリンと比較して、ほぼ同等であることも示されています。過酷条件下における安定したインスリン化合物として非常に期待がたかまる医薬品なるかもしれません。
グリコインスリン開発