医療費が10万円以下でも戻る?医療費控除の条件と戻る額を徹底解説

  1. 医療費が10万円以下でも戻る?医療費控除の条件と戻る額を徹底解説
  2. 医療費控除の基本を押さえよう!「10万円」だけが基準ではない理由
    1. 医療費控除の基本的な計算式
    2. 「10万円」または「総所得金額等の5%」のどちらか低い方
    3. 給与所得者(会社員・パート等)の境目は「年収約297万円」
  3. 年収と医療費でどう変わる?手元に戻るお金をシミュレーション
    1. 年収別の「戻る額」早見表
    2. 年収210万円なら、医療費10万円でも約3,700円戻る
    3. 年収487万円・559万円では医療費10万円だと0円
    4. 年収が高い人ほど、戻る割合(税率)は大きくなる
  4. 戻るお金の正体!所得税の還付だけでなく「住民税の減額」が大きい
    1. 所得税と住民税での反映され方の違い
    2. 年収が低めの方ほど「住民税の減額」の割合が大きくなる
    3. 所得税が0円の人でも住民税の申告をする価値がある
  5. 「セルフメディケーション税制」との比較!どっちがお得?
    1. 医療費控除とセルフメディケーション税制の違い
    2. 具体例で検証:通院8万円+市販薬3万円(合計11万円)の場合
      1. 【ケース1】年収210万円の方の場合
      2. 【ケース2】年収487万円の方の場合
  6. 医療費控除の対象になるもの・ならないもの
    1. 対象になる費用の代表例
    2. 対象にならない費用の代表例
    3. 家族全員分を合算して「一番年収が高い人」が申告するのが鉄則!
  7. 初めてでも迷わない!医療費控除の申告手順と領収書の扱い
    1. 手順1:医療費の領収書・レシートを集めて整理する
    2. 手順2:「医療費控除の明細書」を作成する
    3. 手順3:領収書は自宅で「5年間」大切に保管する
    4. 手順4:スマホやパソコンから確定申告を行う
  8. まとめ

医療費が10万円以下でも戻る?医療費控除の条件と戻る額を徹底解説

1年間の医療費がたくさんかかってしまったとき、税金の負担を軽くしてくれる仕組みが「医療費控除」です。

テレビや雑誌、インターネットなどで「医療費が1年間で10万円を超えたら確定申告をしよう」というフレーズを見聞きしたことがある方は非常に多いのではないでしょうか。そのため、「今年かかった医療費は家族を合わせても8万円くらいだったから、自分には医療費控除なんて関係ない」とあきらめて領収書を捨ててしまっている方も少なくありません。

しかし、実は「医療費が10万円以上」というのは、すべての人に当てはまる絶対的な条件ではありません。ご自身の所得金額によっては、1年間の医療費が10万円に届いていなくても、医療費控除を利用してお金を取り戻せるケースがあります。

さらに、医療費控除で戻ってくるのは、確定申告後に振り込まれる「所得税の還付金」だけではありません。翌年に支払う「住民税」が安くなるという、家計にとって非常に嬉しい大きな恩恵もあります。

この記事では、医療費控除の基本的な仕組みから、「なぜ10万円以下でも控除が受けられるのか」という計算のルール、年収ごとの具体的な還付・減額シミュレーション、そして薬局で買った市販薬が対象となる「セルフメディケーション税制」との賢い選び方までを詳しく解説します。制度の仕組みを順を追って整理していきますので、日々の生活防衛や家計の節約にぜひ役立ててください。

 

 

 


医療費控除の基本を押さえよう!「10万円」だけが基準ではない理由

まずは、多くの方が誤解しやすい「10万円の壁」の正体と、医療費控除の本来の計算式について確認していきましょう。

医療費控除の基本的な計算式

医療費控除とは、1年間に支払った一定額以上の医療費を「所得(税金の計算対象となる金額)」から差し引くことができる所得控除のひとつです。所得から医療費分を差し引くことで、課税される所得そのものが小さくなり、結果として納めるべき所得税や住民税が少なくなります。

国税庁のルールにおける医療費控除額の計算式は、次のようになっています。

  • 実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額 - 「足切り額(10万円 または 総所得金額等の5%)」 = 医療費控除額(最高200万円)

ここでいう「保険金などで補てんされる金額」とは、生命保険の入院給付金や健康保険から支給される高額療養費、出産育児一時金などのことです。これらは実際に自分で負担したわけではないため、支払った医療費の総額から差し引く必要があります。

そして、その後に差し引く金額(足切り額)に注目してください。ここには「10万円」と「総所得金額等の5%」という2つの基準が存在します。

「10万円」または「総所得金額等の5%」のどちらか低い方

税制上の正確なルールでは、足切り額は一律10万円ではありません。

正しくは、「その年の総所得金額等が200万円以上の人は10万円」、「総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%」と定められています。

つまり、所得が少なめの方であれば、医療費から差し引く基準金額が10万円よりもグッと下がる仕組みになっているのです。

  • 総所得金額等が200万円以上の場合:医療費控除額 = 医療費 - 10万円

  • 総所得金額等が200万円未満の場合:医療費控除額 = 医療費 - 総所得金額等の5%

たとえば、総所得金額等が100万円の方であれば、その5%は「5万円」です。この方の場合、1年間の医療費が5万円を超えた時点で、その超えた分がすべて医療費控除の対象になります。年間8万円の医療費がかかったとすれば、3万円分の医療費控除を受けることができるのです。

給与所得者(会社員・パート等)の境目は「年収約297万円」

「総所得金額等」という言葉は、普段あまり聞き慣れないかもしれません。会社員やパート、アルバイトなど、お勤め先からお給料をもらっている方(給与所得者)の場合、「総所得金額等」とは「年収(給与の総支給額)」そのものではなく、年収から法律で定められた「給与所得控除」を差し引いた後の金額を指します。

この「給与所得控除後の金額が200万円」になる年収のラインが、およそ年収297万円です。

  • 年収約297万円未満の方:足切り額が「10万円未満(総所得金額等の5%)」になるため、年間の医療費が10万円以下でも控除を受けられる可能性が高い

  • 年収約297万円以上の方:足切り額が「10万円」になるため、医療費が年間10万円を超えないと控除は受けられない

このように、年収が約297万円を下回る方にとっては、「医療費控除は10万円から」という思い込みを捨てることこそが、税金を取り戻すための第一歩となります。


年収と医療費でどう変わる?手元に戻るお金をシミュレーション

では、実際に医療費控除を申告すると、具体的にいくらくらいのお金が手元に戻ってくるのでしょうか。ここでは、単身の会社員(扶養家族なし・40歳未満)を例に、年収と年間の医療費ごとに戻る額の違いをシミュレーションしてみましょう。

なお、ここでいう「戻る額」とは、指定した口座に直接振り込まれる「所得税の還付金」と、翌年度に給与から天引きされる金額が安くなる「住民税の減額分」を合計した金額です。

年収別の「戻る額」早見表

以下は、民間給与実態統計調査などの平均給与データ等を参考にした試算の一例です。

年収区分 年収 医療費10万円 医療費20万円 医療費30万円 医療費から引く額(足切り額)
正社員以外の平均 210万円 約3,700円 約1万3,700円 約2万3,700円 6万8,000円(所得の5%)
給与所得者全体の平均 487万円 0円 約1万5,100円 約3万200円 10万円
正社員の平均 559万円 0円 約2万0,300円 約4万0,500円 10万円
※本表は概算の目安です。実際の医療費控除による節税額は、所得金額や各種控除の状況により異なります。

年収210万円なら、医療費10万円でも約3,700円戻る

表の1行目をご覧ください。年収210万円の方の場合、給与所得控除後の金額(所得)は約136万円となります。これは200万円未満ですから、医療費から引く基準額は10万円ではなく、所得の5%である「6万8,000円」です。

そのため、1年間の医療費がちょうど10万円だった場合、

10万円 - 6万8,000円 = 3万2,000円

が医療費控除として認められます。

この3万2,000円に税率をかけた分(所得税と住民税の合計)として、約3,700円が手元に戻る計算になります。「たかが3,700円」と思われるかもしれませんが、日々のランチ代や数日分の食費に相当する貴重なお金です。何もしなければ国や自治体に納めたままになってしまうお金ですので、申告する価値は十分にあります。

年収487万円・559万円では医療費10万円だと0円

一方、年収487万円や559万円の方の場合、給与所得が200万円を大きく超えています。そのため、医療費から差し引く足切り額は一律で「10万円」となります。

年間医療費が10万円ぴったり、あるいは10万円未満だった場合、計算式(医療費 - 10万円)に当てはめると控除額が0円以下になってしまうため、医療費控除を受けることはできません。この層の方々が医療費控除を利用できるのは、医療費が10万円を超えた部分からとなります。

年収が高い人ほど、戻る割合(税率)は大きくなる

表の「医療費20万円」の列を見比べてみましょう。

  • 年収210万円:約1万3,700円

  • 年収487万円:約1万5,100円

  • 年収559万円:約2万0,300円

医療費が同じ20万円であっても、年収487万円の方と年収559万円の方では、戻ってくる金額に約5,200円の差が生まれています。これは、日本の所得税が「所得が高くなるほど税率が高くなる仕組み(累進課税制度)」を採用しているためです。

年収487万円の方の所得税率は5%ですが、年収559万円の方の所得税率は10%に上がります(住民税率は原則として一律10%です)。控除できる金額が同じであっても、かけ算する税率が高いため、高所得者ほど戻ってくる金額が大きくなります。

医療費控除はいくら戻る?


戻るお金の正体!所得税の還付だけでなく「住民税の減額」が大きい

「医療費控除を申告したけれど、税務署から振り込まれた還付金が数百円程度でがっかりした」という声を耳にすることがあります。しかし、そこで落胆する必要はありません。医療費控除の本当のメリットは、所得税だけでなく「住民税」にも及ぶからです。

所得税と住民税での反映され方の違い

医療費控除の効果は、税金の種類によって現れ方が異なります。

  1. 所得税:確定申告を行うと、通常1か月〜1か月半ほどで、指定した銀行口座に直接現金として振り込まれます(還付金)。

  2. 住民税:確定申告を行った年の翌年6月から翌々年5月にかけて支払う住民税が減額されます。会社員の方であれば、毎月の給料明細で天引きされる住民税が安くなります。

口座に直接お金が振り込まれる所得税の還付ばかりに目が行きがちですが、実際には住民税の減額分もしっかり手元に残るお金として作用しています。

年収が低めの方ほど「住民税の減額」の割合が大きくなる

特に年収200万円前後のパート・アルバイトや若手社員の方の場合、基礎控除や社会保険料控除などの影響により、もともと納めている所得税の金額自体が非常に少額であるケースが珍しくありません。

たとえば、先ほどの「年収210万円で医療費10万円」のシミュレーション(合計約3,700円のお得)の内訳を見てみると、次のようになっています。

  • 所得税の還付額:約500円

  • 住民税の減額分:約3,200円

税務署から振り込まれる現金は約500円にとどまりますが、翌年の住民税が約3,200円分安くなっているのです。全体として見ればしっかり約3,700円の手取りが増えていることになります。

所得税が0円の人でも住民税の申告をする価値がある

「パート収入が少なくて、もともと所得税が1円も引かれていないから確定申告しても意味がない」と思っている方も注意が必要です。

所得税が課税されない水準であっても、住民税は課税されているケースがあります(お住まいの地域によって異なりますが、給与年収がおよそ100万円〜110万円を超えると住民税の均等割や所得割がかかり始めます)。

元々の所得税が0円であれば、所得税の確定申告をしても還付金は0円ですが、市区町村に対して住民税の申告(または医療費控除を含めた確定申告)を行うことで、翌年度の住民税を安く抑えることができる場合があります。

※ただし、単身で年収100万円前後など、もともと住民税も完全に非課税となっている方については、引くべき税金自体が存在しないため、医療費控除を行っても戻るお金はありません。


「セルフメディケーション税制」との比較!どっちがお得?

医療費控除を考える上で、絶対に知っておきたいもうひとつの制度が「セルフメディケーション税制(特定の市販薬の購入費を控除できる特例)」です。

この制度は、健康診断や予防接種を受けて健康維持に努めている人が、ドラッグストアなどで対象となる市販薬を購入した際に利用できます。

医療費控除とセルフメディケーション税制の違い

セルフメディケーション税制は、医療費控除の「特例」という位置づけであるため、通常の医療費控除と同時に使うことはできません。どちらか一方を自分で選ぶ必要があります。

両者の主な違いは以下の通りです。

項目 通常の医療費控除 セルフメディケーション税制
対象となる費用 病院の診療代、処方薬、治療に必要な市販薬、通院交通費など ドラッグストア等で購入した「対象の市販薬(スイッチOTC医薬品など)」の代金のみ
足切り額(控除が始まる基準) 原則10万円(所得200万円未満は所得の5%) 一律1万2,000円
控除の限度額 最高200万円 最高8万8,000円
利用するための条件 特になし 申告する年に健康診断、予防接種、がん検診などを受けていること

セルフメディケーション税制の最大の強みは「1万2,000円を超えた部分から控除が受けられる」という足切り額の低さです。病院にはあまり行かなかったけれど、風邪薬や花粉症の薬、湿布などをドラッグストアで頻繁に買ったという人にとっては、非常に使いやすい制度となっています。

具体例で検証:通院8万円+市販薬3万円(合計11万円)の場合

では、病院での治療費と対象の市販薬の双方が発生した場合、どちらを選べばより多くの税金を取り戻せるのでしょうか。

たとえば、「年間の通院費用が8万円」+「セルフメディケーション対象の市販薬が3万円」で、合計11万円の自己負担があったケースを考えてみましょう。

【ケース1】年収210万円の方の場合

  • 通常の医療費控除を選ぶ場合:

    • 対象総額:11万円(通院8万円+市販薬3万円の両方が対象)

    • 足切り額:6万8,000円(所得の5%)

    • 控除額:11万円 - 6万8,000円 = 4万2,000円

    • 戻る税金の目安:約4,700円

  • セルフメディケーション税制を選ぶ場合:

    • 対象総額:3万円(市販薬の購入分のみが対象)

    • 足切り額:1万2,000円

    • 控除額:3万円 - 1万2,000円 = 1万8,000円

    • 戻る税金の目安:約2,300円

⇒ この場合、通常の医療費控除を選んだ方が約2,400円多く戻ってきます。

所得が低めの方は医療費の足切り額が低いため、市販薬だけでなく病院の治療費も合算できる通常の医療費控除の方が有利になりやすい傾向があります。

【ケース2】年収487万円の方の場合

  • 通常の医療費控除を選ぶ場合:

    • 対象総額:11万円

    • 足切り額:10万円(所得200万円以上のため)

    • 控除額:11万円 - 10万円 = 1万円

    • 戻る税金の目安:約1,500円

  • セルフメディケーション税制を選ぶ場合:

    • 対象総額:3万円(市販薬のみ)

    • 足切り額:1万2,000円

    • 控除額:3万円 - 1万2,000円 = 1万8,000円

    • 戻る税金の目安:約2,700円

⇒ この場合、セルフメディケーション税制を選んだ方が約1,200円多く戻ってきます。

年収が高い方は通常の医療費控除の足切り額が10万円と高いため、医療費の総額が10万円をわずかに超えた程度であれば、1万2,000円から引けるセルフメディケーション税制を選んだ方が控除額が大きくなる逆転現象が起こります。

このように、年収や「病院代と市販薬代の比率」によって、どちらがお得になるかはガラリと変わります。そのため、1年間でもらった領収書やレシートはすべて捨てずに保管しておき、確定申告の時期に両方の計算をして比べるのが最も賢い方法です。


医療費控除の対象になるもの・ならないもの

医療費控除を正しく申告するためには、「何が医療費として認められ、何が認められないのか」の境界線を把握しておくことが欠かせません。原則として、「治療や療養に直接必要であった費用」は認められますが、「予防や健康増進、美容を目的とした費用」は対象外となります。

対象になる費用の代表例

  • 医師や歯科医師による診療代、治療代

  • 治療のために処方された医療用医薬品の代金

  • 治療のためにドラッグストア等で購入した風邪薬、鎮痛剤、胃腸薬などの医薬品代

  • 通院のために利用した公共交通機関(電車・バス)の運賃

  • 急病や骨折、深夜の陣痛など、公共交通機関が利用できない状況で使ったタクシー代

  • 治療上必要な義手・義足・松葉杖・補聴器などの購入費用

  • 子供の成長阻害を防ぐための歯列矯正費用や、機能回復のためのインプラント費用

  • 妊娠中の定期健診費用、出産費用

  • 介護保険サービスのうち、一定の医療系居宅サービスや施設サービスの自己負担分

対象にならない費用の代表例

  • 健康診断や人間ドックの費用(※ただし、検査の結果重大な疾病が見つかり、引き続き治療を行った場合は対象になります)

  • インフルエンザなどの各種予防接種の費用

  • 美容整形や見た目を整える目的の歯列矯正、ホワイトニング費用

  • 疲労回復や体調維持のために購入したビタミン剤や健康食品、サプリメント

  • 入院時に自己都合で希望した「差額ベッド代(個室代)」

  • 入院時の身の回り品(パジャマや洗面用具など)の購入費用

  • 自家用車で通院した際のガソリン代や駐車場の料金

  • 医師等への謝礼金

家族全員分を合算して「一番年収が高い人」が申告するのが鉄則!

医療費控除の非常に重要なルールとして、「生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費も合算して申告できる」という点があります。

「生計を一にする」とは、必ずしも同居している必要はありません。たとえば、一人暮らしをして仕送りを受けている大学生の子供の医療費や、田舎で暮らす親に生活費の仕送りをして扶養している場合の親の医療費なども、仕送りしている本人の医療費と合わせて申告することが可能です。

そして最も節税効果を高めるコツは、「家族の中で最も所得(年収)が高い人が全員分をまとめて申告する」ことです。

先述のとおり、所得税率は年収が高くなるほど税率(%)が上がります。同じ10万円の医療費控除であっても、税率5%の家族が申告するより、税率20%の家族が申告した方が、手元に戻ってくる還付金の額は圧倒的に多くなります。医療費の領収書は世帯で一カ所に集め、誰が申告するのが一番有利になるかを確認しましょう。


初めてでも迷わない!医療費控除の申告手順と領収書の扱い

「医療費控除の申告は書類集めや手続きが大変そう」と感じて二の足を踏んでいる方も多いかもしれません。しかし、現在の確定申告はデジタル化が進み、以前よりもはるかに簡単に行えるようになっています。

ここでは、申告の大まかな流れと領収書の保管ルールについて確認しておきましょう。

手順1:医療費の領収書・レシートを集めて整理する

1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の領収書や、ドラッグストアのレシートを手元に集めます。

また、健康保険組合や協会けんぽから定期的に送られてくる「医療費のお知らせ(医療費通知)」も非常に役立ちます。この通知書があれば、個別の領収書を1枚ずつ入力する手間を大幅に省くことができます。

手順2:「医療費控除の明細書」を作成する

現在の制度では、確定申告書を税務署に提出する際、病院の領収書そのものを提出したり郵送したりする必要はありません。

その代わりに、領収書の内容をまとめた「医療費控除の明細書」という書類を作成して提出します。明細書には、医療を受けた人の氏名、病院や薬局の名称、支払った医療費の額、保険金等で補填された額などを記入・入力します。

手順3:領収書は自宅で「5年間」大切に保管する

「領収書を提出しなくていいなら、捨ててしまってもいいの?」と思ってしまうかもしれませんが、それは絶対にNGです。

税務署から後日、「申告内容の確認のため、領収書を提示してください」と求められることがあります。そのため、確定申告の期限から5年間は自宅で領収書を保管しておく義務が法律で定められています。靴箱や封筒などに年別でまとめて保管しておきましょう。

手順4:スマホやパソコンから確定申告を行う

会社員の方であれば、毎年2月中旬から3月中旬にかけての確定申告期間に申告を行います(還付を受けるだけの「還付申告」であれば、その年の翌年1月1日から5年間いつでも提出可能です)。

国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に沿って金額を入力していくだけで、自動的に税金が計算されます。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、税務署に足を運ぶことなく、自宅にいながら数十分で申告手続きを完了させることができます。

さらに最近では、マイナポータルと連携させることで、1年間の医療費通知情報を自動で一括取得・入力できる機能も整っており、以前に比べて格段に手間が省けるようになっています。


まとめ

最後に、今回のポイントを振り返って整理しておきましょう。

  1. 医療費控除は必ずしも10万円からではない

    給与年収が約297万円未満(総所得金額等200万円未満)の方の場合、足切り額は一律10万円ではなく「所得の5%」になります。そのため、年間の医療費が10万円以下であっても医療費控除を利用できるケースがあります。

  2. 戻ってくるのは所得税の還付だけではない

    確定申告を行うことで、直接口座に振り込まれる「所得税の還付」だけでなく、翌年度に給与から差し引かれる「住民税の減額」という大きなメリットも受けられます。特に年収200万円前後の層では、住民税の減額分が大きな割合を占めます。

  3. セルフメディケーション税制との比較を忘れずに

    市販薬を多く購入した年や、年収が高めで医療費が10万円前後の場合には、足切り額が1万2,000円からスタートする「セルフメディケーション税制」を選んだ方が手元に戻る金額が多くなることがあります。

  4. 家族の分を合算し、最も年収が高い人が申告するのがお得

    生計を一にする配偶者や子供、仕送りしている親などの医療費は合算できます。所得税率が高い家族がまとめて申告することで、世帯全体での手取りを最大化できます。

「医療費が10万円に届かなかったから」とあきらめて領収書を捨ててしまうのは非常にもったいないことです。ご自身の年収や家族全体の医療費を照らし合わせ、正しく制度を活用して家計の負担を軽減していきましょう。

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