痔の治療薬、強力ポステリザン・ボラザG・ヘモレックスの違いを徹底解説!

痔の治療薬、強力ポステリザン・ボラザG・ヘモレックスの違いを徹底解説!

痔は「日本人の3人に1人が悩んでいる」と言われるほど身近な病気です。しかし、場所が場所だけに、なかなか人に相談できず、市販薬で済ませたり、病院で処方された薬を「とりあえず」塗っている方も多いのではないでしょうか。

病院で処方される代表的な痔の軟膏には、「強力ポステリザン(軟膏)」「ボラザG軟膏」「ヘモレックス軟膏」の3種類があります。これらはすべて「痔の薬」ですが、実は含まれている成分や、体の中での働き(薬理作用)、そして得意とする症状が大きく異なります。

この記事では、これら3つの薬剤について分かりやすく解説します。自分に処方された薬がどのような仕組みで効くのか、その特徴をしっかり理解していきましょう。

 

 

 

1. 強力ポステリザン(軟膏):免疫の力で治癒を助ける

まず最初にご紹介するのは、「強力ポステリザン(軟膏)」です。この薬は、非常に長い歴史を持ち、世界中で使われている信頼性の高い薬剤です。

強力ポステリザンの成分と仕組み

強力ポステリザンには、大きく分けて2つの有効成分が含まれています。

1. 大腸菌死菌浮遊液(だいちょうきんしきんふゆうえき)
2. ヒドロコルチゾン(ステロイド成分)

最大の特徴は、1番目の「大腸菌の死んだ菌」が入っている点です。「えっ、菌が入っているの?」と驚かれるかもしれませんが、これは非常に理にかなった仕組みです。

私たちの体には、外部から細菌などが侵入してきたときに、それをやっつけようとする「免疫機能」が備わっています。ポステリザンに含まれる大腸菌の死菌が患部に付着すると、体の防衛隊(白血球など)が「敵が来た!」と勘違いして集まってきます。その結果、患部の細菌に対する抵抗力が高まり、感染を防ぐとともに、傷ついた組織を治そうとする力(肉芽形成促進作用)が活発になるのです。

2番目のヒドロコルチゾンは、いわゆる「ステロイド」です。これは強力に炎症を抑える役割があり、痔特有の腫れ、赤み、激しいかゆみを素早く鎮めてくれます。

効果と治癒率

強力ポステリザンは以下のような高い効果が確認されています。

– 痔核(いぼ痔)への有効率:80.2%
– 裂肛(切れ痔)への有効率:74.6%
– 肛門周囲の湿疹・皮膚炎への有効率:96.2%

特に、肛門周りがかぶれてしまったり、湿疹ができてしまった場合の効果は極めて高い(96.2%)のが特徴です。また、手術後の傷口を早く治す目的でもよく使われます(有効率90.0%)。

2. ボラザG軟膏:ステロイドを使わずに「巡り」と「傷」を治す

次にご紹介するのは「ボラザG軟膏」です。前述の強力ポステリザンとの最大の違いは、「ステロイド成分が含まれていない」という点です。

ボラザG軟膏の成分と仕組み

ボラザG軟膏には、以下の2つの有効成分が含まれています。

1. トリベノシド
2. リドカイン

1番目のトリベノシドは、ボラザGの主役となる成分です。この成分には「抗浮腫作用(むくみを取る作用)」と「循環障害改善作用(血流を良くする作用)」があります。いぼ痔の原因の多くは、肛門付近の血流が滞り、うっ血することにあります。トリベノシドは、血管の壁を強くして血の巡りをスムーズにし、腫れを引かせてくれます。

さらに、トリベノシドには「創傷治癒促進作用(傷を治す作用)」もあります。ステロイド成分の中には、使いすぎると皮膚を薄くしたり傷の治りを遅らせたりするものがありますが、トリベノシドはその逆で、組織の再生を助けて傷口を塞ぎやすくします。

2番目のリドカインは、局部麻酔成分です。痔の辛い痛みや不快感を、一時的に麻痺させることで素早く取り除いてくれます。

効果と治癒率

ボラザG軟膏の臨床試験(国内第II相試験)の結果は以下の通りです。

– 内痔核(内部のいぼ痔)への有効率:73.3%
– 症状別の改善率(痛み):83.7%
– 症状別の改善率(出血):71.7%

特筆すべきは痛みの改善率の高さです。リドカインの麻酔効果により、8割以上の方が痛みの緩和を実感しています。また、ステロイドを含まないため、長期的に使用する必要がある場合や、ステロイドの副作用が心配な方に選ばれることが多い薬剤です。

痔の軟膏

3. ヘモレックス軟膏:4つの成分でトータルケア

最後にご紹介するのは「ヘモレックス軟膏」です。この薬は、多くの成分をバランスよく配合した「複合剤」としての強みを持っています。

ヘモレックス軟膏の成分と仕組み

ヘモレックス軟膏には、贅沢に4つの有効成分が配合されています。

1. ヒドロコルチゾン(ステロイド成分):強力に炎症、腫れ、かゆみを抑えます。
2. フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質):患部の細菌の増殖を抑え、感染を防ぎます。
3. ジブカイン塩酸塩(局部麻酔成分):痛みや排便時の苦痛を和らげます。
4. エスクロシド(ビタミンP様作用):血管の壁を強くし、出血を防ぎます。

ヘモレックスの最大の特徴は、「抗生物質」が入っていることと、「止血成分」が入っていることです。肛門は便が通る場所であるため、どうしても雑菌が付着しやすく、傷口から感染を起こしやすい環境にあります。フラジオマイシンが配合されていることで、細菌による悪化を未然に防いでくれます。

また、エスクロシドは毛細血管を強化する働きがあり、いぼ痔や切れ痔による「出血」が気になる方に適した成分です。

効果と治癒率

ヘモレックス軟膏は、先発品である「プロクトセディル軟膏」のジェネリック医薬品(後発品)として開発されました。そのため、先発品と同等の効果があることが生物学的同等性試験によって証明されています。

抗炎症、痛み止め、殺菌、止血の4つのアプローチにより、特に「腫れ・痛み・出血」が同時に起きているような、比較的症状がはっきりしている痔に対してバランスの良い効果を発揮します。

3剤の使い分け・比較まとめ

ここまで3つの薬剤の特徴を見てきましたが、これらを比較すると使い分けのポイントが見えてきます。

ステロイドの有無

– ステロイドあり:強力ポステリザン、ヘモレックス軟膏
– → 腫れやかゆみが強い、急性の炎症を抑えたい場合に適しています。
– ステロイドなし:ボラザG軟膏
– → 炎症はそれほど強くないが、痛みや傷を治したい場合、あるいは長期使用を想定する場合に適しています。

感染への対策

– 強力ポステリザン:大腸菌死菌によって、自分自身の「免疫力」を高めて感染に抵抗します。
– ヘモレックス軟膏:配合された「抗生物質」が直接細菌をやっつけます。
– ボラザG軟膏:直接的な感染対策成分はありませんが、傷の修復を早めることで治癒を目指します。

出血への対策

– 特にヘモレックス軟膏に含まれるエスクロシドが、血管強化による止血をサポートします。

痔の軟膏を使用する際の注意点と副作用

薬には必ず副作用の可能性があります。これらの軟膏を使用する際に起こりうる主な副作用について解説します。

共通して起こりうる副作用

最も多いのは、塗った直後の「皮膚の刺激感」や「一時的なかゆみ」です。これらは多くの場合、薬が馴染むにつれて治まりますが、赤みがひどくなったり、発疹が出たりする場合は、配合されている成分(特に麻酔成分のリドカインやジブカイン)に対するアレルギーの可能性があります。

ステロイド配合剤(強力ポステリザン・ヘモレックス)特有の注意点

ステロイドが含まれる薬を長期間(数週間〜数ヶ月など)漫然と使い続けると、皮膚が薄くなったり、逆に肛門周りの免疫が落ちて、真菌(カビ)による感染症(カンジダ症など)を招くことがあります。

まとめ:自分の症状に合った薬を正しく使う

強力ポステリザン、ボラザG、ヘモレックスの3剤は、それぞれアプローチが異なる優れた治療薬です。

– 強力ポステリザンは、免疫力を高めつつ、ステロイドで炎症をしっかり抑える「免疫+抗炎症」のバランス型。
– ボラザGは、ステロイドを使わず、血流改善と麻酔効果でじっくり痛みを治す「非ステロイド・血流改善」型。
– ヘモレックスは、抗生物質や止血成分まで網羅した、感染や出血が気になる場合の「フルカバー・トータルケア」型。

どの薬が最も優れているということはなく、あなたの痔が「いぼ痔なのか切れ痔なのか」「腫れているのか、痛いのか、出ているのか」によって、医師は最適なものを選択しています。

また、軟膏はあくまで「症状を和らげる」ための手助けです。痔の根本的な治療には、便秘を防ぐための食生活の改善、排便習慣の見直し、肛門を清潔に保つといった、生活習慣の改善が欠かせません。

薬の特徴を正しく理解し、医師の指示通りに使用することで、一日も早く辛い痔の悩みから解放されることを願っています。もし、使用中に少しでも「おかしいな」と感じることがあれば、我慢せずに処方した医師や薬剤師に相談するようにしてください。

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