ラシックス錠の効果を具体的に患者様へお伝えする
腎臓には1日150リットルの血液をろ過して老廃物をこしとるはたらきがあります。ろ過された液(原尿)のうち99%が血液として再利用されます(再吸収とよばれます)。再利用されなかった残り1%の液(1.5L)が尿として排泄されます。利尿薬「ラシックス錠」を飲むと、腎臓における水分の再吸収が抑えられるので、尿量を増やすことができます。
一般的にですが、膀胱に150~200mlの尿がたまるとトイレに行きたいと感じます。1日の水分摂取量によってトイレに行く回数は異なりますが、5~8回程度が平均的な排尿回数と言われています。(尿の総量1.5L)
ラシックス錠20~40mgを飲むと、30分後には血液中のラシックス濃度が0.5μg/mlまで上がり、1~2時間後には0.8~0.9μg/mlまで上昇し、それ以降は血中濃度が低下していきます。(4~5時間後には0.2μg/ml以下となります)。ラシックスの血液中濃度は0.2~0.3μg/mlまで上昇すると、尿量が30~50%増加するような利尿効果があるとインタビューフォームに記されています。
ラシックス錠40mgを服用後の累積尿量を確認してみると、服用後2時間までに累積尿量が1.5L程度まで上昇し、それ以降はラシックスの効果が薄れていき、累積尿量は緩やかな増加にとどまります。
ここまでのラシックスの効果をまとめます
血液中にラシックスが0.2~0.9μg/ml程度あれば、血液の流れにのったラシックスが腎臓の尿細管(尿を再吸収する部分)に到達して尿量を増やすように働きかけるます(原尿の再吸収を抑制します)。この効き目はラシックス錠を飲んだ直後から開始されますので、服用後30分くらいには膀胱にある程度の尿がたまることになります。ラシックス錠を飲んだ後30~1時間後には1回目のトイレへ行く感じとなります。その後この効果は2時間後まで安定して作用し、それ以降は効き目が減退していきます。
上記のような働きでラシックスを飲むとトイレに行きたくなります。ヒトは予測しない出来事を不快に感じることがありますので、ラシックスを始めた処方された方には「どれくらいの頻度で、どれくらいの時間効き目がつづいて、トイレに行きたくなるのか」を具体的にお伝えすることが大切だと感じます。
また、長時間にわたって外出する用事があるときは「トイレの回数が増えること」は厄介に感じることがあります。お盆の時期の大渋滞などは「ラシックス錠」の大敵となります。このような予定がある場合は、ラシックス錠を服用するタイミングについて医師と事前に打ち合わせをしていくことが、トイレの回数をコントロールするカギとなります。
ラシックスは「飲めば“むくみ”、“うっ血”、“血圧”」などの症状を改善する薬ですので、「トイレの回数が増えるので飲むのが嫌だ」とならないように上手な使用方法を具体的にお伝え使用と考えております。