おじさん薬剤師の日記

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ネプリアライシン阻害剤LCZ696(サクビトリルとバルサルタンの合剤)の腎機能保護作用/急性心不全への効果について

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ネプリアライシン阻害剤LCZ696(サクビトリルとバルサルタンの合剤)の腎機能保護作用/急性心不全への効果について

追記:2018年11月15日

ネプリライシン阻害薬による血中NT-proBNP低下作用

急性心不全患者において、ネプリライシン阻害薬(サクビトリルとバルサルタンの合剤)の有効性が報告されました。急性心不全で入院した881人(平均年齢61歳)に対して、ネプリライシン阻害薬(441例;サクビトリル97mg/バルサルタン103mg:1日2回)またはエナラプリル10mg(441例;1日2回)が投与された後の、心筋の機能を評価するマーカー(NT-proBNP値)の変化率が公開されました。

ネプリライシン阻害薬による血中NT-proBNP低下作用について

抗心不全薬ネプリライシン阻害薬(LCZ696)に関する臨床データ

注:ネプリライシンとはナトリウム利尿ペプチド、ブラジキニン、アドレノメジュリンやその他の血管作動性ペプチドを減少させる酵素です。サクビトリル(ネプリライシン阻害剤)はこの酵素を阻害することで、上記のペプチド量を保ち、血管拡張作用、ナトリウム排泄作用、細胞外液の減少などの作用を示すことで心不全症状を改善する医薬品です。

(外海で承認されているものの、国内では承認されておりません)

 

NT-proBNPの変化率(投与開始後4週目、8週目の比率)

ネプリライシン阻害薬群:ー46.7%

エナラプリル群:-25.3%

★:特に投与開始直後(1週間時点)でのネプリライシン阻害薬の変化率が高いことが示されています。

注:NT-proBNPとは心臓の筋肉細胞内で産生されるホルモンが分解されたものです(NT-proBNPは血液中を流れています)。心臓壁ストレスによってNT-proBNPは増加する傾向にあり、心不全とNT-proBNP濃度との間には相関関係があります。ネプリライシン阻害薬服用群では血中のNT-proBNPが半分程度まで減少することから心不全の改善が示されています。

レニンアンジオテンシン阻害剤の標準量を服用している慢性腎不全患者の腎機能に対するネプリライシン阻害薬の効果について

 

ネプリライシン阻害薬服用群およびエナラプリル服用群ともに腎機能の低下、高カリウム血症、低血圧、血管性浮腫といった有害事象に関しては有意差がなく、投与中止の割合も両群間で同程度であったと記されています。

筆者は上記の結果をうけて、「左室駆出率低下を伴う急性心不全患者においては、ネプリライシン阻害薬の投与を開始して、NT-proBNPの改善をはかるべきです」と記しています。

ARBの違いを代謝経路、インバースアゴニスト、尿酸低下作用、インスリン抵抗性改善作用などの複合要素から検討する

メトグルコ服用と体重増減について

2018年5月18日 記載

ネプリライシン阻害薬による腎保護作用

海外で使用されている心不全治療薬Entrest(サクビトリルとバルサルタンの合剤/治験薬コードLCZ696)が腎保護作用の指標である推算糸球体ろ過量(eGFR)の低下を有意に抑制するというデータが開示されました。

 

Entrest(サクビトリルとバルサルタンの合剤)とはネプリライシン阻害剤(ARNI)であるサクビトリルとARBの合剤で、心不全治療薬(左心室駆出率の改善)として用いられています。ネプリライシンとはナトリウム利尿ペプチド、ブラジキニン、アドレノメジュリンやその他の血管作動性ペプチドを減少させる酵素です。サクビトリル(ネプリライシン阻害剤)はこの酵素を阻害することで、上記のペプチド量を保ち、血管拡張作用、ナトリウム排泄作用、細胞外液の減少を引き起こします。

 

今回の報告では、1日2回LCZ696(サクビトリル97mg/バルサルタン103mg)を服用した群とエナラプリル10mgを服用した群におけるeGFRおよび糖尿病の有無を比較検討したデータです。

 

結果

非糖尿病群:eGFRの低下率1.1mL/min/1.73㎡/年

糖尿病群:eGFRの低下率2.0mL/min/1.73㎡/年

糖尿病群では腎機能の指標であるeGFRの低下率が2倍速い

 

LCZ696服用群のeGFR低下抑制率:-1.8 mL/min/1.73㎡/年

エナラプリル服用群のeGFR低下抑制率:-1.3 mL/min/1.73㎡/年

LCZ696群の方が腎機能低下抑制効果が高い

 

糖尿病を合併した心不全患者におけるLCZ696の効果:0.6 mL/min/1.73㎡/年

糖尿病を合併していない心不全患者におけるLCZ696の効果:0.3 mL/min/1.73㎡/年

糖尿病を合併している心不全患者の方がLCZ696の恩恵が大きかった

 

糖尿病患者においてネプリライシン阻害剤の効果が高かったことについて、心不全の経過またはHbA1cに対する治療効果によっては説明できなかった。

 

レニン・アンジオテンシン系阻害薬が最大限投与されている患者においてもネプリライシン阻害薬を追加することは糖尿病性の慢性腎不全で生じる腎機能低下を抑制することが示された。

 

LCZ696(サクビトリルとバルサルタンの合剤)はEntrestという商品名で使用されており、欧州では左心室駆出率が低下した慢性心不全患者において、米国では収縮不全を伴う心不全患者に使用されております。国内では、慢性心不全患者を対象として第Ⅲ相試験が行われております。

レニンアンジオテンシン阻害剤の標準量を服用している慢性腎不全患者の腎機能に対するネプリライシン阻害薬の効果について

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