神経障害性疼痛に関するP2X7受容体拮抗薬の効果について
神経障害性疼痛関連の薬に関して調べていたところ、P2X7受容体拮抗薬に関する薬の開発について、旭化成ファーマとラクオリア創薬との間でライセンス契約の締結がなされたというニュースを目にしました。
私は、P2X7受容体拮抗薬という文字を初めて目にしたので、今回はP2X7受容体の位置付けと、その拮抗薬に関する情報をまとめてみました。
P2X7受容体とは
中枢神経のグリア細胞などの細胞表面に発現している受容体で、細胞外にあるATPエネルギーを利用して、イオンチャネルを開くことで細胞内のカルシウム濃度をUPさせる“脱分極”を引き起こし、シグナル伝達を担うはたらきが報告されています。
ミクログリア細胞の発現しているP2X7受容体の欠損したマウス(P2X7受容体をもっていないマウス)では疼痛に関する反応が低下することが報告されています。また、P2X7受容体の遮断薬を投与したマウスでも疼痛低下が報告されていることから神経障害疼痛に関与するタンパク質なのでは?と研究が行われています。
P2X7受容体のシグナル伝達(P2X7受容体にリガンドがくっつく)によりIL-1β、Il-6、TNF-αといった炎症誘発分子の放出が報告されており、炎症誘発性サイトカインの増加と関連が示唆されています。
急性脊髄損傷ラットにP2X7受容体拮抗薬を投与した報告によると、脊髄損傷から15分後にP2X7受容体拮抗薬を投与したラットにおいて、アストロサイトおよびミクログリアの局所的な活性化・好中球浸潤が減少して、損傷に伴う神経毒性が保護されたという報告がありました。
脊髄損傷を受けた組織は、ATPを過剰に放出することが報告されており、それに続いてP2X7受容体が過剰に活性化することが二次的損傷につながることが示唆されておりました。P2X7受容体拮抗薬を投与したラットでは、この二次的損傷が回避できる可能性も示唆されております。
P2X7受容体拮抗薬 (AKP-2349454/RQ-00466479)