「誰でもわかりやすく読める統合失調症薬物治療ガイドライン」を日本神経精神薬理学会が公開しました。今回公開された統合失調症薬物治療ガイドラインは、患者様・ご家族・支援者のために作成された内容となっており、科学的根拠を明確に示しながら、その一つ一つの言葉・ニュアンスをQ&A形式のような記述で説明しています。
第一世代・第二世代抗精神病薬の比較や推奨される治療期間、持効性注射剤と経口薬の使い分け、治療抵抗性統合失調症におけるクロザピン治療の有効性などが解説付きで記されています。
さらに統合失調症のさまざまな症状(緊張病・抑うつ症状・認知機能障害など)や薬による副作用(薬剤性パーキンソン症状・急性ジストニア・アカシジア・遅発性ジストニアなど)についても症状・推奨薬剤・解説が記されており、治療とそれに伴う副作用の可能性が記載されています。
熟読した私の感想ですが、スーッとしみこむように内容が入ってくるなぁと感じました。私は精神科や心療内科の門前の薬局で患者様へお薬をお渡しする機会が多いので非常に勉強になりました。
ケースバイケースなので一概には言えることではないのですが、公開されたガイドラインと臨床の実態とで多少の乖離があるとすると、「単剤での治療が望ましい」「向精神病薬の併用は行わないことが望ましい」という文言でしょうか。
頓服薬として処方されるエビリファイ・リスパダール・ジプレキサの効果について
私が現場で勤務した印象では、治療の初期段階は単剤での治療で開始されますが、数年経過しても症状が安定しない患者様の場合は5剤、10剤と薬が増えていく場合を経験したことがあります。
このガイドラインは患者様やご家族にもお読みいただきたい内容として作成されております。服用薬剤についてガイドラインと実態との乖離について、ご家族から質問があった場合は、これまでの治療経過を顧みながら増量増加の経緯を再度見直していくという患者様対応が求められるかもしれません。